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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第465話】

 
前書き
五月初更新

お待たせしました( ´艸`) 

 
 打鉄弐式――改めてその姿を確認すると前の打鉄とは外見が全然違うことに気付いた。

 スカートアーマーは機動性と空力を重視した独立ウイングスカートに換装されていて、防御型ではなく機動力重視の様に思えた。

 腕部装甲に目をやる――まだ一部完成してないのか手の部分が素手だが他は打鉄よりかはスマートなラインへと変化していた、多分だが格闘戦をより行いやすいような構造なんだろう――つくづく、ISがスポーツ競技の為の物じゃないってことがわかる。

 視線を肩部ユニットへと移す――打鉄特有の盾は無くなっていて、換わりに大型のウイングスラスターが一つに、それを補佐する小型のジェットブースターが前後に二基搭載されていて何処か白式を思い起こすデザインだ――まあ同じ倉持技研だから、同じデザインか規格が同じのを使ったのだろう。

 ――打鉄の後継機ではあるが、共通点が殆ど無い為、これをもし打鉄の後継機って言われても信じない人の方が多いだろう、唯一の共通点が簪の頭に装着されたハイパーセンサーのデザインだけだ。

 ――村雲・弐式は村雲の面影を確実に残していたが、この機体に関しては……別名義でもよかったのではと思う。


「……機体は一部を除いてほぼ完成してるな、前に見たときよりかは装甲が着いてる」

「……うん。 でも……武装がまだ……」


 言いながら打鉄弐式を跪かせて装着を解除し、簪は首を横に振る。


「……後……稼働データも取れてないから……今のままだと、実戦は無理……」


 表情が暗くなる簪に、俺は頭をかきながら――。


「武装の方もまだなんだよな、確かマルチロックシステムだっけ?」

「うん……、マルチロックシステムによる高性能誘導ミサイル……。 それと、荷電粒子砲もまだ……なの……」

「ふむ……マルチロックに荷電粒子か……マルチロックなら、村雲のでいけるかもしれないが、そもそも母さんじゃないと無理だからなぁ……。 荷電粒子砲に関しては、収束率の問題か?」

