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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第九十七話】

 
前書き
前半がオリジナル、後半は原作沿い改変?っていえばいいのかがわからない

 

 
――1025室――


日課である早朝トレーニングも終えて二度寝中――。


そして朝、微睡みの中をうとうとしていると――。


「ヒルト、朝だよ?起きて」

「ん……何時だ…?」

「七時だよ?ほら、起きないと悪戯しちゃうよ…?」


悪戯という言葉を聞き、パッと目を開けて起き上がった。

悪戯――過去に未来におでこに肉と書かれた事があったため、その単語を聞くだけで起き上がる様になった。


「お、おはよう、ヒルト」

「おはよう…シャル…眠ぃ……」


既に起きていたシャルは、既に制服に着替えていた――何故か俺の顔を見たシャルは一気に顔が真っ赤に染まった。


「わわっ…!――ひ、ヒルト、今日僕は職員室に用事があるから先に行くねっ!?」

「……ご飯は…?」

「し、食堂で軽く済ませるよ。じ、じゃあ後でね?」

「……あぁ、後でな、シャル――ふわぁ……っ」


大きく欠伸をすると、シャルは急いでいたのか慌てて部屋を飛び出した。

俺はいつものように洗面所へと向かい、顔を洗って歯磨き、制服に着替える――と、何故シャルが顔を真っ赤にしたのかがわかった。

俗にいう【朝起ち】ってやつだ――男の生理現象。

何はともあれ、それが治まるや早速食堂へと向かい、朝食にした。

――いつもと違うのは、今朝は一人で食事をしたことだった…それが少し寂しく感じたのは、いつも隣にシャルが側に居て一緒に食べていたからだろう――。




――一組教室――


教室につくと、その場に居たクラスメイトから挨拶を受けた。


「おはよっ、有坂くんっ」

「おはよー……」


低血圧では無いのだが、何故か今日はやたらと眠く感じるので自分の机に向かい、椅子に座ると突っ伏して軽く一寝入りつくことにした。

――と、そこへ来たのは。


「ヒルトさん、おはようございます」

「おぉ…セシリア、おはよー……。あ、昨日はありがとう、あれが無かったらヤバかったな、今頃」


「い、いぇ。ヒルトさんのお役にたてたのなら…わたくしはそれで…」


胸に手を当て目を閉じ、頬は朱色に染めたセシリアが満足そうにそう言った。


「あぁ、何にしてもお礼はしないとな。夏休み辺りにどこか行くか?」

「え…?ヒルトさん……もしかしてデー――」

「お兄ちゃん、おっはよー♪」


セシリアの言葉を遮る様に、美冬がやって来た。

てか朝から元気だな…。


「おぅ美冬、おはよー」

「おはよー♪セシリア、おはよー♪」

「お、おはようございます、美冬さん」


美冬の挨拶に応えるセシリア、だけど少しだけ歯切れが悪かった気がする。

気にはなるが、答えてくれるかはわからないので黙っておこう。



「てか美冬、未来と一緒じゃないのか?」

「みぃちゃん?みぃちゃんは――」

「ちゃんと居るよ、ヒルト?」


そう言いながらやって来たのは未来、美冬と同じ部屋だから共に来るのが当たり前だが――。


「おはよ、ヒルト、セシリア♪」

「おはようございます、未来さん」

「おっす、朝から相変わらずでかい乳してるな、未来?」

「――ッ!?ば、バカ!朝から何言ってるのよ!」


ポカポカと効果音が出てそうな痛くない未来からの一撃を何度も受けていると、セシリアが――。


「ヒルトさん。……たまにはわたくしにも…構ってくださいな…」


そんな風に若干寂しげな声で呟くセシリアに、美冬が――。


「ふふっ、セシリア?みぃちゃんにジェラシ~?」

「~~~っ!?そ、そういう訳ではありませんが……せ、席に戻ります!」


言うや、自分の席へと戻っていったセシリアは、椅子に座るやジト目で俺を見てきた。

その視線に若干居心地が悪く感じるが…と、唐突に美冬が――。


「ふふっ、お兄ちゃんもそろそろ彼女が出来る頃かなぁ?」

「ん?出来ればいいがそれって俺の事が好きなやつが居ないと成立しないからなぁ…なあ未来?」

「し、知らないわよ。バカヒルト…」


そう言って未来も自分の席へと戻っていった。

そして何故か頭を抱えるようにして机に突っ伏した。

――たまに未来、ああやって頭を抱えるよな。


「ふふっ、まあ私としてはまだお兄ちゃんに彼女出来なくてもいいかなぁって思うけどね」

「なんだ?年齢=彼女いない歴がどんどん加速する兄がいいのか?……せめてキスぐらいは済ませたいがな…」

「ふふっ、いつになることやら♪じゃあ私も席に戻るね?隣だけど」


そう言うと、隣の席に座って鞄から教科書を出し始めた美冬を眺めつつ――また眠気が……。


「おっす、ヒルト」

「……なんだ、一夏か」

「なんだはご挨拶だな。何で昨日風呂に来なかったんだ?シャルルも後で問い詰めないと…」

「俺もシャル…ルも疲れてただけだよ。別に一緒に風呂に入らなくてもいいだろ?一緒に入る方が危険だし…」

