第5章 契約
第95話 オメガの扉
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攻撃。
「彼に関しては、既に別口で先約が有りますから」
鋭い爪とくちばしの攻撃を躱され大地に降り立つカラス。
しかし、それですべてが終わった訳ではなかった! その瞬間――。カラスが大地に降り立った瞬間、ドゥルソンの使い魔が内側から爆散したのだ!
赤い霧と気味の悪い細かな肉片。そして、それがカラスで有った証の黒い羽根を残し、次々と爆散して行くドゥルソンの使い魔たち。
そのひとつひとつの爆散は、所詮カラス程の大きさの物体が爆発した物。精霊の護りを纏う俺に取って、そう警戒すべき爆発ではない。
しかし、次々と降り立つ度に爆散を繰り返すカラス。その度に、俺の周囲で水面に石を投げ込んだ時に発生する波紋のような物が出来上がり、阻まれた爆風が土煙を巻き上げる。
五、六、七――
大地を転がりながら、爆発の数を数え続ける俺。ドゥルソンの使い魔の数は二十二体。そのすべてを躱し続けられたら、俺にも反撃のチャンスが来る!
十、十一、十二、十三――
其処で反転。左手と後頭部で逆立ちをするような要領で倒立。当然、今の俺の身体能力では、こんなムチャな動きは出来ない。これは、生来の能力を多少駆使して行って居る動き。
その体勢から跳ね上がろうと力を溜めた、正にその瞬間!
十八、十九、二十、二十一、二十二!
一気に五羽のカラスが俺を取り囲み!
俺の周囲――何もない空間に行き成り艶やかな赤き花が咲き誇るかのような、凄艶な炎と爆風が発生した。
その瞬間。大気自体がたわみ、何かが歪み、削り取られるのを感じた。それは、そう。見えない壁として俺の周囲を覆っていた、活性化した精霊たちが儚い火花として散って行く感覚。
無数の小さな生命が散華して行く際に発する生命の煌めき。俺を護ってくれていた小さき者たちが、本当に微細な光の断末魔をあげて……滅びて行く。
儚い。生命とさえ言えないような、自らの意志さえ持たぬ者たちの死の穢れを一身に受け止める。
しかし、それを悼む暇も、哀しむ時間も用意されている訳はない。
爆発の勢いで吹き飛ばされ、大地に叩き付けられる俺。身体中を打ち付け、一瞬、息が止まる。
しかし、それだけ。完全に勢いを殺し損ねたが故に、大地を二度ほどバウンドしてから停まる結果と成ったが、おそらく身体の被害は軽微。ほぼ息をするように一瞬の内に発動させられる生まれついての能力は、ここでもギリギリの場面で俺の身体を護ったと言う事。
――ウン、クイヘト・けそす・いすげぇぼと・ナイアーラトテップ。ずい・ルモイ・くあの・どぅずい・クセイエラトル――
もっとも、未だ精霊の護り以外に斥力フィールドのような物を身体の周囲に常態的に展開させて置く事は出来ないのですが。
普段に比
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