IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第338話】
前書き
シャル回
朝食を食べ終えた俺は、ラウラとそのまま寮の食堂で別れ、現在は椅子に凭れながら飲み物を飲んでいる――と。
「ヒルト、ここ良いかな?」
朝食を手に持ち、シャルが笑顔で声をかけてきた。
服装は俺と同じジャージ姿で、かつてシャルが俺に性別を打ち明けた時と同じ様に髪を下ろしていた。
久々に見るシャルのロングヘアー姿に見とれていると、いつまでも返事が無いのが不安になったのかシャルは――。
「め、迷惑なら僕は向こうで食べるけど……」
悲しそうな笑顔でそう言うが、本心はそうじゃない事がわかっている。
返事をしない俺が悪かったのだが――。
「迷惑じゃないよ。 ……悪い、つい見とれててな。 シャルのロングヘアーって俺と同室以来だろ?」
「あ……。 い、いきなり見とれるだなんて……ぼ、僕……恥ずかしいよぉ……」
朝食をテーブルに置き、両手で自分の頬に触れながら照れ隠しするシャル。
「で、でも……ヒルトが見とれてくれたなら僕は嬉しいな♪ た、たまには髪を下ろして過ごそうかな……」
自分の金髪を指で弄りながら言うその姿がまた可愛く見える。
……正直、シャルはどんな髪でも似合う気がする。
夏に見たサイドポニーとか、正直ライムグリーンの水着の色と相まって更に魅力を引き出していた気がする。
俺がいなかったら、例え女尊男卑な世界でもシャルへのナンパは絶えなかっただろう。
まあ残念ながら俺が居たがな、これが。
「あぁ、たまには良いんじゃないか? ISの授業の弊害になるなら別だけどな」
「そうだね。 ふふっ、ヒルトはもう食べたの? さっきラウラと擦れ違ったけどもしかしてラウラと食べた?」
正面の椅子に座り、微笑みながらそう言うシャル。
隠す内容でも無いため、俺は正直答える。
「あぁ、さっきラウラと一緒に朝食とったよ」
「そっかぁ……もしかして、一夏が居なくなったからまたヒルトの部屋に忍び込んだの?」
「あぁ、起きたら隣で寝てたよ」
「…………」
複雑そうな表情のシャル――多分、訊いたことでヤキモチ妬いたのかもと思ってしまう。
「……僕だってヒルトと一緒に寝たいのに……」
そう小さく呟くシャルの言葉が耳に届く。
シャルが隣で眠ってたら……多分、最初にラウラにしたようにおもいっきりお尻を揉みそうな気がする。
……てか、胸は触ってるんだよな……手の甲だが。
不意にその時の感触を思い出してしまい、下半身に血液が集中するのを感じてしまった。
「あ、ヒルト? 昨日は制服の上着、ありがとうね? 夜に返しに行くよ」
「ん? 夜にか?」
「うん。 僕これからラファールの整備しようかと思って。 たまにはちゃんとしっかりメンテナンスしないとね? ヒルトは村雲の整備しないの? ……っていうか、首のチョーカーは?」
俺の首にいつも巻かれていたチョーカーが無いことを指摘するシャル。
チョーカーは村雲・弐式の待機形態だが、美春に譲ったため巻いてないのは普通だが、事情を知らない人にとっては気になるらしい。
「……ちょい事情があってな、村雲・弐式は転入予定の子に譲ったよ」
「えぇっ!?」
大声と共に立ち上がるシャルに、朝食を食べていた他の女子の視線が集中した。
恥ずかしくなったのか、座り直すと身を乗り出し、小さな声で再度訊いてくる。
「……な、なんで……? も、もしかして日本政府が取り上げたの……?」
「……いや、俺の意思でその子に譲ったんだよ」
「な、なんで……? せ、せっかくの専用機なのに……」
まるで自分の事の様に心配するシャル、気遣いが正直嬉しく思う。
