IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第九十九話】
前書き
暫くオリジナルで続きます
内容は――てめぇ、俺のシャルに何するんだぁ!?――って思われたら申し訳ないです
作者の暴走という事で
前の話も若干暴走という事で
――1025室――
衝撃の朝のホームルームから時は流れ、今は放課後の自室。
――因みに、休み時間も昼休みも、授業中も俺とラウラのキスの感想などをクラスメイトほぼ全員が聞いてきた――お前らは芸能レポーターかよ…と心で突っ込んだのは内緒。
そして、これがきっかけになったのか一気にラウラがクラスの中に打ち解けていったのは――多分気の良い女の子が多いからだろう。
だから、ラウラが昼休みに頭を下げて謝った時も、皆が許してくれた――シャルの事に関しても皆が寛容だったので、誰もその事を責めずに受け入れてくれたのは幸いだった。
今日は流石に訓練は出来ない――二年生、三年生の学年別トーナメント準決勝があった為、アリーナ整備中だし、それに……シャルが俺の部屋から引っ越すからだ。
そして現在、他愛ない話をしながらシャルの荷物――と言っても、あまり無いのだがそれをまとめ終えた所だ。
「ふぅ…あんまり荷物無かったんだな、シャル?」
「うん、私服も男の子用に少しだけあっただけだからね。……後は生活に必要な物と教科書とか。――体操服と学園指定の水着はもう学園の方で用意してもらったから」
――ブルマとスク水だな…てか女尊男卑な昨今、何で問題にならないのかが疑問になるよな。
普通ならスパッツとか、学園指定のカッコいい水着――黒色の赤ラインが特徴のワンピースタイプとか。
因みに今のは中学時代の水着だ、女子の――かなりかっこよく見えた、イヤらしさとか全く無く。
そして男子はサーフパンツ系、これも珍しい。
場所によってはブーメランパンツというもっこり強調タイプが主流だから俺的には泣きたくなるが。
――まあ話は逸れたが、昨今の風潮だとあり得ないんだがな…それに俺、別にスク水好きじゃないからな…スタイル良い子が着ても。
ブルマは…何かマニアックで――そりゃ、ブルマを直すときとかは心臓が跳ね上がりそうになるが。
――と、シャルが言いにくそうにもじもじしながら口を開いた。
「んと……ヒルト、また…お願い事しても…いぃ?」
スカートの裾をギュッと握り、上目遣いで言ってくるその姿は正直可愛かった。
「あぁ、俺に出来る事なら構わないさ。言ってごらん?」
「う、うん……。――少し言いにくいんだけど…ね?…その……」
本当に言いにくいのか、何度も視線を逸らし、徐々に頬に熱を帯びてきているのか赤く染まりつつあった。
「シャル、言って構わないぞ?シャルには世話になったんだ、遠慮するなよ?」
「じ、じゃあ言うね?――ヒルトの……シャツ一枚欲しいの、僕」
そう顔を真っ赤にし、ギュッと目を閉じながらシャルは言った――。
「シャツか?構わないぞ?何で欲しいのかはわからんが別に断る理由も無いからな」
「い、良いの!?……えへへ、ありがとう――その、ね?パジャマ類いのものがまだジャージしか持ってなくて…だからヒルトのシャツ一枚、寝巻きに欲しかったの」
「あー、そういや一度前に俺のシャツ着たことあったな?シャルにはぶかぶかだったが」
大会前の一週間、シャルのジャージは洗濯中だったため一度俺のシャツ着て寝たことがあった。
――っても、シャルは布団のなかで着替えたから下着類いは全く見えなかったのが少し残念だったが。
では何故ぶかぶかだったか分かったかというと――。
――回想中――
あの日は、珍しく二度寝せずに色々な調べものをするために本を読んでいた時――。
『んん……ヒルト…おはよぅ…』
『おぅ、おは…よ……』
寝惚けながらも、顔を洗いに行こうとしていたシャルはぶかぶかのシャツ一枚だとは気づかずに洗面所に向かった――。
とは言っても、下着はギリギリ見えないが、綺麗な生足が目に焼き付いてしまった。
――そして、洗面所から突然驚いた声が聞こえる――。
『わぁっ!?ぼ、僕何て格好で――あぅぅ…』
そんな盛大な声が聞こえ、思わず俺も笑みが溢れた。
そして、そっと洗面所のドアから此方を顔を覗き込むシャルは――。
『ひ、ヒルト…?せ、制服のズボン…取ってくれる…?』
気恥ずかしさの残る、困った表情でお願いするシャルを見て、また笑いが込み上げるがそれを我慢して制服のズボンと上の上着も念のため渡すと――。
『むぅ…笑わないでよ…バカ…』
『ははっ、悪い悪い。――はい、制服の上下』
『あ、ありがとう』
そう言って扉を閉めたシャルを見送り、俺は再度調べもの探した――。
――回想終了――
何だかんだで、一緒に居て楽しかったよな……。
そんな風に感慨深くなっていると、ドアをノックする音が聞こえてきた。
「デュノアさーん、準備は出来ましたか~?」
山田先生の声が聞こえてきた、するとシャルが返事をする――。
「すみません、もう少しで終わりますから!」
「わかりました~」
あれ?もう準備万端のはずだが…?
