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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第187話】

 
前書き
色々疑問に思う方もいると思いますが、ちゃんと考えてますので拙い文ですが、よろしくお願いします 

 
――自動販売機付近――


 部屋へと戻る道中、話し声が耳に届いてくる。

 一人は美冬で、もう一人は未来の声だった。

 話が盛り上がってるのか、絶えず笑い声が聞こえてきて――。


「あははっ♪ みぃちゃんのお父さんとお母さん、相変わらずなんだ♪」

「うん♪ でね、お父さんが――あ、ヒルトじゃない。 こっちこっち~」


 俺に気づいた未来は、手招きして呼び寄せた。

 美冬もそれに気付き、振り返ると笑顔で――。


「あっ、お兄ちゃん♪ ちゃんとシャルに渡して鈴に伝えた?」

「おぅ、ちゃんとシャルとラウラに渡したぞ。 鈴音にはルームメイトのティナに言付け頼んどいたし」

「そっかぁ――……あれ? 今お兄ちゃん、誰と誰にチケット渡したって? 確かチケットは五枚しか無いんだよ?」


 そう言いながら腕組みをする美冬、未来はウォーターワールドの事は知ってるものの会話内容にはピンとこないのか首を傾げた。


「んと、話せば長くなるんだが。 簡素に言うとラウラも明日ウォーターワールドに行けるようになったは良いものの、既にチケットが無いから俺のを渡したって訳」


「もう……相変わらずお兄ちゃんって自己犠牲の塊なんだから……。 き、嫌いじゃないけどさ……」


 最後の方で嫌いじゃないけどと言い、ふぃっと俺に顔を見られないように逸らす美冬。

 そんな美冬を見た未来は、くすっと微笑を溢すと共に口を開く。


「ふふっ、そうね。 ヒルトの良い所と悪い所よね? ヒルト、たまには自己犠牲しなくても良いんじゃない?」

「いや、ラウラの喜ぶ顔を見たら流石に無理だぞ? それにさ、俺が当日券並んで買えば問題ないだろ?」


 そう言うと、未来が驚いた表情と共に反応し――。


「当日券って……二時間並ぶの!? 熱中症に気を付けないと、ダメだよ!?」


 心配の為かどうかはわからないが、若干語気が強くなる未来を見ながら俺は答えた。


「わかってるって、ちゃんと飲み物用意して並ぶしな」

「それだけじゃ駄目。 ちゃんと帽子も被りなさいよ? いい?」


 腰に手を当て、人差し指を立てながら言うその姿は、何と無くお姉さんぶってる様に見えなくもない。


「へいへい――ってか帽子あったかな……帽子嫌いだからなぁ、俺」

「……もう。 じゃあせめて頭にタオル巻きなさいよね?」

「おぅ。 そっちのが俺らしいからそっちにするか」


 そう言うと、納得したのか笑顔のまま座った未来――と。


「……じゃあ、その心配はもう大丈夫だね? ……お兄ちゃん、そう言えばセシリアにちゃんと伝えた? 皆が来るのを」

「……あ」


 そんな声が出ると、呆れた様に溜め息をつく美冬が――。


「はぁっ……。 お兄ちゃん、ちゃんとセシリアに伝えないと彼女怒るよ? ……まだ多分起きてる筈だから、説明してきてよね?」

「あぁ。 ……配慮不足だったな。 美冬、悪いな。 ――今すぐ言ってくるさ、これがな」

「ん、いってらっしゃーい~」

「私と美冬はまだ暫くここに居るからね?」


 ひらひらと二人が手を振るのを見てからそれを返し、俺はセシリアの部屋へと向かった――。

 その一方、ベンチに座ったままの二人は……。


「お兄ちゃんがうっかり言うのを忘れるって珍しいよね?」

「ふふっ。 ……行くことが可能になった子が増えて、ちょっとだけ視野が狭くなっただけだよ。 昔、何度かあったじゃない」

「あ……それもそうだね。 ……でも、何だかんだで忘れてたとしても、その事ちゃんと謝るから……お兄ちゃんは……」


 そう言ってまだ少し残っていた缶ジュースに口を付け、一気に飲み干すと美冬は未来に笑顔を向ける。

 そんな美冬に応えるように笑顔を返すと、どちらともなく吹き出すかの様に笑い声が通路に響き渡った――。


――セシリアの部屋前――


 セシリアの部屋前にたどり着くと同時に、俺は部屋のドアをノックする。

 コンコンという音が通路に響くと、一瞬の静寂が訪れてからドアの開閉音が響き渡った。


「あ……ヒルトさん? こ、こんな時間にどうかなさいましたか?」


