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正義と悪徳の狭間で
原作前 編
ロアナプラ編
原作前編 第2-R話 夜間航路
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たとき、ベニーが出て行ったハッチからダッチが入ってきた。
「いや、もう来た。第二キャビンで話をしよう」
「了解、それじゃあ、また後でね」
アイシャはそう言ってダッチの後について出て行った。


私は背嚢から屋台で買った甘いミルクティーを移したペットボトルと本を取り出す。
「相変わらずだな、レイン」
「何が?」
広げた本から目を上げてレヴィ姉さんの顔をみる。
「…甘ったるいドリンクがお気に入りのお子ちゃまが、お堅い本読んでるところが、だよ。
レインお前は一体何になりたいんだ?」
紫煙の溜め息と共にレヴィ姉さんが言った。

「さぁ?わからない」
「なんだそりゃ」
私の不機嫌そうな声色がかえってきた。

「将来ずっとガンマンであり続けるかはわかんないし、続けられるとも限らない。
だから潰しが効くように…って建前が聞きたい訳じゃないよね?」

レヴィ姉さんはタバコを吸いながら、続けろと眼差しで言っていた。

「基本的には単に楽しいから。それ以外に理由なんている?」
「…楽しいってその本がか?」
「うん、この本『も』ね。
勉強も鍛錬も、その『実践』も…酒も、騒ぎも、賭け事も…全部『好き』か『やらなきゃいけない中で一番マシ』だからやってることだよ。
とくにコンピュータ関連は楽しいし、裏表どっちの社会にとってもこれからどんどん伸びる分野だと思うから」
「それは、コレを握る事も、か?」
レヴィ姉さんがソード・カトラスをコツコツやりながら言った。
「…珍しいね、過去や心に踏み込んだり、踏み込まれるのは嫌いって言ってなかった?」
その問いかけに対するレヴィ姉さんの答えは沈黙だった。
「まあいいけどさ。私はガンマンは天職だと思う、というか『コレを握っているために』私はここにいる。
ガンである必要はないし、使う事が仕事である必要はないけど、武装とその行使の自由は欲しいかな」
「そっか…わるかったな、変な事を聞いて」
「別に、話したくなければ話してないから気にしないでいいよ」
しばしの沈黙が流れる…話は終わりだと理解して本に目線を戻し、読み始める。


視線を感じながら読書を続けていると扉が開き、アイシャとダッチが帰ってきた。
「おう、レインは相変わらず読書か、今日は何を読んでいるんだ?」
ダッチが気楽な世間話、と言った感じで聞いてくる。
「トリマルキオの饗宴」
「ああ、サテュリコンか。わかってるとは思うがあの成金野郎の言う事を鵜呑みにするなよ?」
「もちろん、そこら辺の解説付きのやつだから」
「何なんだ?その…トリなんとかの饗宴って…また哲学かなんかか?」
「ローマ時代の風刺小説よ、まあ古典文学ってやつ」
「…面白いのか?」
「うん、今のところは。好みはあるけど他人が良い思いしてるのを見
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