IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第228話】
前書き
短め
なし崩し的に一夏と篠ノ之に合流した俺と未来は、二人の後ろをついていく。
一夏としてはやはり合流したのが嬉しいからか、多少テンションが高いようだが篠ノ之は明らかに不機嫌そうな表情をしていた。
そりゃ、せっかく二人っきりだったのに邪魔な俺や未来が居るとなると面白くないのだろう。
……でも、俺からすればその選択をしたのは篠ノ之なのだから仕方がないと思う。
少し強めに一夏に言えばいいものの、多分強く言えば自分が一夏に嫌われるとでも思ったのかもしれない。
……まあ、嫌われたくないなら俺は刀を帯刀したりせずに素直になることをオススメするが――。
「ヒルト、最初は何処に行く?」
「は? 俺が決めるのか?」
いきなり話を振られ、まさか行き先も俺が決めるとは露知らず。
「……はぁ……。 ならスーパーボールでも掬うか?」
「……悪いが、掬うなら私は金魚と決めている」
いきなり拒否したのは篠ノ之だった。
腕組みしつつ、睨み付ける様な鋭い視線に、周りにいた子供が少し怯えていた。
「篠ノ之、何て目付きしてるんだよ。 ……じゃあ金魚掬いするか?」
「私は何でもいいよ? 輪投げでも射的でも、ね♪」
同意するように告げる未来の表情は柔らかく、篠ノ之の目付きで怖がっていた子供の頭を撫でるとその子も安心したのか笑顔が戻り、親の元へと戻っていった。
「箒、あんまり子供を怖がらせるなよ」
「……む、ぅ……」
一夏に指摘され、罰の悪そうな表情を浮かべた篠ノ之は、腕組みして瞼を閉じた。
「じゃあ金魚掬いな。 そういえば、箒って金魚掬いが苦手だったよな」
金魚掬いに決まったかと思えば、一夏の篠ノ之は金魚掬い苦手発言。
流石の篠ノ之もそれに反応し――。
「い、いつの話だ! いつの!」
そう声を荒げて反応する篠ノ之、突然の大声に周りの注目を浴びるのだが篠ノ之はそれに気付かず――。
「ん? 今は違うのか?」
「当然だ。 私をいつまでも過去のままだと思うなよ」
自信たっぷりに言うその姿はまさに威風堂々とした佇まいだ。
その篠ノ之の言葉に、一夏も口元を緩ませて――。
「じゃあ、勝負するか? もちろんヒルトと未来も参加な? んで、最下位になった奴が食べ物奢りな」
「はあ? 何で俺も未来も参加しなきゃいけないんだよ……」
強制的に決められ、文句を言う俺に対して篠ノ之が挑発的な口調で言い始めた。
「ふっ……。 有坂、素直に言えば良いだろ? 一夏や私に【負ける】のが怖い……とな」
「……篠ノ之さん、その物言いはよく無いわよ? ……それに――」
「ははっ、普段なら挑発に乗らないが――わざわざ篠ノ之が挑発したんだ、たまには乗ってやるよ」
未来の言葉を遮るように俺が口にすると、未来もそのまま口を閉ざした。
一方の篠ノ之は、不敵な笑みを浮かべると――。
「ふっ……。 なら決まりだな有坂。 ……飯山はどうする? 参加するのか?」
「私? ……うふふ、止めとくよ」
……まあ俺としてもその方が良いと思う。
未来って結構金魚掬いやらスーパーボール掬いが上手いからな。
……大会に出れるレベルかは知らないが。
そんなことを知ってか知らずか、参加しないとなると興味を無くしたようでまた再度腕を組む篠ノ之。
浴衣の上からでもわかるそれがずしり……と、組んだ腕に乗るその様は、周りの男子の注目を一心に浴びていた。
「んじゃ、俺、一夏、篠ノ之の三人でポイが破れるまで、モナカなら折れるまでに捕った数で勝負だな」
「あぁ、それで最下位になった奴が食べ物奢りで」
「いいだろう。 ふふん、有坂には負けない」
二人とも自信があるのか、既に勝利を確信してるかの態度に思えた。
人波を逆に遡り、少し進んだ先にあった金魚掬いの屋台。
見つけるや、二人は直ぐ様金魚掬い一回分の料金を支払い、モナカを手にする。
「おじさん、俺も一回分よろしくね」
「はいよ。 ……じゃあこれ」
料金を支払うと同時にモナカを手渡される。
未来も、俺の隣に屈むと店主から――。
「お嬢さんは参加しないのかい?」
「うん。 今回は三人の勝負を見るだけかな? うふふ」
楽しげに店主のおじさんと語らう一方、一夏と篠ノ之は――。
「あ、でも箒、今浴衣だよな。 大丈夫か?」
「ふっ、和服の扱いには慣れている。 心配も手加減も無用だ」
「まあ浴衣着たから負けたって言い訳しなきゃ、俺はどんな服装でも気にしないがな」
「…………ッ!?」
そんな俺の言葉に、またも眼光鋭く睨み付ける篠ノ之。
「有坂……貴様にだけは負けんぞ!」
「へっ。 返り討ちにして格の違いを教えてやるぜ!」
「ははっ、二人とも気合い入ってんな! ……じゃあ、勝負!」
そんな一夏の言葉が合図となり、俺を含めた三人のモナカが同時に水を潜って金魚を補足した――。
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