「……うん、収束率が悪くて……今のままだと、撃っても正面で四散……」


 荷電粒子のショットガンみたいな物を連想してしまった、実際だともっと悲惨なのかもしれないが……威力的に。


「んじゃ、現状は機体のステータスチェック及び、荷電粒子砲の収束率のテストをメインだな」


 そう提案する俺をじっと見据える簪、と――。


「……ヒル、ト……の機体も、ちゃんと見ないと……」

「ん?」


 簪の指摘、確かに打鉄も見ないといけないかも――。

 だが、現状での優先率は打鉄弐式の完成が優先だろう――俺はそう答えを出すと直ぐに簪に伝えた。


「俺の打鉄も大事だが、今は簪の機体の完成の方が優先だ。 俺のは寝る前とかにでもコンソール開いて微調整するから、な?」

「……ぃぃ、の? わた、しの機体から……で」

「当たり前だろ? パートナー何だし――てか時間も勿体ないし、そろそろ始めよう?」

「ぁ……ぅ、ぅん」


 俺の提案に小さく応えて頷く簪、必要な機材は集められているため直ぐ様機体を完成させようと行動を開始するが――。


「やっほー。 ひーくんー。 かーんちゃーん~」


 整備室に入ってきた女子生徒、俺をひーくんって呼ぶのはこの学園には一人しかいない。

 視線を移すと満面の笑みを浮かべて垂れた袖を振り回すのほほんさんこと布仏本音がそこに居た。

 ――彼女ともある種の一線を越えてから、何だか気になる存在になってきている。

 ……てか、えっちな事ばかりしてる俺に原因があるのだが。

 そんな考えを他所に、彼女は物凄く遅いスピードで走ってやって来た。


「本音……」


 簪が彼女を見て思わず名前を溢した、それと同時に僅かに表情に歪みが見えた。


「えへへ、二人のお手伝いにきたよ~」


 屈託の笑顔でそう告げる彼女は更に垂れた袖を振り回した、幸い今の整備室は人が少ないため当たる事はなかったが、当たれば確実に怒られていただろう。


「かーんちゃん、機体調整とか手伝ってあげる~。 えへへー」


 にへらっと笑うのほほんさんに対し、簪は明らかに表情が変化した。


「や、やめて……弄らないで……。 あっ、あっ……」


 ――言葉だけ訊くと、のほほんさんに何かしらされてる簪の構図が見えるが、生憎とのほほんさんは打鉄弐式を勝手にいじくり回しているだけだったりする。

 ――それはそうと、簪はのほほんさんが苦手な様な気がした。

 小さくため息を吐いた簪は、打鉄弐式の整備に取り掛かっていたのほほんさんを見ながら口を開く。


「本音……どうせまた、姉さんから言われて……来たんでしょう?」


 姉さん――その言葉で虚さんの事かと思ったのだが、表情を見る限り違っていて、多分楯無さんの事をさしていたのだろう。

 ……俺も頼まれたとはいえ、一応俺自身の意思で彼女に協力すると意思表示はしたのだが――端から見れば、俺も実際は楯無さんに言われて来たと思われても仕方ないかもしれない。

 のほほんさんへと視線を移すと、一瞬首を傾けるが次の瞬間には首を横に振って否定した。


「ちがうよー。 私はっ、かんちゃんの専属メイドだからー、お手伝いするのは当たり前なんだよー」

「………………」


 疑うような眼差し、だがのほほんさんは本気らしく真っ直ぐ見つめていた――そして、またにへっと表情を崩すと。


「月曜から木曜まで、暮らしを見つめる布仏本音ですー」


 ――と、何処かのキャッチコピーみたいな台詞を言ったのほほんさんに対して、簪は突っ込みを入れる。


「金曜と土曜と日曜は……?」

「えー。 週末は休ませてよー、かんちゃんー」


 等と甘えた声で告げるも、ぴしゃりと簪はのほほんさんに言った。


「三日は……休みすぎ……」

「そんなー。 ……ひーくんとデート出来ない~」

「え? …………」


 のほほんさんのデート発言に、何故かジトーっとした眼差しで見られる、居心地が悪く頬を指で掻いてるとのほほんさんが話題を逸らしてくれた。


「さてと、かんちゃんー、どこからやっちゃうー? 機体のシステム最適化しようか~? それとも火気管制システムのサポ~?」

「火気管制システムは、私じゃないと無理……。 制動システムも私がやるから……本音は――」

「シールドエネルギーの出力調整だねー。 りょうかいなのだっ」


 言ってから僅かに体を左斜めに傾け、垂れた袖で敬礼をするのほほんさん。

 この姿と今の言葉が何処か俺にはツボにハマり、可愛く見える。


「き、聞いて……。 装甲のチェック、して……」


 そんなのほほんさんに毒気を抜かれた簪、改めてやってもらいたい箇所の指示を送ると直ぐ様――。


「えへへ、わかりましたぁ」


 見るもの全員癒す――は言い過ぎかもしれないが、そんな笑顔でのほほんさんは応えると早速作業に取り掛かる。

 軽くため息を吐く簪を見てると――。


「な、何……見てるの……」

「ん? いや、何だか簪ものほほんさんと絡むと振り回されるんだなって。 そう思って見てただけさ、これがな」

「……。 じ、ジロジロ、見ないでよ……ばか、きらぃ……」

「ははっ、それは悪かったな。 ……結構いい傾向だな」


 誰に聞かせる訳でもない呟き、のほほんさんと絡んでから色々な彼女の姿が見れたのは有りがたいかもしれない。

 作業に取り掛かる二人のサポートをするため、俺も体を動かし始めた。 
 

 
後書き
とりあえず文字で表現は難しいが、そこはイメージを……

のほほんさんが可愛く左斜めに体を傾けながら笑顔で敬礼するその姿を……光が逆流してこないか?(ぇ

――してこないって?

Oh my God!

という一人芝居を後書きに載せる頭の痛い黄昏のウサギ団でしたー 
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