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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第233話】

――二階――


 階段を上り、美冬の部屋の前まで移動するとドアをノックする。

 コンコンッと軽快な音が、二階通路と美冬の部屋に鳴り響き、暫く待つのだが――。


「やっぱり寝てるな。 美冬、入るぞ?」


 一応断りを入れて美冬の部屋へと入る。

 部屋は綺麗に整頓されていて、机の上には昔勉強していたIS関連の書籍が積まれていて、その隣にはバスケット関連の書籍が鎮座するように積まれていた。

 ベッドからはみ出してる美冬の綺麗な生足に、引き締まった魅惑的なヒップとそれを包む縞パン……。

 いつになく、無防備な格好だなと思うと俺は美冬の身体を揺さぶり……。

「美冬、起きろよ?」

「んぅ……まだ……眠たい……の……」


 寝ながらそう告げる美冬は寝返りをうつと、かけたシーツが肌から落ち、Tシャツ一枚着た無防備な上半身を晒していた。

 更に強調し、自己主張する二つの乳房の谷間が視界に映ると、流石に俺もまずい気持ちになって――。


「ほ、ほら起きろよ美冬。 下にケーキが待ってるぞ?」

「んぅ……けーき……?」


 ケーキと聞き、寝ぼけ眼を擦り、身体を起こすと俺と目があった。


「やっと起きたな、お寝坊さん?」

「……えへへ、おはようお兄ちゃん♪」


 起きて直ぐ様笑顔の美冬は、そのまま首に腕を回してくるとそのまま抱き締めてきた。


「お、おいおい。 朝から薄着で抱きつくなよ……」

「ふふっ、お兄ちゃん照れてる?」

「そりゃ……妹とはいえそんな格好で抱き締めてきたら照れるよ」

「ふふっ、水着でハグされてるって思えば大丈夫よ♪」


 美冬はそう言うものの、やはり兄妹とはいえ年頃の男女だから……。


「わ、わかったからとりあえず着替えろって。 シャルとセシリアが来てくれたんだよ」

「シャルとセシリアが? ……了解~、じゃあ着替えるからお兄ちゃん?」

「わかってるよ、部屋から出るから顔洗って下に来いよ?」


 そう言って俺は美冬の部屋を後にする。

 このまま待っていても良いのだが……とりあえず、一旦自分の部屋に戻って空気を入れ換えるかな。

 隣の俺の部屋に移動し、中に入って窓を開けるとちょうど未来も部屋の窓を開けた。


「あ、ヒルトおはよう~」

「おっす、おはよう」


 開けた窓から満面の笑みで挨拶をする未来は、昔も今も変わらない様に感じた。


「ねぇヒルト、今日時間あるかな? あるなら一緒に買い物行かない?」

「あ、今日は無理だな。 ……てか今シャルとセシリアが家に来てるからな」

「ふぅん……。 じゃあ、買い物やめて私もそっちで遊んでもいい?」


 窓に腕を乗せ、覗き込む様に見てくる――。


「あぁ、構わないぞ?」

「うん。 じゃあ直ぐに行くからね?」


 そう言って窓を閉める未来。

 それから暫くして未来の家の玄関のドアが開くと、急ぎ足で俺んちにやって来てチャイムを鳴らした。


「ん……出迎えるかな」


 窓を開けたまま、部屋を出るとそのまま階段を降りていく――と。


「ヒルトさん? 呼び鈴が鳴りましたわよ?」

「あぁ、未来が来たからこれから出迎えるよ」


 リビングから顔を覗き込んだセシリアに説明をすると――。


「う……、け、ケーキ……足りるかしら……?」


 困った様な表情になると、直ぐにリビングに引っ込んだセシリア。

 とりあえず待たせても悪いので玄関のドアを開くと――。


「むぅ、開けるの遅いよ?」

「悪い悪い。 さあどうぞ」

「う、うん……」


 招き入れ、ペンギンのスリッパを用意すると未来はそれを履いた。

 もちろん、セシリアやシャル同様に靴を揃えて――。

