IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第300話】
学園祭前日。
場所はとある高級マンションの一室――。
「皆居るわね? では、私から明日の作戦内容を説明するわね」
そう言って部屋に集まっていたオータム、エム、カーマインの三名に視線を移すスコール――。
「今回の作戦は至って単純。 まずオータムが【御劔の巻紙礼子】として学園内に、その後織斑一夏と接触して彼のIS、【白式】の奪取を行う。 ……わかったかしら、オータム?」
「ああ……。 この【剥離剤(リムーバー)】をあのガキにくっ付ければ良いんだろ? 楽勝だな」
そう言ってオータムはリムーバーと呼ばれた物を取りだし、空へ投げては空中で掴む。
「……あぎゃ。 そうやって調子にのってると、足元をすくわれるぜ、オータム?」
「……てめぇ。 喧嘩売ってんのかよ?」
カーマインの言葉に、怒りを隠さずに振り向くオータム。
その表情は険しく、見る人によっては醜悪さを感じるだろう。
「ハッ! いちいちお前に喧嘩を売るほど俺様は暇じゃねぇ……。 リムーバーは二個あるが、大事に扱えよ。 ……白式奪取後は速やかに撤収ポイントに移動だ。 そこでエムが回収、俺様も援護はするさ」
「……何でてめぇが途中で説明してるんだよ!」
「やめなさい、オータム。 ……煩いわよ」
怒りに任せて詰め寄ろうとしたオータムを、冷たい言葉で静止するスコール。
まさか止められるとは思わなかったのか、少し驚きの表情を浮かべていた。
「……カーマインが言った通りに事を運ぶのよオータム? ……もう一つの剥離剤の使用は貴女に一任するわ。 ただし、【紅椿】以外のISを狙うこと……良いわね、オータム?」
「……っ。 ……わかっ……た」
「良い子ね、オータム。 ……此方にいらっしゃい」
さっきまでの冷たい言葉と違い、非常に優しい口調でオータムを呼び寄せたスコール。
オータムも、ホッと胸を撫で下ろし、甘えたような眼差しでスコールを見つめていた。
そんな様子を、カーマインはくだらなさそうに見、エムは冷めた瞳のまま見つめていた。
「あぎゃ。 さて、俺様はそろそろ寝るかな。 ……エム、明日はIS学園上空でステルスにて待機だ。 俺様は学園内には入れないから、一旦海中から潜入――上陸後、回収地点付近に潜伏する」
「……了解した」
短く返事をしたエムは、窓から下界の行き交う光の洪水をまた眺め始めた――。
「……あぎゃぎゃ。 オータム、失敗するなよ?」
「ハッ! 失敗何かするかよ!」
そんなオータムの声を背中で聞き、カーマインは自室へと戻っていく……。
「……あぎゃ。 まあ失敗したとしても、少なくともIS一機は【破壊】しないとな、俺様と……俺様の【ユーバーファレン・フリューゲル】の手でな! あぎゃぎゃぎゃぎゃッ!!」
邪悪な笑い声が響くと共に、全身を覆うISの装甲と翼――室内は漆黒の闇で照らされる中、青いツインアイが煌々と輝きを放っていた――。
後書き
次回から学園祭に突入
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