序章
面白そうなのに
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武偵高校一年、強襲科に所属する斉藤薫は悩んでいた。
「んん……取るべきか、取らざるべきか」
彼の目の前に張り出されているのは《 任務 》と呼ばれる一般から寄せられた依頼の一覧表。武偵ならばSランクだろうがEランクだろうが取ったことのない奴はいないほどに武偵たちに浸透しているそれは、依頼によっては多額の報酬と多くの単位がもらえるため、良い依頼を吟味するというのはなかなかに武偵には重要なスキルなのである。ちなみに現在は学年が変わる切れ目の春休み。進級に十分な単位をとれなかった生徒は、今頃慌ててクエストをこなしているだろう。
ちなみに現在クエストの紙を眺めながら眉根を寄せている薫だが、進級の為の単位はばっちりとっていたりする。ではなぜ、こうして頭を悩ませているのだろう。
「んー……報酬、高いの……」
そう、すべては装備科のAランク武偵である平賀文に薫の武装の一つであるデザート・イーグル.357MAGの装弾数に関して大幅な改造を依頼したことで、ぼったくりレベルの依頼料を取られてしまったことに起因する。まあ、平賀が多額の報酬をとることはもはや周知の事実であるために、それを見越したうえでの依頼ではあったので薫自身不満は無いし、多額の金額を払うだけの価値はあったので、薫としては満足している。だが、生活にすら困るほどに貯金の底をついてしまったのは想定外であったため、こうして慌ててがっぽりと稼げるクエストを探している訳なのだが。
「弾……あんま使わないの。で、高いの……」
「あ、薫くん。クエスト?」
そんなとき薫に声をかけてきたのは、おなじく強襲科で一年の不知火亮だった。さらさらとした髪に、整った顔立ち。女生徒に人気のあるのも頷けるルックスに、Aランクに食い込むたしかな実力。薫自身も信頼をおける親友であった。
「ん、不知火。そう」
「でも……薫くんはもう単位は十分取れているんじゃないの?」
「単位は取れてるんだけど、金が無い」
肩を竦めながら冗談めかして言った薫に、不知火は「なるほど」と軽く笑う。
「なにか良い依頼はあったかい?」
「あー……ないこともねぇんだけどさ、ちょーっとデカいヤマっぽいんだよ……」
「どれ?」
「ほれ」
薫はぽいっと不知火にクエストが載ったプリントを投げる。そこには確かに飛びつきたいほど好条件のクエストが詳細に書かれていた。
「一般高校への潜入捜査?報酬は一人頭二百万で最低Bランク以上が四人……悪くは無いけど」
「怪しいんだよなぁ……」
「そうだね。潜入任務だから……おおかた犯行予告とかかな?いじめ問題
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