IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第236話】
前書き
短いです
――ヒルトの部屋――
部屋に入るや、美冬は勢いよく俺のベッドに腰掛け、身体が少し弾んだ。
「おいおい、美冬スカート何だからもっと恥じらいを持てよ……」
「へへっ、お兄ちゃんのえっち~」
悪びれもせずに悪戯っぽく笑う美冬に、やれやれと思いつつも――。
「どうだ? 二人が思ったような部屋じゃ無いかもしれないが――」
「い、いいえ! ……やっぱり、感動しますわ……。 ここがヒルトさんの……」
珍しいのか、色々な箇所をキョロキョロと見渡すセシリア。
「……僕、こういう部屋好きだよ? ……えへへ、それに……僕の想像以上に部屋が大きいね?」
シャルの指摘通り、確かに普通の男子よりは広いかもしれない。
何せダブルベッドと机にタンス、テレビや本棚を置いていても充分行き交う事が出来るぐらい広い。
「……私の部屋よりも少し広いもんね? 因みに、そこの窓から見える家が私の家で、その窓の向こうが私の部屋だよ」
そう説明する未来は、俺の机に備わった椅子に腰掛け、足を組んだ。
「……本当にお隣同士なのですわね」
「……未来が羨ましいな……僕」
若干表情に曇りが見える二人。
「……未来とは昔から幼なじみだしな。 まああんまり暗くなるなって、ほら、二人ともベッドに腰掛けなよ? 俺は床に座るかな――」
そう言ってる途中で、室内に携帯の音が鳴り響いた――。
皆が一様に携帯を取り出すと――。
「……俺の携帯だ。 悪い」
鳴っていたのは俺の携帯で、確認するとラウラからの電話だった。
「はいはーい、どうした?」
『む……ひ、ヒルト……だな?』
「おぅ。 どうした?」
電話の向こう側のラウラの声に覇気が無く、何と無く途方に暮れた様な声色に聞こえた。
電話の相手が気になるのか、皆が一様に俺を見ているので机にあるボールペンで紙に『電話相手はラウラ』と書くと、一様にホッとしたように一息ついた。
――誰だと思ったんだろう?
『……ヒルトの家に向かっているのだが……その……』
「ん? 俺んちにか? ……場所がわからないのか?」
『……ぅむ。 ナビの指示通りに来た筈なのだが……』
……もしかして、道に迷ったのだろうか?
「ん、なら迎えに行こうか? 何か目印あるか?」
『す、すまないがお願い出来るか? ……目印というか、近くに河川敷があって橋の上に――』
「ん。 なら案外近くだな。 ……じゃあ迎えに行くからそこで待機で」
『わ、わかった……。 ……すまない、手間をかける……』
迷惑をかけたのが負い目を感じるのか、声に力が無く、通話が切れる。
「悪い。 ラウラが来るんだがどうもこの辺りで道がわからなくなったらしいから迎えに行ってくるよ」
そう俺が伝えると、皆一斉に頷き――。
「わかりましたわ。 お早いお帰りをお待ちしてますわ」
胸に手を当てるセシリアは、いつもながら様になっていた。
「うん。 ラウラの事、お願いするね……?」
そう言いながらゆっくりとベッドに腰掛けると、軽くその感触を楽しむシャル。
だが表情はラウラが心配なのか、眉が少し下がっていた。
「じゃあ、戻ってくるまで皆と話してるよ」
美冬はそう言いながらベッドに身を預けるように寝転がった。
――他の男子の前でこんなことしないかが心配になる。
「ヒルト、気をつけてね?」
そう身を案じる未来。
まあ、事故は起こさないように気を付けないとな。
「じゃあ暇だったら漫画もあるし、適当に部屋漁っても構わないから」
そう言い、俺は部屋のドアを開けるとゆっくりと階段を下りていく。
ここで慌てたら階段落ちという洒落にならない結果に繋がるからだ。
一階へ下り、リビングを覗くと母さんが洗い物をしていたので――。
「母さん? ちょっとこれからラウラを迎えに行ってくるよ。 ……てか親父はどうしたんだ?」
「お父さんなら今、財団の方と電話してるわよぉ? ……何だか、財団経由でアメリカ政府直々の依頼らしいけど……。 詳しい話はまた後で話すと思うから、貴方はラウラちゃんを迎えにいきなさいな」
「……了解。 直ぐに戻るから」
そう言って玄関で靴に履き替えてから外に出る。
容赦無い夏の陽射しが降り注ぐ中、さっきの母さんの言ってた事を思い出していた。
……アメリカ政府が親父に直々の依頼って――。
情報が少なく、何故親父なのかはわからないがラウラをあまり待たせる訳にもいかないので自転車を道に押し出すと、俺はそのまま漕いでラウラの元へと向かった――。
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