そんな風に不思議に思うと、シャルが――。
「ヒルト、ありがとう…一緒に居られないのは寂しいけど…僕、ヒルトにはちゃんと女の子として見てもらいたかったから…」
「……何言ってるんだよ。シャルは俺にとってはいつも異性だったじゃねぇか?」
そう言い、頭を優しく撫でるとシャルは――。
「ありがとう、ヒルト…今はその言葉だけで充分だよ…僕」
「そっか…なあシャル、二つほど聞いていいか?」
「うん、もちろんだよ――何かな?」
「昨日言ってたフランス語って……どんな意味なんだ?」
そう口にしたその瞬間、一気にシャルの顔が朝の美冬みたいに完熟したリンゴの如く真っ赤に染まった。
「あぅ……そ、それは……秘密…だよ」
目を逸らしたシャル――言いにくい事なのか、秘密と言う以上はこれ以上聞くのもしつこいので止めておき、もう一つの――こっちが本題だがこれを聞いてみる。
「じゃあもう一つの方を。――フランス政府から何か言われたか?」
「あ……うん。さっき連絡があったよ…」
少し声がトーンダウンしたシャル――もしも強制送還だとするのなら、もう形振り構わずどうにかして助けないと――。
そう決意し、言葉を待っていると――。
「――とりあえずは、国として支援は続けてくれるらしいの。でも……学園に在籍してる間にフランス代表になれない場合は一生牢屋だって…言われたよ」
「……そうか…だが、一つの可能性は生まれたわけだな、シャル?」
そう言い、俺はシャルと視線を合わせる――だが、シャルのその目は不安に満ちている様に見えた。
「……ヒルトは、僕がフランス代表に選ばれると思う…?」
自分に自信が持てないのか、後一歩の勇気が出ないのかはわからない……だが、今の俺に出来るのは一歩踏み出す勇気を与える事…それだけだと思った。
「……何言ってるんだよ、シャル?もっと自分に自信を持てよ?……今のフランス代表の人がどんな人で、強さは知らないがシャルはまだ十五歳だろ?まだまだ可能性は無限大にあるんだし。何よりも俺が保証するさ、これがな」
――俺の保証とは言うものの、こんなEランクな俺が保証って言うのも説得力無いよな…てか教師陣の誰かが言う方が説得力あるかもしれないし。
――だが、そんな俺の言葉に対して嬉しかったのか、シャルが――。
「ありがとうヒルト。――ヒルトが言ってくれると、何だか心がポカポカするの。――一言一言が嬉しいからかな?えへへ…。ヒルトの保証があるなら、僕――頑張るよ」
「あ、あぁ――なら良かったよ。俺の言葉でシャルが元気になれたり、力を出せるならいつでも遊びに来いよ?」
そう言い、ポンポンと優しく撫でるとはにかむような笑顔を見せた――。
「……あ、後もう一つだけ聞いてもいいか?二つほどって言ったがこれも気になってな」
「もちろんだよ、何でも言って?」
左手を自身の胸に当て、柔らかな笑みを浮かべるシャルに、こんな内容を聞いてもいいのか若干戸惑うが――。
「あ、あぁ、さっきの話に比べたら何で聞くの?って思うかもだが……その、さ。――スカート、短すぎじゃないか?」
「へ?――ヒルト、もしかして短いスカートって嫌いなの?」
最初はぽかんとしていたが、理解すると何故か不安そうな表情をするシャル、さっきの牢屋の話以上に不安そうだ。
「いや、嫌いじゃないぞ?てか好きだ、めちゃくちゃ好きです――てか俺の好みを言っても仕方ないか。――でもさ、脚を出しすぎじゃないのかと思ってな」
そう言うと、シャルの表情からは不安がなくなり――。
「そ、そうかな?でも、短いスカートって…可愛くない??」
そう俺に同意を求める様に言い、そして何と両端のスカートの裾を少し上に持ち上げて生足を強調するように――。
「わわっ!?ば、バカ、パンツ見えちゃうだろ!?」
その行為に、心臓が跳ね上がる様に鼓動し、一気に身体全体の熱が上昇するのを感じた――。
「た、確かに可愛いぞ?で、でもさ……」
流石に俺も、気恥ずかしさからか視線を下に逸らすが、逆にシャルの綺麗な脚が映り、余計に熱が上がった気がした。
