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機動戦士ガンダム0087/ティターンズロア
第一部 刻の鼓動
第二章 クワトロ・バジーナ
第四節 強襲 第五話 (通算第40話)
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に別の懸念があったからだ。〈ルナツー〉鎮守府の総司令長官は、あの『闘将』――ダグラス・ベーダー大将であることが気掛かりなのだ。
 彼は地球連邦宇宙軍における旧レビル派の最有力者でありながら、大のジオン嫌いであり、親ティターンズ派の代表格である。当然麾下の将校も親ティターンズ派が多い。新設された〈ルナツー〉鎮守府総司令長官に任じられて以来六年、基地に常駐する精励ぶりで、将兵からの人望厚い。つとに将兵の鍛練に余念がなく、〈ルナツー〉の将兵は戦馴れしている精鋭揃いで有名だった。
「用心に越したことはない……か」
 苦笑いを口の端に残して、機体を〈グリーンノア〉へと向け、スラスターの出力を絞る機体を慣性飛行にして辺りを窺った。クレイバインダーが推進剤の増槽になっているとはいえ、推進剤が無限にある訳ではない。戦闘になれば、消費量は倍加する。できるだけ、浪費しくなかった。
 眼前にも後背にも巨大なコロニーの偉容が聳えている。その影になっている宙域には《アーガマ》と《チバーヌス》がミノフスキー粒子をばら撒いている。さらにその向こう――〈ルナツー〉外縁ギリギリには二隻のサラミス改級が控えていた。視認できる距離ではないが、作戦予定位置がチャート上にマーカーで示されている。
後衛のレコアの《リックディアス》も視認できない。カミーユとランバンの《ジムU》も同様だ。彼らの役目は中継と後方支援である。増援はサラミス改級に艦載されている《ジムU》六機が最大だ。最悪の場合、《チバーヌス》に艦載している《ガルバルディ》六機を動員できないこともないが、国際問題に発展しかねないため、出来れば避けたかった。でなければシャアたちが《リックディアス》で出撃した意味がない。
 だが、アナハイムの思惑とは別に、シャアの思惑というものもある。共和派の士官たちを如何に取り込めるかが、後の計画に関わってくるのだ。アポリー、ロベルトには中核を担わせたいとも考えていた。彼らには生き延びて貰わねばならない。
「あとは……《チバーヌス》次第か」
 自分の戦いを存分に見せればいい。ドレンのような艦長であれば、シャアはいますぐにでも行動を起こしたであろう。エルンストはドレンの様に叩き上げの艦長ではあるが、筋金入りの共和派でもある。信頼を寄せてはくれているが、司令官と艦長以上にはまだなっていない。だが、この戦いが変えてくれるとシャアは確信していた。
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