全国10カ所の妖気
東方変形葉48話「幻想の月」
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地霊が地上に出てきているだと?ということは、・・・いや、判断するのは早い。
俺がこんな感じで考え込んだのには少し意味がある。紫から聞いた話の一つだ。
幻想郷には、旧地獄の地底世界がある。地上の賢者と地底世界の間で、「地上と地底の妖怪同士の相互不可侵」「旧地獄の怨霊の管理」などの約束が結ばれており、それによって自治を認められている。つまり、地上の妖怪たちが地底都市を認める条件として、地上の妖怪を地底都市に入り込ませない代わりに地底都市の鬼は旧地獄の怨霊を封じる、という約束だ。
約束の中の一つに怨霊の管理がある。怨霊とはつまり地霊のことである。その地霊が今、地上に出てきている。それは、約束を破ったと考えられてもおかしくない。場合によっては宣戦布告かもしれない。明後日ぐらいにも早く行って確かめる必要がある。
「・・・紫、いるんだろ?少し話があるんだよ。」
「あら、ばれてたのね。おかえり。」
「ただいま。」
スキマが開き、その中から紫が出てきた。
「あの間欠泉から湧き出る地霊のことについてなんだけど。」
そう訊くと、扇子を少し広げ、口元を隠した。
「ええ、早急に調べる必要があるわ。でも私たち“地上の妖怪”は約束上、地底にいってはいけない。だから、霊夢や裕海に行ってもらおうと思うんだけど・・・」
「霊夢たちが間欠泉を気に入っていて、全く動こうとはしないだろうということか。わかった。明後日に行ってくるよ。だけど、地底がどこにあるかわからないから、ナビゲートしてくれる?」
「ええ、もとよりそのつもりよ。・・・場合によっては萃香やほかの古参妖怪にナビしてもらうわ。」
場合によっては。なんとか霊夢を動かせたらということか。
「そのときは、少しだけ姫雪を預けるよ。あの子も妖怪だから力の有無関係なく行ってはいけないからね。」
「そうね。」
ちなみに今、姫雪たちは寝ている。2階ですやすや寝ているだろう。
「あ、そうそう!お土産はちゃんとあるのよね?」
紫が顔を明るくし、訊いてきた。
「心配無用だよ。ちゃんと全員の買ってきてあるよ。でも、渡すのは明日ね。明日は夜から宴会だから。・・・ここでは絶対に食べられないようなものも買ってきてあるから。」
「あら、それは楽しみね。じゃあ私はこの辺でお暇させていただくわ。」
そういって紫はスキマの中へと入って行った。
「・・・さてと、そろそろ姫雪を起こすか。」
トントンと、階段を上がって2階へ行く。寝室としている少しだけ広い和室には、敷布団が2枚ある・・・のだが、姫雪がどうしてもと俺と寝ているため、2枚あるうちの1枚はほとんど使っていない。
「姫雪〜、きらちゃ〜ん、ほたるちゃ〜ん、起きて〜。」
静かに体を揺さぶり、起こそうとする。しかし、全く起きる様子はない。
「・・・う〜ん、どうしようわあっ!」
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