「ん?なんだって?」


――今日も突発性難聴症は絶好調って事か。


「はいはい、そろそろホームルーム始まるだろ、席に着いとけよ」

「あ、そっか。じゃあまたな」


――またがあるのかよ、っても同じクラスだからまたがあるのは当たり前か…。

てかよく考えたら後ろの席だったな、こいつ。

――大体のクラスメイトが教室にやって来たが、まだ空いた席が二席残っていた――シャルとラウラだ。

シャルはまだ職員室に居るのだろうか?

ラウラは…怪我の具合もあるのかもしれない。

事情聴取も考えられるが…山田先生がそんなに重い罪にはならないって言ってたが。

――と、そこへ山田先生が入ってきた。


「み、みなさん、おはようございます……」


何故かふらふらの山田先生。

何故ふらふらなのだろうか?

体調が悪いのなら無理しない方がいいと思うのだが――そう思っていると山田先生が一夏に。


「織斑君、何を考えているかはわかりませんが、私を子供扱いしようとしているのはわかりますよ。先生、怒ります。はぁ……」


「おい一夏、何考えてるかは知らんがあんまり人を馬鹿扱いや子供扱いしない方がいいぞ?」

「いや、何も言ってないぜ?」

「言わなくても顔に出れば一緒だ」


そんな軽い言い争いも、山田先生の言葉で中断させられ――。


「今日は、ですね……皆さんに転校生を紹介します。転校生といいますか、既に紹介は済んでいるといいますか、ええと……」


説明不足な説明で何を言ってるのかがよくわからないのだが、転校生という言葉にクラスメイト皆が反応してざわざわと騒ぎ始める。

もう別に今さら誰が来ても問題ないじゃん。

例えまた男子が来ようとも、代表候補生が来ようとも受け入れるのが一組なんだし。

そして、山田先生が一声かける――。


「じゃあ、入ってください」

「失礼します」


そんなソプラノ声が教室に響くと、扉が開かれた――その声の主がシャルだということは、俺は直ぐにわかった。


「シャルロット・デュノアです。皆さん、改めてよろしくお願いします」


そう折り目正しく、礼をするシャル――だがそのスカート丈の短さが非常に気になる。

マイクロミニぐらい?てかちょっと屈むと下着見えるぞ…。


俺を除くクラスメイト全員がポカンとしたまま、シャルと同じく頭を下げ返した。


「ええと、デュノア君はデュノアさんでした。――ということです。はぁぁ……また寮の部屋割りを組み立て直す作業が始まります……」


そう頭を抱える山田先生が少し可哀想に思うなか、俺は――。


「シャル、良かったのか?皆にばらして」

「う、うん…それに昨日言ったでしょ?僕の在り方…決めたって」

「そうか…まあ、前にも言ったが俺はお前の味方だからな?」

「……うん!」


屈託のない笑顔で応えるシャル――そんなやり取りを他所に徐々に広がる喧騒――。



「え?デュノア君って女……?」

「おかしいと思った!美少年じゃなくて美少女だったわけね」

「って、有坂君、同室だから知らないってことはないよね?」


そんな女子の一言によって、一斉にクラスメイト全員の視線が集まった。


「当たり前だろ、同室でシャル…ロットが女の子って知らなかったらどんだけバカで鈍感だよ、俺。わっはっはっはっ」


そう高らかに、若干開き直りつつ答えると美冬が――。


「ふーん、妹の私にまで黙ってたんだぁ……お・に・い・ちゃ・ん♪」

「おぅ!心苦しかったがこれもシャルの身を案じた結果だ、妹よ、許せ」


そんな若干芝居がかった言葉を言ってみるものの――。


「うふふ、だぁめ♪」


そんな笑顔で応えながら、ひたすら俺の右足の弁慶の泣き所に蹴りを入れ始めた美冬。


「あがっ!?ま、参ったからご勘弁を…美冬様…」

「ふんっ!私に嘘ついたから許さないもんっ」



そう腕組みして顔を背ける美冬。

まあ嘘ついてたのも事実だからなぁ…。


「ほら、今度買い物に行くとき荷物持ちするから、機嫌直せよ、美冬?」


ちょんちょんと脇腹辺りをつつくと美冬が――。


「わ、わかったから!くすぐったいからやめてよ、お兄ちゃん!――もぅ……うふふ♪」


買い物に付き合うといえば大抵満足する美冬。

だが、荷物持ちか…大変になりそうな予感だ。


それはそうと、先ほどからえらく突き刺さる様な視線を感じる――主に二名から。


まだ喧騒が続く中、その視線を辿る――セシリアと未来だ。

顔は笑顔だが目が笑っていない……これはある意味非常にまずい死亡フラグ的なものでもたった気がするのは気のせいではないだろう。


――と、喧騒の中、一人の女子生徒が言った一言が波紋を広げる――。


「そういえば――昨日って確か、男子が大浴場使ったわよね!?」


その一言が広まると、機嫌の良かった美冬がまた俺の方を向くや――。


「お・に・い・ちゃ・ん☆どういうことなのかなぁ?美冬、よくわからないから詳しく教えてよ♪」

「ま、待て美冬!昨日は俺もシャル…ロットも風呂に入ってないって、なあ一夏!?」

「え?喧騒がうるさくて聞こえない!なんだって!?」


――だああっ!?この突発性難聴症がぁぁっ!?

