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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第463話】

 
前書き
原作進みますん 

 
 放課後、既に窓からは夕日が差し込み、教室内を淡いオレンジに包んでいた。

 ――それはさておき、俺は急いで四組に向かわなければならないのだが、目の前に立ち塞がるのはセシリア・オルコットだ。

 他の専用機持ちは既に機体調整に向かっているのだが、何故か彼女だけは俺の前に立ち塞がっている――まあ原因は、昼休みの件だろう。


「ヒルトさん、少しよろしいかしら? お昼休みの件で、わたくし少しヒルトさんとお話がしたいのですが」


 口調は穏やかに聞こえるも、明らかに表情は穏やかではない。

 ――教室に残ってるのが俺と彼女の二人だけだが、俺としては早く更識さんの元へと向かわないといけないので――。


「……昼休みなら、更識さんと昼食を食べただけだよ。 今日までだろ、タッグマッチトーナメントのパートナー締め切りはさ?」

「えぇ、そうですわね。 ――パートナーの件はこの際其処ら辺りに捨て置きましょう」


 ――捨て置くんかいっ!

 そんな心のツッコミを他所に、セシリアは僅かに頬を膨らませて見つめてきた。


「ひ、ヒルトさん! な、何故、昼休みに更識さんと手を繋いで……!」

「え?」


 ――どうやらセシリアは、俺が更識さんと手を繋いでた事に対して気に入らないようだ――ヤキモチって奴だろう、そう思うと妬いてるセシリアが可愛く見えてくる。


「……セシリア」


 名前を呼び、逃れられないように両手で壁に追いやった――俗に言う壁ドンって奴だ。

 そして、真っ直ぐと彼女の瞳を見ると顔を赤くしながらセシリアは口を開く。


「ひ、ヒルトさん……。 ……うぅ、ズルいです……わ。 そ、そんなに真っ直ぐに見詰められたら……わたくし……ん……」


 言ってから小さくアヒル口を作り、キスの受け入れる体勢に変わるセシリア。

 ――教室内で誰かに見られる可能性がある――とはいえ、セシリアとのキスを逃すのも惜しい。

 軽く触れるだけの口付けを交わす――柔らかな感触に、俺の全身の体温が急激に上がった気がした。


「ん……もぅ。 うふふ、ヒルトさんは誤魔化すのが御上手ですわね……」


 言ってから身を預けるように凭れるセシリア――このまま過ごしたいのだが、マジでパートナー決めないとまずいので俺は――。


「……セシリア、悪いけどそろそろ行かないと」


 そう告げると一瞬寂しげな表情を浮かべるセシリア、だが直ぐに表情が切り替わり――。


「……わかりましたわ。 ――あまり、ヤキモチ妬かせないでくださいまし……」


 言ってから胸板を指でなぞるセシリア、頬は上気させ、何処と無く色気を醸し出していた。


「……はは、それは約束出来ないな」

「むぅ……意地悪。 ……うふふ、ならば……二人だけの時は、わたくしを見てくださいまし」


 言ってからニコッと微笑むセシリア――背伸びして、俺の頬に口付けを落とすと――。


「で、ではヒルトさん、わたくしも今日は調整がありますので――じ、時間が出来ましたら、また……」

「ん、わかったよ」

「うふふ、それでは……ごきげんよう」


 そう言って俺の側から離れて教室を後にするセシリア、後ろ髪引かれる思いだが四組に行かないとという思いが勝り、俺は手荷物を肩にかけて四組へと赴いた。

 四組教室に辿り着く、教室内は一組と同じ様に窓からオレンジの夕日が差し込んでいた。

 規則正しい寝息をたてる少女が一人――髪の色で更識さんだとわかると、俺は彼女の元へと近づく。

 起こすのも悪いとは思いつつ、俺は小さく彼女を揺さぶる――と寝言なのか、口を開いた。


「だ、だって……わからない……わからないもの……。 私……は、わからないものは……嫌だから……」


 そう呟く、寝言にしては確りしてると思いつつ、聞こえてるのか聞こえてないのかはわからないが俺は応えた。


「……更識さん、わからないものが嫌なのはわかる。 ――でも、そのままの状態だとわからないままじゃないのか?」

「そう……だけど……」


 俺の応えた内容に更に応えた更識さんに、俺は彼女が起きてるものだと確信した。


「わからないもの、もしかしたら怖いかもしれないけどさ。 少なくとも君には俺が居る、俺に頼ればいいさ。 ――だから、タッグマッチトーナメント、俺と組もう、更識さん」