そんな俺の様子を見たシャルは、いたずらっぽく笑みを浮かべると――。
「ふふっ、ヒルトってえっちな事いっぱい考えてるのに、僕がこういう事すると凄く慌てるよね…?」
両端のスカートの裾を離すシャル――だが俺の心臓の鼓動は常に加速し続け、常に瞬時加速状態だ――出来ないんだけど。
「い、いきなりは誰だってそう言うだろ?――てか、誰にでもそんなことするなよ?俺も理性もたなくなるよ…」
「大丈夫だよヒルト?……ヒルト以外にはしないから……」
そう小声で言うシャルの言葉が耳に届くと、否応なしに更にバクンッバクンッと心臓が跳ね上がる――。
「……ッ、と、とにかく、いくら女尊男卑な世界でも、下心持った奴が近づいてくるかもしれないだろ?だ、だから気を付けろよな!?」
若干語尾が強くなってしまったが、何故かシャルの表情は凄く嬉しそうに見えた。
「……ふふっ、ヒルト、心配しなくても知らない人にナンパされても僕はついていかないし」
「ん、なら構わないさ。……って、心配しすぎだな、俺…」
ナンパする男皆が悪いわけではないが、四月に未来がナンパされてた時の強引な二人組の事を思い出すと…未だにああいうのが居るのもなぁ……。
シャルやセシリアもそうだが、日本人から見ると魅力的に見えるから強引なナンパとかされそうだし――セシリアなら大丈夫かもしれないが…いや、わからないが。
何て考えていると、再度ドアが叩かれ――。
「デュノアさーん、そろそろ用意終わりましたか~?」
そんな山田先生の声が聞こえ、流石にこれ以上待たせると山田先生にも悪いのでハンガーに掛けていたシャツを一枚取ると――。
「悪い、長い間引き留めて――これで今生の別れって訳じゃないが、やっぱり居なくなると寂しくなるなと思ってな。はははっ…」
そう言い、シャルに折り畳んだシャツを手渡した――。
「うん…、また部屋に遊びに来るから、ね?」
「あぁ、いつでも来いよ?」
そう言い、手を差し出すとシャルも握手に応じてくれた――俺よりも小さな手が、優しく包むように握られた――。
「…………」
「……?」
若干、頬が赤く染まりつつあるシャルが、何かを決意したのかこっちを真剣な眼差しで見つめてきた。
どうしたんだろうと、疑問に思いながらシャルの表情を伺うと、シャルはその目を閉じた――。
そしてシャルが引き寄せるように俺の手を引っ張ると、若干体勢を崩してしまい――。
「っと……――んんっ…!?」
「ん………」
体勢を崩した俺は、何とかその場で体勢を立て直そうと左手をシャルの肩に乗せるも間に合わず、引き寄せられるようにシャルと軽く触れる様に唇が重なった――。
朝の光景がフラッシュバックされるように思い出す――だが、相手はラウラでは無くシャル……。
頭では早く離れないとと思っても…唇から伝わる感触がそれを許さず、俺は目を見開いたまま硬直してしまった――。
そして、ゆっくりと互いの唇が離れるとシャルは――。
「ひ、ヒルト……い、今のは…事故だから…ね?気にしないでね…?」
「じ、事故って……シャル、初めてだったんじゃないのかよ…?」
「そ、そうだけど……――ひ、ヒルトなら…僕は……――じ、じゃあね!?」
「あっ、ちょ、ちょっと――」
声をかけるが間に合わず、荷物と畳まれたシャツを持っていくと慌てて部屋を後にしたシャル――。
「……事故…なのか…?」
そんな呟きが、部屋に虚しく響くとまた静寂が訪れる――。
事故なのか、わざとなのかが全くわからず、俺はシャルが何であんなことをしたのかが全くわからず、悶々とした。
ただわかったことは――シャルの唇も、柔らかく――さっきの事を思い出すと一気に顔が熱くなった。
後書き
書いてるうちはこんな内容(最後の件)にするつもりが無かったのだけど、何となくヒルトのあの言葉を訊いたシャルは今朝のラウラとの事を思い出して自分も――的な風に思って暴走しました
シャルファンの方には申し訳ないです
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