「良いんだよ、その子に専用機が無いと色々まずいことになるからな。 ……専用機が無いからって俺が変わる訳じゃないさ。 だろ?」
「そ、そぅだけど……。 せ、専用機が無いと訓練するのが大変じゃない……?」
指摘通り、あの書類の山にサインをしなければいけないと思うと憂鬱な気分になるが、だからといって一度譲ると言った以上は覆す訳にはいかない。
男がどうたらこうたらっていう話ではなく、俺自身がそう決めたのに簡単に覆しては何を言っても人に信用されなくなるからだ。
……こう思うと、俺も一夏と同類な気もするがな、これが。
「まあ大丈夫――」
そう俺がシャルに言おうとすると、不意に言葉の横やりが入ってきた。
「有坂、デュノアもそのままで構わない。 有坂はこの後何か予定でもあるのか?」
「お、織斑先生!? お、おはようございます!」
声をかけてきたのは織斑先生だった。
その姿に気付いた寮の食堂にいた生徒から一斉におはようございますの挨拶の合唱が聞こえてくる。
少しめんどくさそうに溜め息を吐くと、短く「おはよう、諸君」と言って挨拶した。
面倒な理由は多分一斉におはようコールが流れたからだろう。
とりあえず、訊かれた内容には答えねば……そう思い、視線を織斑先生へと移した俺は――。
「いいえ、今日は特に予定はありませんが」
「成る程。 ……有坂、お前に専用機が無いのは授業に支障が出る。 代換機といえば聞こえは悪いかもしれないが、学園側でIS一機用意してある。 ――とはいえ、有坂自身が決めるのだが」
「え? それってどういう意味でしょうか?」
言葉の意味が直ぐにはわからなかった俺は、素直に聞き返すと――。
「学園にある訓練機の内の一機、暫くお前用の専用機にしても良いということだ。 ……コアの奪還の功績でな、私と真弥、後は有坂先生が昨日上層部を説得した。 これで少しはお前の待遇も変わると良いのだがな」
いつも見せる厳しい態度とは違い、柔らかな笑みを浮かべた織斑先生。
だが、その笑みも直ぐにいつもの織斑先生の表情へと戻った為、一瞬白昼夢でも見てるのかと思った。
説得――多分、物凄く精神を磨り減らしたんじゃないのかと心配になってしまうが、織斑先生の表情を見る限りは睡眠はちゃんととれている様に見える。
「そういう訳だ。 既に話も通してあるから一機、選んでこい。 それと、選んだ機体は改造しても構わないからな。 ……では、邪魔したな」
いつもの様に腕を組むとそのまま立ち去っていく織斑先生。
話の内容は基本、シャル以外に聞こえないように話をしていた為女子は色々な噂をしていた。
「えへへ、ヒルト、良かったね♪ せ、せっかくだから僕も着いていってもいいかな?」
まるで自分の事の様に喜ぶシャル。
パァッと花開く様な笑顔は、同性から見ても非常に可愛く見えるだろう。
「構わないが……ラファールの整備の方は良いのか?」
「整備も大事だけど、時間をずらせば問題ないしね♪ じゃあ、食べ終わったら早速行こうね♪」
そう言って朝食に手をつけ始めるシャル、それを見てると何だか妙にお腹が空いてくる……。
頬杖をつき、食べる様子を見ながら俺はコップに入った飲み物を口に含み、喉を潤すのだった。
後書き
機体選びへLet's go
モッピー知ってるよ。
打鉄は量産型だから、紅椿に勝てないって事。
_/⌒⌒ヽ_
/ヘ>―<ヘヽ
((/ ̄ ̄ ̄\))
/ ) \
/ | | //ヽ ヘ
| ハ | /イ | |
レ |/ レ| N\|||
/| |≧ ヽ|≦ |||
/ ヽ|゙ ゙|/ /
\_(ヽ  ̄ /⌒)ヽ
/ | T ̄ ̄| ヽ |
/ /ヽノ \_ノ|
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