IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第159話】
前書き
リベンジバトル決着か?
はたまた箒の逆襲が始まるか
大きくダメージを受け、篠ノ之のシールドエネルギー残量も既に三分の二を切っていた。
まだ俺に対して、ろくに攻撃も行えず、行ったとしても近接戦闘ではその激情に身を任せた剣閃は見切られ、離れての攻撃を行っても直線を描く光弾及び光波の軌跡を見極められる為に苦虫を潰した様な表情を浮かべる。
『やっぱり彼女、紅椿――機体の性能を引き出せていないわね?』
そんな声が聞こえてきた――ムラクモだ。
『……そりゃそうだろ?はっきり言って篠ノ之に最強の機体渡した=本人が強いではないからな。……それだけで強くなるなら、誰も努力なんてしないし、向上心も無くなるだろ?逆にそんな事で強いと自負する方が恥ずかしくて敵わん』
『うん。……ただ、やっぱり近接戦闘に関しては彼女、剣道やってるから冷静ささえあれば強いかも』
『……それに関しては同感だな。――まあ、難しいだろうがな』
『そうね。――でもヒルト、油断大敵だからね?』
『……あぁ、わかってるよムラクモ』
短く返事をすると、ムラクモの声が聞こえなくなった――。
「さあどうする篠ノ之?このまま降参するか、続けるか?」
そう告げ、天狼の刃を篠ノ之に向けると睨み返して――。
「……そんな決定権、貴様にあるのか!?」
「……成る程?――口の聞き方、気をつけろよ!」
言うや、全スラスターからエネルギーの奔流が溢れだし、排熱処理の為各種装甲がスライド――白銀に輝く粒子を放出し始めた。
溢れ出るエネルギーの奔流は、まるで村雲自身の猛りにも見え、咆哮してるかの様な印象を、模擬戦を見ている全員に印象付かせた。
白銀に輝く金属粒子も、村雲周辺を幻想的に見せる――。
それを見た篠ノ之も、対応しようと単一仕様を使おうとするが――。
「……っ。何故……絢爛舞踏が発動しないのだっ!」
肝心な時に単一仕様が発動しない事に、憤りを感じる篠ノ之。
「おいおい、ここに来て特殊能力頼みか?このピンチ、自身の力で切り抜けるつもりはないのかよ?……てか、あんな能力に頼って私は強いだの自負するなら、恥ずかしすぎるぞ?まず、自身の力じゃなくて機体の特殊能力で勝てただけだからな」
「クッ……貴様だって、同じ状況なら使う筈だろ……」
「……何でだ?……悪いが、自分が圧倒的有利になる為の単一仕様とかは使う気はないぞ?使っても、一試合に一回の制限を自分に課すし、必要なら第三世代兵装すら試合の時は封印するさ、俺はな」
「…………ッ!?」
「信じる信じないはお前次第さ。……まあどちらにせよ、八式・天乃御柱はクサナギに搭載されたままで回収してないから使えないがな、俺」
そう、実は御柱はあのままクサナギの腕部に装着されたままなのだ。
しかも、右腕が爆発したせいで四基は小破していたし……まあ無いなら無いで仕方ないが。
「さて、話してても仕方ないし……降参しないようだし。……悪いが、一気に行かせてもらうぜ!!」
「くっ……!」
背部スラスターから溜めたエネルギーを放出し、瞬時加速を行う。
一気にトップスピードに乗り、肉薄すると勢いそのまま、体当たりを入れる。
激しく当たり散らし、重厚な金属音を鳴り響かせ、篠ノ之の紅椿の装甲の破片を巻き散らかせた。
その際、此方の装甲にも傷が付くが新たに進化したナノマシン装甲により瞬時に傷が修復される。
体当たりの衝撃で吹き飛ばされる篠ノ之は悲鳴を上げた――。
何とか体勢を立て直そうと全身の展開装甲を開き、姿勢制御を行うが――。
「このまま押しきるさ、これがなぁッ!!」
「なっ……!?」
瞬時加速で再度急接近――勢いそのまま、腕部展開装甲へと左脚部スラスター全開に噴かせ、勢いのついた蹴りによる一撃。
