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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第95話 オメガの扉
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相手。

「やれやれ。最後の瞬間にも他人の事を一番に考えるのかね」

 鈍い光を放つ二振りの偃月刀を手に現われる青年。ただ、何故か一太刀目は神明帰鏡の術で完全にヤツ……自らの事を名付けざられし者だと自称するヤツに返したはずなのに五体満足の状態での登場。
 但し、右の袖は、肩から下の部分が完全に無くなって仕舞っていましたが。

 そう。背後より吹き付けるように感じた鬼気。その瞬間に……刹那の時間を数十、数百倍に引き伸ばし神明帰鏡の術を行使。呪符として作成出来ると言う事は、咄嗟に術としても行使出来ると言う事。
 生涯で二度やれと言われても出来ないだろうと言う刹那の時間に術式の構築を行い、バルザイの刃が届くより一瞬早く俺の身体を覆う物理反射。その術式の効果により最初の一刀は完全に無力化。しかし、僅かな時間差。現実の時間で言うのならコンマ一秒にすら満たないであろうと言う時間を置いて飛来するタバサを狙う一刀は――
 術式の同時起動。バルザイの偃月刀に籠められた呪力から考えると、生半可な防御壁を構築したトコロでミサイルを紙で防ごうとするような物。
 ほんの一瞬、タバサに刃が到達するのを遅らせたら良いだけ。それだけあれば、彼女を移動させられる。その為になら、一時的に右腕の一本ぐらい!

「もっとも、そんな感じだからアイツに選ばれたのかも知れないけどな」

 何せアイツと来たら、周りの連中が自分の事ばかり考えて生きて居る事が気に食わないと言って、旅に出て仕舞うようなメンド臭い女だからな。

 普段通りのかなりやる気を感じさせない雰囲気で独り言を呟きながら、右腕を一閃。
 その瞬間、ヤツの右手の甲が強烈な光輝を放ち――
 一瞬毎に寄り集まる呪力。それは幾千もの小さな魔力の渦を形成。うねり、たわみ、重なり合い。
 やがて、確かな重みと質感。更に異様な臭気を伴う七色の光を放つ球体へと変化して行く。

 ――ヨグ・ソトースの球体!

 片腕を失った事により、普段よりもかなりバランスの悪い身体を操り残った左腕を一閃。暗闇を斬り裂くような光輝(ひかり)の斬撃が、地の底より発生した虹色の球体のひとつを斬り裂く。
 同時に術式起動。雷の気を操る青竜としての俺。故に、腕を失った激痛は神経を遮断する事に因り既に感じなく成って居る。更に、吸血姫の血の伴侶と成った事に因り、夜の貴族の不死性を多少受け継いだ身体は、おそらく、腕を跳ばされたぐらいなら徐々に回復して行くでしょう。しかし、鋭利な刃物。骨の断面すら露わな傷口から失う血液を最小に抑えなければ、いくら仙人の能力を持った俺でも直ぐに出血性のショックで意識を失う。
 時間と材料さえあれば――。仙人の俺に取って一番簡単な解決方法は、俺の属性……木行に属する物質で急場しのぎの腕を形成する事。これが一番
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