 言ってから手を差し出す――すると、それに応える様に更識さんは俺の手を掴むと――。


「う、うん! ――あ、れ?」


 力強い返事をした後、まるで眠り姫が目を醒ましたかの様に周囲を確認し、きゅっと握った手に力を込めた彼女。


「あれ? ……有坂、君……」

「あぁ、俺だぞ? ――なんだ、寝惚けてたのか? 起きてたと思ったんだが……」

「ぁ、ぁぅ……」


 ぼしゅっと湯気が上がりそうな程真っ赤な顔になった彼女に苦笑しつつ、俺は再度彼女に言った。


「更識さん、締め切りが今日まで何だが――俺とタッグマッチトーナメント、出ないか?」

「ぁ……ぅ、ぅん」


 さっきの力強い肯定の言葉とは違って、か細い声と共に小さく頷いた彼女――と。


「……本当は、……わた、し……有坂君と組むの……嫌じゃなぃの。 ――で、でも……せ、専用機持ってないし……有坂君……私みたいな……子って、苦手なんじゃ、なぃかな……って」

「え? ――確かに女性は前は苦手だったが、それも基本的に中学時代の女子が苦手ってだけだからな、俺個人では更識さんが苦手ってって事はないさ、これがな」


 ニッといつもの笑顔で応えると、更識さんは目を見開いた――だが、俺の笑顔に応える様に笑みを溢すと、また口を開く。


「……有坂君、職員室……いこ……?」

「……あぁ、もう時間もギリギリだしな、早速パートナー申請しに行こう」

「……ぅんっ」


 言ってから自身の座っていた椅子から立ち上がる、少しずれた眼鏡型ディスプレイを掛け直すと荷物を肩に持った。

 それを見た俺は、先導する形で前へと歩いていく――その後ろを彼女は追従する。

 その間、他愛ない話をしながら歩く――そうこうしている内に俺と更識さんは職員室へと辿り着いた。

 其処からは中に入り、申請書に互いの名前を書いて山田先生に提出――山田先生の話ではどうやら俺達二人が最後らしい。

 ――って事は、未来ももうパートナーが決まったって事だろう――誰と組んだかは気になるが、それに関しては未来に聞けばいいだろう。

 一礼してから二人で職員室を後にする――俺は隣に居た更識さんに。


「これで晴れてパートナーだな。 更識さん、よろしくな?」


 彼女の前に手を差し出す――俺の顔と手を交互に見ながら、おずおずと差し伸べられた手を掴み、握手に応えた。


「よろ、しく……。 ……わ、わたし、の事……っ」

「……??」

「か、かか……簪……で……いぃ、から……」


 真っ赤な表情で伏し目がちになり、視線が左右に泳ぐ更識さんを見て俺は僅かに微笑を溢す。


「そっか。 ……なら俺の事も気軽にヒルトで、な? 簪」

「ぅ、ぅん……」


 俺もそう告げるが、彼女の性格からすれば少し抵抗があるかもしれないな。

 そう思いつつ、俺は早速――。


「んじゃ、整備室行きますか? ――っても、俺は着替えてこないといけないから、一旦ここで別れて整備室で待ち合わせしようぜ?」

「あ、う、うんっ……」


 それだけを聞くや、俺は一旦着替えるために更衣室に足を運ぼうとする――前に、くるりと彼女の方へと振り返る。


「……そういや、整備室何番使うんだ?」

「だ、第……第二っ!」


 力強くそう告げる彼女の言葉に、笑顔で応えると俺は――。


「了解、じゃあ第二整備室で待ち合わせな?」


 それだけを言い残し、若干駆け足気味で俺は更衣室へと向かった。 
 

 
後書き
とかいいつつ、前半セシリアと( ´艸`)

とりあえず次は整備室ですな 
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