序章
面白そうなのに
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くらいなら可愛いものだけど」
「いじめでBランク以上指定するか?普通」
「……ちょっとやんちゃな生徒がいたり?」
「行ってみなきゃ分かんねえ……けど、これ以外は報酬がな……」
「最高で十二?」
「いんや、二十八。政府のおっさんの護衛だとさ」
「やっぱり春休みは良いのから消えてくね」
「そういや、不知火は?お前が単位足りない訳ないだろ?」
「ん?ああ……僕もちょっと、春休みのうちにMARK23にL.A.M.つけておこうと思ったんだけどさ」
「お、金?」
とんとんと脇のホルスターをブレザーの上から指す不知火に、仲間意識が芽生える。まあね、と頷いた不知火に、薫は逃すものかとクエストの紙を突き付けた。
「なーら、不知火!受けない手は……?」
「ないね」
「よっし!」
迷いなく了承をした不知火は、ガッツポーズをした薫に苦笑しながらクエストの書類に軽く記入すると、使っていたボールペンを薫に渡した。
「お、サンキュー」
「でも、あと二人はどうするつもりなんだい?」
「あー……とりあえず、帰ってから二人に聞いてみる」
「二人はクエスト入ってないんだっけ?龍とか、単位足りないって騒いでた気がするんだけど」
「え、まじ?あー……まあ、龍は置いといても周防は平気だろ」
「そうだね」
ルームメイトの話をしながら、強襲科の特別棟から外に出る。今日は朝から訓練も含めてずっと籠りっぱなしだったので、外がやけに静かに感じる。それもそのはずだ。春休み中だというのに、ここ強襲科の生徒たちは模擬格闘だの射撃訓練だの、自主的にほとんどの生徒が登校しているために、休みだろうがなんだろうが銃声や硝煙の匂いがやむことは無いのだ。薫はぐっと伸びをして硝煙の匂いのない新鮮な空気を目一杯吸うと、寮へ向けて歩き出した。
「あ、そういや不知火って一般中学出身なんだよな」
「うん、一応そうなるね。でもほら、前からさんだから」
武偵高入学前から拳銃を握っていた人を指す名称に、薫は思い出したように頷いた。
「ああ……そういやそうだったな。一般中学ってどう?やっぱ楽しい?」
少し期待を込めた目で不知火を見る薫。生まれた頃から銃に触れて生きてきた薫にとって硝煙の匂いのしない普通の生活というのは、どこか現実味が無く、同時にほんの少しの憧れを抱くものだった。現在でこそ憧れはしないものの、興味までが無くなるわけではない。
きらきらと瞳を輝かせる薫に、不知火は少し複雑な気持ちになった。
「……そんな良いものじゃないよ。たしかに勉強の知識は武偵校の生徒よりも豊富だし、銃声もしない。部活動は盛んなところだと、す
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