IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第231話】
前書き
原作の皆が集合in有坂家です
篠ノ之神社での夏祭りから数日が過ぎたある日。
現在、俺は自転車に乗ってスーパーからの帰り道の途中。
風を切り、運よく信号にも引っ掛からずに俺は自転車で帰り道を疾走していく。
暑い夏の日差しが燦々と降り注ぐ夏真っ盛りの八月だが、日焼けした小さな子供達は蝉とりに勤しんだり、市民プールに向かうのか友達同士で自転車に乗って上り坂を上る姿が見えた。
スピードを落とし、路地に入ってゆっくり自転車を漕いでると、家の前に誰かがいるのが目に映った。
遠目だと少しわからなかったが、あれは――。
「おーい、シャルーっ」
「ふえっ!?」
自転車に乗り、手を振って声をかけると明らかに狼狽するシャル。
そんなシャルが気になりつつも、俺は自転車から降りると――。
「よぉ。 ここで会うなんて偶然って言いたいが……俺んちの前だから偶然じゃないよな? 何か用事でもあったか?」
「あ、あっ、あのっ! ……うぅ」
「……?」
何か言いたげに指を弄ぶシャル――と。
「ほ、本日はお日柄も良くっ――じゃなくて!」
「はい? ……どうしたんだ? 一旦落ち着けよな、シャル?」
「う、ぅん……。 え、えっと……あのね……」
夏の暑さにやられた訳じゃないようだが、目まぐるしく表情の変わるシャルが何だか可愛く見える――そして、シャルが口を開き――。
「き……」
「……?」
「来ちゃった♪」
後ろに手を組み、笑みを添えながら言うその姿は正直可愛かった――。
暫く沈黙していると、流石に不安になったのか笑顔が少しずつ引きつっていった。
「……もしかしなくてもさ、俺んちに遊びに来たのか?」
「あ。 ……う、ぅん。 き、急にごめんね? め、迷惑なら帰るよ、僕……」
明らかにしょんぼりとした声と表情で、来た道を帰ろうとするシャル。
「帰るのか? ……別に迷惑何て言ってないじゃないか。 遠慮せず上がっていけよ。 親父も母さんも喜ぶぞ?」
「え? め、迷惑じゃないの? あ、上がっていいの!?」
帰ろうとした足取りを止め、振り向き様に駆け寄るその姿はまるでボールを取ってきた犬の様に思えた――いや、こんな可愛らしい女の子をそう例えるのはダメだな。
「勿論だよ。 せっかく来てくれたのに追い返したら俺、鬼だろ? ――てか他に用事とかは無いのか? あるなら先に済ませてからでもいいぞ?」
「う、ううんっ! ない! 全然ッ! 全く、微塵もないよ!?」
「そっか。 なら上がっていけよシャル。 俺は自転車置きにいかないとな」
そう言って一度玄関前に置いた自転車を、中の庭に入れようとするが――。
俺の乗ってた自転車に興味を持ったのか、シャルが口を開き、訊いてきた。
「……その自転車って、ヒルトの?」
「ん? そうだよ。 本来なら私立高校に通う用に購入したMTBだけど、IS学園に入学が決まったからな。 家の掃除も兼ねてたまに洗いに来てたんだよ」
そう説明すると、シャルはまじまじと自転車を見つめてから俺に視線を移す――と。
「そ、そっかぁ……。 ……後ろ、乗ってみたいなぁ……なんてね。 てへへ」
はにかむ様に告げるシャル、まるでというか、お願いをしてるようで――。
「……なら、後ろに乗るか?」
「え? ……良いの?」
「そのつもりで言ったんじゃ無いのか?」
俺がそう聞き返すと、恥ずかしそうに頷くシャル。
そんなシャルを見て、一度庭に入れようとした自転車を再度道路側へと押し出すと――。
「ちょっと待ってて、玄関に荷物置くから」
「だ、大丈夫だよ。 ……えへへ、ありがとう……」
そんなお礼の言葉を背中に受け、玄関を開けると開口一番に――。
「親父ー、母さーん、ちょっと自転車でその辺り一周してくるーっ。 荷物は玄関に置いとくからーっ」
そう言って買ってきた荷物を玄関に置くと、リビングから母さんが出てきて。
「あらあらぁ? 珍しいわね、ヒルトがそのまま自転車で一周なんて――気をつけて行ってらっしゃいね?」
「あぁ、行ってくるよ」
そう言ってまた玄関のドアを開けると、何故か母さんも見送りに来て――。
「あら? シャルちゃん?」
