| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

【第207話】

 場所は既に知っているため、俺が先導する形で公園を進んでいくと、流石に女子高生が局所的にいる箇所に気づいたシャルが声をあげた。


「ヒルト、あそこがそうなの?」

「あぁ、俺にとっては究極の異空間だが……目的地のクレープ屋だ」

「ほぅ……。 ……しかし、女子高生ばかりだな」

「まあな、疲れた時は甘いものが相場って事で、この辺りは結構そういったのが多いんだよ。 チョコバナナ屋や他にもパン屋があったりするんだよ。 まあ今日は来てないようだがな、これが」


 そんな説明をしてると、待ちきれないのかシャルが――。


「じゃ、じゃあ、早速頼んでみようよ」

「……そうだな、またあのおっさんのドヤ顔見ないといけないのがダルいが」


 そんな呟きは、女子高生のかしましい声にかき消される。

 シャルに至っては待ちきれない様で、ラウラの手を引いて移動型店舗のバン車へと向かった。

 ……因みに、男は俺だけなので妙に突き刺さる視線が痛い。


「すみませーん、クレープ二つください。 ミックスベリーで♪」


 そんな眩しい笑顔で注文するシャルに、店主が人懐っこい顔のまま頭を下げた。


「あぁー、ごめんなさい。 今日、ミックスベリーは終わっちゃったんですよ」

「え? ……そ、そうなんですか。 残念……。 ラウラ、別のにする? ヒルトは?」

「ん? どうせ俺は二種類頼むつもりだからな。 ラウラ」

「……うむ。 ではイチゴとブドウのクレープをくれ」


 そう言い、指を二本立ててからラウラはシャルと自分の分の料金も払ってしまった。

 ……まあ払った以上は後から俺が出すわけにもいかないよな。

 そんな考えを他所に、シャルが口を開き――。


「ラウラ、いいよ。 ここは僕が出すって。 ヒルトの分も、二人には付き合ってもらってるんだから」

「ん? 俺なら気にするな、てか逆に俺が出さなきゃダメだろ」

「……む。 そういえば嫁の分を出すのも忘れていた――」


 そう言って自身の財布から再度お金を取り出そうとするラウラを、慌てて制止する。


「い、いいって。 今日はシャルの分だけ奢りなよ。 俺は自分の分払うし」

「む……だがそれだと夫としての立場が――」

「はい、おまちどおさま」


 遮るように店主が割って入ると、出来立てのクレープがラウラの前に差し出され、仕方無しに受け取る。


「む。 ……次は私が出すからな。 シャルロット、どっちがいい?」

「んと。 ……じゃあ、イチゴかな?」

「了解した。 ……ヒルト、私達は先に向こうのベンチで食べてるぞ」


 そう指差し、ベンチへと向かうラウラとシャルを見送ると――。


「じゃあ、俺もさっきの子と同じものを一つずつで」

「わかりましたー」


 そんな返事と共に、クレープを作り始める店主――。


「お客さん、さっきの子達、どっちが本命なんですか?」

「ん? ……さぁ、どっちでしょうかね? ――何て、二人ともいい子ですからね。 自分には勿体無いぐらいに……」

「そうですか。 ……ここのクレープ食べて、どっちかと――何て。 はい、おまちどおさま」

「ありがとう。 ……ミックスベリー、ここで食べるのこれで四回目ですけどね」


 そんな小さな呟きは、店主の耳には届かずに消えていく。

 受け取ったクレープ二つを手に持ち、俺は二人の元へと向かった。


「おっす、待たせた――…………」


 今俺が目にした光景は幻覚だろうか?

