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万華鏡
第八十三話 卒業式に向けてその十三
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「寮なんかはね」
「リアルで、なんですね」
「帝国海軍なんですね」
「江田島みたいな」
「あんな風に」
「三年生が神様なのよ」
 最上級学年である彼女達が、というのだ。
「何でも三年生基準だから」
「女の子の間での上下関係は」
 美優は中学までの陸上部のことから述べた。
「男の子のそれよりも」
「凄いでしょ」
「もっと凄いですよね」
「女の子ってのはね」
「上下関係に五月蝿いですよね」
 男子以上にだ。
「何かと」
「そうよ、だからね」
「そうした学校ではなんですね」
「三年生が神様よ」
 そう言っていいレベルだというのだ。
「もう誰もね」
「逆らえないんですね」
「そうよ、信じられない位だから」
 そこまで凄いというのだ。
「私達から見ればね」
「あの、じゃああれですか?」
 琴乃がここで出した例えはというと。
「よく聞く甲子園によく出る」
「野球部ね」
「はい、大阪のあの高校の」
「冗談抜きであのレベルよ」
「そうなんですか」
「本当にあそこまで厳しいから」
 そうした学校の女子寮は、というのだ。
「もう上級生に逆らうとかはね」
「考えられないんですね」
「そう、絶対にね」
「それはまた凄いですね」
「そういうのと比べたらね」
「うちの女子寮は」
「大人しいから」
 少し油断したら匂いがしても、というのだ。
「私も先輩の方々にはね」
「三年生の、ですね」
「それで去年卒業された」
「そう、結構ずぼらだったりやんちゃだったけれどね」
 それでもだというのだ。
「優しくしてもらったから」
「先輩やんちゃだったんですか」
「そうだったんですか」
「そう、今思うとね」
 過去を振り返っての言葉だ、先輩の顔はその過去を振り返ったことによって無意識のうちに苦笑いになっている。
「生意気でやんちゃだったわ、けれど」
「その先輩をですね」
「いつも優しくしてくれたのよ」
 そうだったというのだ。
「特に今の二年の人達がね」
「そうだったんですか」
「今度卒業される方々が」
「だからね」
 高見先輩の目の光が強くなった、そうして五人に言うのだった。
「今度のライブはね」
「成功させるんですね」
「絶対に」
「よくしてもらったからね」
 恩があるからだというのだ、要するに。
「その恩返しにもね」
「じゃあ私達も」
「及ばずながら」
「そうしてね、ただ」
「ただ?」
「ただって何が」
「ええ、力は入れ過ぎないでね」
 それは禁物だというのだ。
「それはいいわね」
「何か部長さんと同じですね」
「同じこと仰いますね」
「だって力入れ過ぎたら身体が強張って」
 それで、というのだ。
「動きが悪くなるから」
「リラックスも
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