 スリッパに履き替えた未来を連れだってリビングへと入ると、未来が来たことによってキッチンで飲み物をもう一組用意するシャルの姿があった。

 美冬はもう着替えを終えていて、ソファーに腰掛けていて、セシリアは腕を組み、頬に手を当てて悩んでる様に見えた。


「セシリア、何か問題あるのか?」

「えぇ、大問題ですわ。 ……一人、ケーキを諦めなければいけませんの」


 セシリアがそう言ってテーブルを確認するとそこにあったのは苺のショートケーキとレアチーズケーキ、洋梨のタルトにモンブランの四種類だ。


「……セシリア、母さんに渡した方のケーキの数は?」

「あの……お二人分の方を持っていきましたので……」


 申し訳なさそうに言うセシリアに、シャルはアイスティーをもう一組テーブルに置く。

 美冬はケーキ好きだし、未来は後から来たからってケーキあげないなんて事は出来ないわけで……。


「……んじゃ、俺がケーキ遠慮するよ。 俺は今日はジュースだけで」

「……お兄ちゃん、いいの? お兄ちゃんって何だかんだでケーキ、好きでしょ?」


 そう指摘する美冬だが、ここで俺が食べるのも……。


「ん、構わないさ。 だから皆はケーキ食べろって」


 そう言ってソファーに腰掛け、シャルが淹れたアイスティーを口にする。


「でも……僕たちだけがいただいてヒルトが食べないって言うのは気になっちゃうよ……」


 そう言い、隣のソファーに腰掛けたシャルはトレイを抱えたまま此方を覗き込む様に見上げてくる。

 その際、横にシャルの髪が流れて良い香りが香ってきた。


「……だったらさ、一口ずつ皆のケーキをヒルトに食べさせるのはどうかな?」


 まるで名案が浮かんだ様に手を重ね、笑顔の未来だが――それってつまり……。


「みぃちゃんそれナイスアイディア! うんうん、これならお兄ちゃんもケーキ食べられるから一石二鳥だね♪」


 可愛くウインクすると、束ねたサイドポニーが横にゆらゆらと動いた。


「うふふ、流石ですわね未来さん♪ では、その案で参りましょうか♪」


 そう言い、俺の隣へと腰掛けるセシリア――。

 何気に金髪の女子二人に挟まれたな。


「ふふっ、それなら早くケーキ選んじゃおうよ? まずはセシリアからね? 買って来てくれたんだから優先権はあるんだし」


 隣のシャルが身を乗り出し、セシリアに言うと静かに頷いた。


「……いや、その未来の提案ってまさかさ……。 皆、俺に食べさせるつもりか?」


 俺の最もな指摘に、皆は笑顔で口を開き――。


「当然ですわよ? ヒルトさんだけケーキをお預けになるよりかは良いと思いますし。 うふふ♪」


 楽しげに笑うセシリア、多分立ち上がろうとしても両サイドの二人に腕を組まれて引き戻されるだろうし。


「ふふっ、ヒルト……もしかして恥ずかしいの?」

「あ、当たり前だろ!? 食べさすのも食べさせられるのも恥ずかしいに決まってるじゃんっ」


 かぁーっと顔に熱を帯びるのを感じ、俺は俯くのだが――。


「ダメだよお兄ちゃん? もう決まったんだし。 ……そうだ! せっかくだしお兄ちゃんにも私たちに食べさせるのはどう? お兄ちゃん、私が昔あんなに食べさせてーってお願いしてもやってくれなかったのに、シャルとセシリアにはやってあげたんだから……良いよね♪」


 にっこり笑顔の美冬は、選択肢の用意をyesのみしか用意しなかったようだ。


「……じゃあ、まずはヒルトが私たちに食べさせてから、私たちがその後に食べさせよっか? 何だかキャバクラっぽいけど……ヒルト的に嬉しいでしょ? 皆可愛いもん♪」


 ……た、確かにこれだけ可愛い子達に食べさせられるのってそうはないよな。

 ……妹が一人、混じってるが。

 女の子四人で決まった提案、いつも以上の連携を感じつつも逃れる事の出来ない決定事項が目前に迫ってきていた……。 
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