 俺の目にはラウラがシャルの唇をそっと舐めた気がしたのだが――と。


「なっ、なぁっ、ななななっ!?」


 突然のシャルの声とその表情が真っ赤に染まるのを見て、やはり幻覚ではなかったと――。


「ぅおいっ!? ラウラ! 何してるんだよッ!?」

「む? ……嫁に見られたか。 シャルロットの唇にソースがついていたのでな」


 そう言うラウラは、どこかおかしいかという表情で俺を見てきた――と、狼狽しているシャルが。

「だ、だだっ、だだだからってヒルトの前で、え、えぇぇ!?」


 俺にその現場を見られたせいか、通常の五倍ぐらいの慌てようにシャルの脳内キャパが越えそうになっていた。


「両手が塞がっていたからな」


 さも当たり前の様に告げるラウラは、右手のクレープと左手の紙袋を持ち上げて俺達に見せた。

 まあ確かに塞がってはいるが――俺も両手クレープだけど。

 とりあえず両方のクレープを一口租借してると――。


「ら、ラウラ、そ、それなら次からは言って――」

「む? だがすぐに垂れ落ちそうだったのでな――おっと」


 そんな風にシャルに言ってると、自分の手の甲に垂れたソースをそっと舐める。

 その仕草は、どこか淫靡な感じがするのだが、多分本人にはその気はないのだろう。

 だが、そんな仕草も今のシャルには過剰反応してしまうようだ。


「まあシャルも落ち着け、ラウラも、次から気をつけないと百合に目覚めたのかと思っちゃうぞ? 主に俺が――。 ほら、二人ともまずは俺のクレープを食べな」


 そう言って一口かじったクレープを差し出す暴挙に出る俺。

 親しくもない間柄でこれをすると、一発でセクハラになるだろう。

 そんな差し出されたクレープを、びっくりした表情でシャルは見つめた。


「い、いいの……ヒルト。 うぅ、さっきの事といい今回といい……何だか二人して僕をドキドキさせる策略何じゃないかって勘繰っちゃうよぉ……」


 耳まで赤くなるシャルは、さっきのラウラがしたことを思い出したのだろう。


「ははッ、そんなつもりだったらもっと別な方法を取るさ」

「……ふむ、浮気なら許さんぞ。 だが、ヒルトのクレープはいただこう。 ……ヒルトとミックスベリー……♪」


 一瞬表情が緩むラウラだが、直ぐ様いつもの表情へと戻すと、紙袋を地面に置いて髪をかきあげながらはむっと……小さな一口でイチゴ味のクレープを食べた。


「あ……。 じ、じゃあ僕も貰うね? ……ん……あむっ……」


 そうシャルが言うと、上目遣いで俺を見ながらブルーベリー味のクレープを食べる。

 その頬が若干赤くなってるのは相変わらずだが、その食べる仕草にエロさを感じるのは――俺がエロいんだろうな……。

 二人とも俺のクレープを一口食べたのを見てから、手に持ったクレープを一気に食べていく。

 そんな様子に、シャルが困ったような笑顔になりながらも俺の様子を見つめていた――と。


「ああ、ヒルトはもう知ってると思うがあのクレープ屋にだがな、ミックスベリーはそもそも置いてないぞ」

「え?」


 そのラウラの言葉に、小さく驚きの声をあげるシャル。


「シャルロットは厨房を見なかったのか? ……あのクレープ屋の厨房にミックスベリーらしき色のソースは見当たらなかったからな」

「まあそもそもメニューに無いからなぁ……」


 そうラウラが言ってから俺も続いて言うと――。


「そ、そうなの? ……ラウラ、よく見てるね?」

「当然だ。 あれがもしテロリストの偽装だったらどうする。 あの距離でフラググレネードが起爆してみろ。 ISを急速展開しても命に関わる」

「ははッ、ラウラらしい観点だな。 ……まあ日本でテロが起きれば大ニュースになるがな」

「……それもそうだな。 だがヒルト、ISを所持してる以上は気をつけて損はないぞ」


 そう言うラウラの表情は真剣そのものだが、いかんせんクレープを持ってる為ギャップが激しい。


「……まあ気をつけるよ。 仮にIS操縦者を狙う輩がいるならまずは俺か一夏だろうからな。 ……話題、変えるか」


 そう言って無理やり話題を変えると、俺はクレープの話に戻すことにした。


「……そういや、シャル。 メニューには無かったが、ミックスベリーは食べられただろ? ラウラも」

「う、ぅむ」


 ラウラは小さく頷くと、嬉しかったのか笑みを浮かべた。

 一方のシャルは、何でミックスベリー食べられたの?といった感じで首を傾げていた。


「ん、まあラウラがシャルに直ぐに気付かせない為に言ったと思うんだが。 ――ラウラのクレープと俺が食べさせたクレープって、ブドウじゃなくブルーベリー何だよね」


 そう言うと、シャルは考え事をするように頬に指を当てる――そして、閃いたのか声をあげた。


「ああっ! ストロベリーとブルーベリーだね!?」

「そう。 ……まあブドウとブルーベリーは別物だが、ラウラ的に気付かせない為の配慮――だろ?」

「ぅむ。 ……流石は私の嫁だ。 ここまで以心伝心するとは……」


 ウンウンと嬉しそうに頷くラウラを笑顔で見るシャルは、そっと呟く。


「そっかぁ……。 『いつも売り切れのミックスベリー』って、そういうおまじないなんだ」

「あぁ、因みにこれ、特別恋人同士で食べて幸せって訳じゃなく、家族同士で食べてってのもあるからな」

「そっかぁ……。 ――ヒルト、結構詳しくない? ……もしかして――」

「あぁ、俺はもう家族とも食べてるからな。 ついでに言えば男友達とも食った」


 そう俺が言うと、聞きにくそうにシャルが聞いてくる。


「……んと、もしかして……未来と……食べた事ある?」

「未来? ……未来ともあるが、あの頃は確か小学校上がりたてでまだ噂は無かった頃だからなぁ……」


 俺の言葉に、ホッと安堵の一息を吐くシャル。

 ラウラも少し気になってたのか、俺の言葉を聞き終わるや瞼を閉じてそっとクレープを食べて一言……。


「夏休みも中盤だな」

「……ふふっ、そうだねぇ」

「だな。 ……そろそろアリーナ開放してくれないかなぁ……」

「ん~、山田先生が言ってたけど……そろそろアリーナ担当の先生が帰国するって言ってたよ?」


 そうクレープを食べながらシャルが俺に告げる。

 ……旅行か何かだろうか?

 何にしても、感覚取り戻すのとまだ出遅れ気味だからもっとISの事を勉強しなければ……。


 陽が傾き、太陽が地平線の彼方へと吸い込まれていく――。

 まるで太陽が最後の断末魔をあげている様に感じるのは……多分、気のせいだろう。 
 

 
後書き
IS最終回視聴

もうツッコミ所が多すぎて(゚o゜)\(-_-)

死傷者0はあり得ないだろ

打鉄爆発してたぞ、空中で

仮にあれで脱出しても高いところから生身で落ちるのだから……

後、一夏迂闊すぎ

爆発したモノレールが気になるのはわかるが戦ってる最中でそっちに気をとられるとか

市街地戦もそうだが

とにかくツッコミ(゚o゜)\(-_-) 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