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駄目親父としっかり娘の珍道中
第61話 親子の絆は死んでも続く
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った。

「ほぉ、まだ時間はあった筈だが、どうやら自分の子を殺され頭に血でも昇ったようだな」
「あぁ………てめぇのお陰でプッツン行っちまったみてぇだよ」

 言葉を返すが、未だに俯いたまま、まるで風に揺られる草木の如く不安定な状態の銀時が其処にあった。これでは格好の的でしかない。しかも、周りに居る者たちは未だ呪縛から立ち直れずに居る。無論それは銀時も例外ではない。本来なら銀時とて指一本動かせる状態ではないのだ。
 そんな銀時に向かい伍丸弐號は再度腕を変異させ鋭利な棒状へと変異させる。なのはの時と同じように銀時の心の臓を射抜く腹積もりだったようだ。
 真っ直ぐその腕が銀時に迫る。だが、放った筈の腕は突如一瞬の内に粉々に破壊されてしまった。
 唐突に起こったが為に伍丸弐號は驚いた。そんな驚く伍丸弐號の目の前に突如銀時の姿が現れる。だが、其処に居たのは人ならざる者であった。
 言うなれば、其処に居たのは地獄に住む鬼の様な目をした銀時であった。眼光鋭く赤く輝いている。その視線からは恐ろしい程の殺気が感じ取れた。

(な、何て殺気だ。これだけの殺気を人間が放てる筈がない。こいつはまるで獣、いやケダモノ、悪鬼のそれの様だ!)

 余りの殺気に押され、溜まらず伍丸弐號は距離を置く為一旦引き下がった。だが、それを追うかの如く銀時が一瞬で距離を詰める。そして鋭い眼光で伍丸弐號を睨みつけてくるのだ。まるで伍丸弐號に今の自分の中にある殺気をぶつけるかの様に。
 溜まらず伍丸弐號は残った腕を振り上げた。早くこの薄気味悪い殺気から逃れたい。そう思う一心で腕を振り上げたのだ。だが、振り上げた腕が振り下ろされるよりも前に残っていた腕もまた粉々に壊されてしまった。いや、正確には砕かれたのではない。見れば、銀時の腕には残っていた伍丸弐號の腕が持たれていたのだ。そう、伍丸弐號の腕を破壊したのは銀時であり、破壊したのではなく引き千切ってしまったのだ。

「てめぇは言ったよな。中枢が無事なら何度でも蘇生が出来るってなぁ………なら、それを見つけるまで徹底的にぶっ叩いて行くだけだな」

 静かに、銀時はそう告げた。だが、声色とは裏腹にその言葉の一言一言に恐ろしいまでの気迫が込められていた。激しいまでの憤怒に満ちた感情が体全体から伝わってきた。その気迫を感じ取った誰もが凍りついた。肝を握り潰されたような面持ちだった。
 その気迫を放ったまま、無言のまま銀時の木刀が襲い掛かった。例え中枢を狙わなくても、幾ら再生を行った所で無意味だった。再生を行った場所もすぐさま砕かれ、引き千切られてしまう。
 反撃する暇すらなく、ただただ銀時の激しい怒りの連撃を浴び続ける事しかできなかった。

(な、何故だ! 何故、この男の攻撃を私は回避する事が出来ないのだ。私の性能ならばこの
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