第61話 親子の絆は死んでも続く
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か? だが、すぐに済む」
そっと告げるように伍丸弐號が囁く。右肘から薬莢を一発排出し、腕の形状を長く鋭利な棒状へと変化させる。そのような姿に変える意図は一つしか考えられなかった。
「そんな、ダメ! アルフ、お願い! なのはを助けて!」
「ご、御免フェイト。体が……体が動かないんだよ……くそぉ!」
「新八! 神楽!」
「僕も……うご……けない!」
「動け、動けよゴラァ! どうしてこんな時に私の言う事利かないアルかぁ!」
今にも泣き出しそうな声を挙げながらフェイトは周囲に居る仲間達の声を叫んだ。だが、どんなに叫ぼうと、どんなにあがこうと、誰一人その場から動ける者は居なかった。それは、銀時とて例外ではなかったのだ。
「止めろ、てめぇの相手は俺だろうが! そいつは無関係だ!」
「いいや、関係はある。こいつは貴様が人生をかけて育てた大切な子。私にとって芙蓉と同じ存在だ。そして、私は芙蓉を失った。貴様にもあの時の私と同じ胸の痛みを味わって貰うぞ」
「やめろおおぉぉぉ―――――!!!」
腹の底から銀時は叫んだ。銀時は柄にもなく願った。娘の命を救ってくれと。必至に願った。天に直談判するかの如く精一杯願った。
だが、その願いが届く事はなかった。鞭の用に変異させた腕を撓らせ、ボウガンから放たれた矢のごとき速さで鋭利な先端は一瞬の内になのはの胸に深く食い込み、背中を貫通し、地面に突き刺さった。
痛みと言うより寧ろ衝撃が彼女を襲った。目は大きく見開かれ、口は何かを訴えてるかの様に開閉し続け、霧を掴むかの様に弱弱しく片手を伸ばす。
刺し貫かれた鋭利な腕を伝って赤い滴が零れ落ち、地面を赤く染め上げていく。伍丸弐號が腕を戻したのとほぼ同時に、なのはの手は地面に落ち、口は閉じ瞼はゆっくりと閉ざされてしまった。
「な、なのは………なのはぁ!」
「無駄だ、幾ら名を叫ぼうがもうこの娘は目を開かない。口も聞かない。心の臓を的確に狙った。かつて父親であった私なりの情けだ。有難く思って貰いたいな」
信じられなかった。その一言が皆の脳裏に打ち付けられた。目の前で無残にも少女が殺されたのだ。まだ年端も行かぬ子供が、無残にも胸を貫かれ、命を奪われてしまった。
その現実が無情にも突きつけられた。その光景にフェイトはただ、涙を流し、アルフは声もなく苦渋の叫びを挙げ、新八と神楽は呆然となっていた。そんな中、銀時だけは違った。
銀時の中で今、確実にある変化が起こり始めていた。全身の血流が活発化し、心臓の音が徐々に早くなっていく。全身の筋肉の繊維一本一本がまるで銀時の本能で目覚めるかの如く動き始める。
そう、銀時は一人立ち上がったのだ。ヨロヨロとおぼつかない状態ではあるが、ゆっくりとその身を起こし、二本の脚で大地を踏みしめ立ち上が
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