俺でも聞こえるのになんという都合のいい難聴…この…!


とも思ったのだが、シャルに弁解してもらえば――。


「な、なあシャル…ロット!昨日は風呂に入ってないよな、俺たち!?」

「う、うん。お風呂には入ってないよ!?お風呂には!」


そう上手く弁解出来たと思ったのだが――よく思い出すとお風呂【には】と言っているシャル。

その発言が問題になるかと思ったその時、突然一組教室の扉が吹き飛んだ。

何事だよ、問題ばかり増えて……!


「一夏ぁっ!!!」


なんと、登場したのは二組代表凰鈴音。

その表情は誰がみても怒っていて、怒髪点にきているようだった。


「死ね!!!」

「ちょ!?一夏の前の席の俺も巻き添えかよッ!?」



俺の言葉も聞かず、既に纏っていたISの衝撃砲の砲口が開かれ、フルパワーで開放されようとしていた。


「ば、バカ!ISの私的利用はダメだって書いてるだろ!?鈴音!?」

「時と場合によるわよッ!」


聞く耳もたず、フルチャージを終えた衝撃砲が火を吹くと激しい爆音が鳴り響き、教室全体がその衝撃に揺れた――。


「ふーっ、ふーっ、ふーっ!」


怒りが頂点に達したあまり、肩で息をしている鈴音。

まるで威嚇する猫のような感じがするのは気のせいではないだろう。

――というより、何故か俺も一夏も無事なのが気になる……やはり親父いわく俺が不死身説は本当だったようだ――。


「………ヒルト、大丈夫か?」

「……ラウラ…」


……どうやら俺の不死身説ではなく、合間に入ったラウラのおかげで助かった様だ。

その身体に纏っているのはラウラ専用のIS『シュヴァルツェア・レーゲン』だった。

鈴音の衝撃砲を、AICで相殺し、俺も一夏もミンチにならずにすんだようだ。

よく見ると、肩にあった大型レールカノンが無くなっていた――と、一夏が。


「助かったぜラウラ、サンキュ」

「……別に貴様を助けた訳ではない、勘違いするな」


そんな素っ気ない態度をとるラウラに、一夏はただただ苦笑するしかなかった。


「まあまあラウラ、まだ蟠りがあるかもしれないが…何にしても助かったよラウラ。怪我は無いのか?大丈夫か?」


そう言うと、ラウラが俺の方へと振り向く、心なしかその頬は赤く上気しているようにも見えた。


「う、うむ。怪我は見ての通りどこにも無い。ISもコアが辛うじて無事だったからな。予備パーツで組み直した」

「成る程、だがISよりもお前に怪我が無いことが一番だよ。【友達】としては気になる所だったからな」


そう言い、ラウラを見ると何故か複雑な表情をしていたのが気になった――そして、ラウラが口を開く。


「……ヒルト、すまない。……私はお前とは友達にはなれない…」

「な、なんだと!?」


衝撃の発言、まさかの友達ごめんなさいで軽くショックを受けている自分が居た。

――だが、ラウラがそう言うには俺が何かしらラウラにとって悪いことをしたのかもしれない、今謝れば大丈夫かもしれない。


「な、何か俺が気にさわる事でも言ったか?――あ、試合で言ったことか?た、確かに色々挑発を受け流して逆に色々言ったが――そ、それを怒ってるのか?」

「ち、違う…そうではないヒルト」

「じ、じゃあ何でだ?理由があるだろ?」


そう言うと、暫しの沈黙――そして。



「と、友達以上の関係になりたいだけだ。ヒルトと…」

「友達以上?――親友か?親友も悪くは無いな――って、まだそこまでラウラの事わかってないが――」


そう言い、ふと眼を閉じたその一瞬――ぐいっと制服の胸ぐらを掴まれ、何事かと思い眼を開けると徐々にラウラに引き寄せられていった――。

まさか、また余計な一言を言ったせいで頭突きでもされるのかと思った次の瞬間――。

「…んむっ……?」


一瞬、何が起こったのか全く理解が出来なかった。

だが、唇から伝わる柔らかな感触、そして軽く触れるラウラの柔らかい舌――。

そして紅い瞳は閉じられ、俺の眼前に広がるのはラウラの赤くなった頬が見え、流れるような銀髪が見える――。

そして暫くしてから――俺も気づいた。


――ラウラとキスしているこの状況に――。 
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