「わあっ!? お、お母さん……ひ、久しぶりです!」
「うふふ、久しぶりねシャルちゃん? ふふっ、だから自転車で一周って訳なのねぇ」
俺とシャルの二人を交互に見つつ、口元を手で覆うと柔らかな笑みを浮かべる。
一方のシャルは、いきなり母さんが出てきたことにびっくりした様子で――。
「んじゃ、母さん? 適当にぐるりって回ってくるから飲み物用意しといて?」
そう言いながら自転車に跨がると――。
「うふふ、わかったわぁ。 じゃあヒルト、シャルちゃんに怪我させちゃダメよ? シャルちゃんも気をつけてね?」
「は、はい! じゃあお母さん、行ってきます」
緊張してるのか少し声が強張ったシャル。
自転車の後ろの取手に足をかけると、俺の肩に手を乗せて――。
「わかってるって、じゃあ行ってくる」
そう母さんに返事をすると、俺はペダルを漕ぎ、自転車を漕いで道を進んでいった。
……そういや、美冬や未来を入れると後ろに女の子を乗せたのってこれで三人目だな。
スピードもそこそこに、カーブミラーに映る車に気を付けつつ自転車を漕ぎ続けるとシャルが――。
「んんーっ! すっごく気持ちいいねっ。 夏の日差しは僕には厳しいけど、風を感じると何だか僕の故郷を思い出すよっ」
「そうなのか? この辺りも案外サイクリングロードがあったりするからな。 春や秋とかは季節折々の桜や紅葉を駆け抜けられる道があって、案外良いものだぞ?」
景色が変わり、河川敷近くを疾走する俺と後ろに乗ったシャル。
進行方向にも、後方にも自転車や車、バイク等は居らず、河川敷の下ではゲートボールに勤しむ老人等が沢山居た。
「結構お年寄りが多いんだね?」
「ん? ……まあ確かに多いな、どこの街にも言えることだが日本は少子化な上に自殺する若い子も多いから」
「……そっか。 何だか、悲しくなっちゃうね……?」
首に腕をまわすとぎゅっと力を込め、後ろから抱き付くシャル。
「……まあこの辺りもこれからの日本の課題ってやつだな。 シャル、次はどっちがいい? 駅前か並木通りか」
「じゃあ……並木通りでっ」
「了解っ! 確り掴まれよ?」
そう言ってペダルを漕ぐ足に力を込め、スピードを上げていくと――。
「わあっ! ……あははっ! やっぱり風が気持ちいいねーっ」
最初はびっくりしたものの、直ぐに笑い声が聞こえると共に風を感じる声が聞こえた。
暫く走っていると、並木通りに入る。
流石にこの辺りは行き交う人々も多く、スピードを落として道を走るがそれでもシャルにとっては楽しい時間の様で――。
「ふふっ♪ 何だか楽しいなぁ~。 何でだろう♪ ね? ヒルトっ♪」
「ん? ふっ……。 俺と一緒だからかな?」
「ふふっ♪ どぅかなぁ……?」
イタズラっぽく口にし、ぎゅっと自分の胸を押し当てる様に抱き締めるシャル。
流石にこれは目立ち、行き交う人々の注目を一斉に浴びた為、一気に顔が赤くなってしまった。
「こ、こらっ。 皆が見てるって!」
「ふふっ♪ なら……見せつけちゃう?」
耳元で呟く為、言葉を口にする度にシャルの吐息が耳に吹きかかった。
少し心を乱されたが、スピードを落として路地に入ると見覚えのある道に入った。
「んぅ……。 もぅ終わりかぁ……。 まだ風とヒルトを感じたいなぁ……僕」
「……また機会があったら乗せてやるから。 てか学園に持ち込めるならいつでも乗せること出来るんだが――」
そう言いながら家の前に到着すると、後ろに乗っていたシャルが降りて――。
「……確か、自転車とかの持ち込みも大丈夫な筈だよ? ほら、学園にサイクリング部ってあるじゃない?」
「そうなのか? 持ち込めるならこいつの手入れも楽になるが……念のため山田先生に聞いてみるかな」
自転車を庭に入れ、玄関先に待たせたシャルの元へと向かうと。
「さあ、俺んちにようこそシャル」
「う、うん。 お邪魔します……」
玄関のドアを開き、シャルを招き入れるとその後ろから俺も家に入っていった……。
後書き
サイクリングしちゃいました
サイクリングになったか微妙だったりしますが
原作二頁も進んでないΣ(゜∀゜ノ)ノ
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