 ドアを開けたのはセシリア本人だった。

 ルームメイトの子が開けるのかとも思ったのだが……。


「あぁ、明日のウォーターワールドでちょっと変更があってな。 ……いいか?」

「え、えぇ。 ……立ち話も何ですから、お部屋へどうぞ」

「あ、直ぐに済むからここでいいよ」


 部屋へ招き入れようとするセシリアだったが、流石に要件が短い事もあり、俺は断りを入れた。

 それを聞いたセシリアの表情が一瞬曇るが、それを払拭するように軽く頭を振ると――。



「わかりましたわ。 ……それで、変更点というのは……?」

「ん、まあまずは一夏と鈴音だが――一夏が無理って事で鈴音が合流するよ。 ……まあこれは、チケット渡した時に鈴音が言った事だがな。 ……流石に鈴音一人でウォーターワールドって寂しすぎるだろ?」

「……そ、そうですわね。 ……はぁっ、やっぱりこうなるのですね……」


 落胆した様に肩を落とすセシリア。

 だが、まだ報告は残っているので――。


「……悪い、また肩を落とすかもしれないが。 シャルとラウラの二人も、明日来ることになってチケット渡したから。 一応現地に10時集合なのは変わらずで」

「…………そぅ、ですか……。 ……あの、ヒルトさん?」


 明らかな落ち込みように、内心物凄く悪いと思っていたら何か疑問に思ったのか――。


「う? ……どうした?」

「えと、勿論ヒルトさんもウォーターワールドに……?」

「おぅ、誘った本人が行かなくてどうするんだよ」

「そ、それはそうなのですが。 ……その、どう計算してもチケット五枚――」

「あぁ、それなら俺が当日券買って入場することになってるから大丈夫だ。 ……もしかすると少し待たせるかもしれないからさ、先に入って遊んでても構わないぞ?」


 そう告げると、セシリアはふるふると横に首を振ると――。


「……いいえ、わたくしはちゃんと貴方をお待ちしますわよ? ……多分、他の方も同じように言いますわよ」


 そう告げるセシリアの表情は和らいでいて、自然な仕草で自身の胸に手を当て、微笑を浮かべた。


「そ、そうか? ……熱中症だけ気を付けろよ、セシリア?」

「えぇ。 ……ヒルトさん、いつもお気遣いありがとうございます♪」

「……いや、本当は俺が謝らないといけないんだがな。 ……また今度、料理教えるからな? 終業式前に教えたのがサンドイッチだが、次は日本のおにぎりだ。 ……簡単に見えるが、少なくとも俺は三角に握るのは苦手だ。 ははっ」


 そんな苦笑を漏らすと、セシリアも何処かおかしかったのか口元を手で隠すように笑みを浮かべた。


「……っと、遅い時間に悪かったな、セシリア」

「……いいえ、当日に知るよりかはこうしてヒルトさんが教えに来てくださったのが嬉しいですわ」


 そう言ったセシリアは、直ぐ様くるりと後ろに向いた。


「……他の方が居たとしても、二人っきりになるチャンスが消えた訳ではありませんものね……」


 何やらセシリアが呟いているのだが、小さい声な上、俺に背を向けて呟いているため全く聞き取れず――何を呟いたのかが気になり、もやもやした気持ちになった。



「……じゃあ、明日朝の10時に。 場所はわかるか?」

「えぇ。 わかりますわ、ですから安心してくださいな♪」


 後ろを向いていたセシリアは、再度此方に向くとふわりとスカートが舞う。


「……じゃあ、遅い時間に悪かったな? ……セシリア、おやすみ」

「えぇ、それではおやすみなさいませ」


 手を振ると、セシリアも同じように振り返す。

 ドアが閉じるのを確認すると、俺は来た道を戻って行った。

 自販機付近のベンチには、既に美冬と未来、二人の姿は無かったので多分自室に戻ったのだろうと思い、俺もそのまま部屋へと戻って明日の準備をすることに。

 ……熱中症対策、しないとな。 
 

 
後書き
ヒルトに思うところある方

多分、皆が思うヒルトにはなれないかもしれないのでご了承を

ヒルトへの感じ方は、千人居れば千人が違うように感じると思いますので

人によっては、かっこよく見え、また別の人にはヘタレに見えと色々あるかもですが……多分、全部がヒルト何だと思います

完璧な人間は居ない、ヒルト自身もまだまだ成長期だと思って暖かい目で見てやってくださいませ 
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