IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第466話】
前書き
超遅れた('A`)
申し訳ないです、前みたいに更新できたらって思っても難しいです(・_・;)
簪の機体、打鉄弐式の調整をする事約一時間。
二人のサポートを行いながらも、二人のアドバイスを暇があればメモをしていた。
「よ……っと、取り敢えず腕部以外の装甲の取り付け終わったよ、のほほんさん」
「えへへー、ひーくんありがとー」
生徒会では基本足を引っ張る事の多い彼女だが、整備に関しては流石としか言い様がなかった。
今まで行っていた作業というのは、打鉄弐式の装甲の取り付け及び、開いたアーマー内部にあるパーツを弄っての微妙な出力調整等を行っていた。
これが重労働で、俺も額に汗を滲ませていた。
一旦タオルで顔を拭うと――。
「思ったより、早く飛行テスト出来そう……」
ポツリとそう呟く簪、開いたアーマーをマシンアームを使って閉じるとのほほんさんが口を開く。
「ほぇ? ……かんちゃーん、飛行テストはちゃんと全部のチェック終えてからだよー?」
「……わ、わかって、る。 …………」
のほほんさんの指摘にギョッとした表情を見せる、だが――いち早く飛行テストを行いたいのか、僅かにウズウズしてるのが俺から見てもわかった。
――一応機体のシステムチェックは簪が行い、のほほんさんはアーマーを開いての調整と、足りなかった装甲の取り付け(取り付けに関してはほぼ俺が行っていたが)等を行っていた。
「んー、かんちゃんが飛行テストしたいならー、先ずは各種スラスターをちゃんと点検、後は起動がちゃんと行えるかテストだよー?」
「ぅ、ぅん……」
最もらしいのほほんさんの指摘に感心する俺、簪も逸る気持ちを抑えてか機体に乗り込むと各種スラスターの動作チェックを行った。
上下左右、全身に備わったスラスターの可動域は上々の様に思える、投影ディスプレイに映し出されている各種スラスターのステータスも悪くなさそうに見えた。
――が、これはまだ点火を行っていない状況でのステータス故に、安心は出来ないだろう。
とはいえ、整備室内で飛ぶことは叶わないため、これに関してはアリーナでの低空飛行テストで見ないといけないだろう。
そんな俺の考えを他所に、今度は腕や脚部の可動域を調べ始めた二人――装甲が邪魔にならないかの確認や整備室内をISで歩いてみたり等を何度も行っている。
「……本音、これなら――」
「うーん~。 ……かんちゃん、出力1%でいいからスラスター点火してみてー?」
「え? で、でも……」
「1%だから大丈夫ー。 おじょうさまに何かあったらダメだもんー」
「本音……お嬢様は……やめて……」
のほほんさんにお嬢様と呼ばれたのが気になるのか、そう告げる簪――。
「うい! ならいつも通りかんちゃん!」
「そっちも好きじゃないけど……」
「えー?」
簪の言葉に抗議をするのほほんさん、取り敢えずそんなやり取りを終えて改めて全身に備わったスラスターを点火――整備室内に響く轟音が木霊し、外よりも煩く聞こえた。
点火を終えた簪は、のほほんさんをちらりと見ると観念したらしくのほほんさんは。
「――わかったよー、でもかんちゃーん。 私もコントロールルームでモニターしてるからねー?」
真っ直ぐと、それでいて何処か心配そうな眼差しで簪を見つめるのほほんさん、簪は小さく頷くと――。
「……ぅん」
そう小さな声で応えた、そして俺の方へと振り向くと――。
「あ、あの……ヒル、ト。 ……飛行テスト……付き合って、欲しい……」
不安げな表情を浮かべ、指を絡ませて弄ぶ簪、のほほんさんは取り敢えず笑顔に戻っていて俺と簪を交互に見ている。
「ん? 構わないぞ? てかパートナーなんだし、気を使う必要は無いさ、これがな」
そう俺が告げると、安堵したのか軽く息を吐く簪、そして――。
「あ、ありが……とぅ」
消え入りそうな小さな声と共に折り目正しく、お辞儀をする簪。
そんな彼女を見て俺は頬を掻き――。
「そ、そこまで綺麗にお辞儀しなくていいって。 ――取り敢えず何処のアリーナを使うんだ?」
そう聞き返すと、下げた頭を上げて小さな口から言葉を紡いだ。
「飛行テストだから……第六……」
第六アリーナ――先日のキャノンボール・ファストにおける飛行訓練に使った場所だ。
一応補足として、他のアリーナとの違いは空が完全開放されていて、学園のシンボルともいえる中央タワーをコースに『ほぼ』制限無しで飛行が可能なアリーナ。
――とはいえ、射撃武器が学園に直撃すれば反省文では済まされないので、ここでの射撃は余程自身のある人にしかオススメ出来ない。
純粋な飛行によるレースをするならうってつけの場所でもあるが。
「OK、じゃあ第六アリーナで軽く飛行テスト、其処からまた直す箇所や調整の必要な箇所のピックアップだな」
「う、うん……。 ……やっと、飛べ……る……」
僅かに表情が綻ぶ簪――と、待ちきれないのか簪は――。
「さ、先に準備して……待ってる……っ」
「え? お、おいっ――って、行っちゃった……」
呼び止める前に整備室を後にした簪、ご丁寧にもちゃんと打鉄弐式は待機形態に戻していて、もぬけの殻になっている。
――気持ちはわからなくもない、これ迄完成せずにずっと機体を組んでいたのだから。
「……ひーくん? テスト始める前にいいかなぁ~」
「え?」
のほほんさんの声に振り向くと、若干眉根を下げて困った様な表情を見せていた。
「んとねー、機体を整備した身としてわねー。 本当はもう少しちゃんとチェックしたかったの……。 ……もしもって事は絶対無いけど……本気で危ない時はひーくんが助けてあげてねー?」
「ん? ……まあ本当に簪が危ない時は助けるさ、これがな」
そう告げると少し安心したような表情を見せ、いつものようににへっと笑って見せたのほほんさん。
「えへへ。 ――あ、でもでもー、もしひーくんから見てかんちゃんだけで対処が可能ならかんちゃんに任せてねー? ……って言っても、かんちゃん……無意識に人に甘えることに慣れちゃってるから……」
表情が再度変わるのほほんさんに、俺は黙って頷く。
もし対処が可能なら彼女自身に解決させるのがいい――勿論、どうにもならない場合はさっき言った通り俺が助けるつもりだが。
――杞憂であってほしいが、のほほんさんは妙な所で勘が鋭いというか、先見の明って奴があるのか。
「ひーくんも気をつけてねー? まだ、ひーくんと合体してないんだから怪我しちゃダメだからねー」
僅かに頬に赤みが差し込むのほほんさんの言葉に、『先日の行為』が不意にフラッシュバックされた俺、軽く頭を振ってその記憶を払拭させると俺も第六アリーナへと向かった。
背にのほほんさんの頑張ってねーという声を受けながら――。
後書き
次回は飛行テスト、多分一夏も出るかも……?
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