咄嗟に小さなエネルギーシールドを発生させた篠ノ之だが、その一撃を相殺する事は出来ずまた大きく体勢を崩した。
「あぐ…っ…!」
小さく喘ぐ篠ノ之に、追撃を行う。
少し横に飛ばされた篠ノ之を追うようにクイックブースト、追い付くや直ぐ様全身のスラスターを器用に使いこなし、サマーソルトによる一撃を与えた。
威力はそれほどは無かったが、体勢を崩していた篠ノ之は少し宙に浮かび――。
そのまま肩部装甲を押し出すように右脚部で蹴るや、きりもみしながら海面へと篠ノ之は墜ちていく――。
「……悪いな、だが……降参しなかったのは篠ノ之の方だぞ?……負けを認める勇気も、時には必要なんだ」
静かに独り言を呟く……。
篠ノ之は、何とか体勢を立て直そうとしてはいるが既にぐるぐると回転しながら墜ちていて多分上下左右の感覚が麻痺しているだろう。
そんな篠ノ之が海面へと叩きつけられるその瞬間まで眺めていると――突如。
『ヒルト!高エネルギー反応接近!避けて!?』
「何!?」
頭の中を警報が鳴り響き、咄嗟にその場から後方へとスラスターを噴かして退避――。
先程まで居た地点を荷電粒子砲による射撃が通過していった。
そして――――。
「……どういうつもりだ、一夏」
静かに呟き、ビーチから瞬時加速で急速接近してくる一夏――と、織斑先生からのプライベート・チャネル通信が開く。
『有坂、すまないがそのまま織斑の相手もしてもらえないか?……あいつ、篠ノ之がお前にやられるのを見ていられなくなった様でな。此方で抑えきれなかった』
『……だからって、模擬戦に介入は――前にラウラが美冬やセシリア、鈴音に対してやった行為を俺がしたならいざ知らず……』
『……そうだな。……悪いが、うちの愚弟の相手をしてやってくれ。あいつには帰ったら反省文の提出をさせる』
『……了解』
通信が切れると同時に肉薄してきた一夏の雪片による斬撃を天狼で受け止めた。
「ヒルト、てめぇ……!」
「……お前、今何やってるのかわかって――」
そんな言葉を遮るように、左腕の雪羅をブレードモードに変更し、下から斬り上げてきた。
半身をずらし、その一撃を避けると同時に空いた右腕を振るい、勢いのつけたストレートを顔面に叩き込んだ。
「ぁぐっ……!?」
「少しは目が覚めたか?お前、一体何してると思う?」
絶対防御に守られているとはいえ、衝撃は相当だったらしく少しよろめく一夏――と、そんな一夏が口を開く。
「……関係ねぇ」
「あ?何が関係無いんだよ」
「……箒をあんな目に合わせた奴は、誰だと関係ねぇ……ぶん殴ってやる!」
「……お前だって模擬戦で篠ノ之や俺に対して散々やって来たことだろ?それどころか、俺が飛べない時には散々追い討ちしてたじゃねぇか……」
「そんなの関係ねぇ!箒が悲痛な表情をしていた……それだけでお前をぶん殴る理由は十分だ……ヒルト!!」
問答無用といった感じに、交互に交差させた二刀流による連撃を、俺は避けていく。
一夏の表情が語るに、既に頭に血が上っていて何を言っても無駄だろうと俺は判断したと同時に、鈴音の事が不憫に思えてならなかった……。
鈴音が同じ様に俺にやられてたとしたら、一夏は動くだろうか……と。
そして、一夏は何故篠ノ之がやられた事に対してここまで怒る理由に気づいてるのだろうか?
……まあ、俺にはわからないがな……誰かが過剰に攻撃して殺す寸前ならいざ知らず、まだ篠ノ之はエネルギーも残っていて、俺も降参を促したのだから。
そんな考えも他所に、一夏の怒りに任せた攻撃は続いていった――。
後書き
一夏の乱入だΣ(゜∀゜ノ)ノ
連戦
ヒルトが悪っぽい
批判などは感想にてどぞ
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