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機動戦士ガンダム0087/ティターンズロア
第一部 刻の鼓動
第二章 クワトロ・バジーナ
第三節 過去 第二話 (通算第32話)
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と目を合わせる。肯くレコアにシャアはヘンケンを会議室に誘った。ガンルームでこれ以上話すのは危険だと感じたからだ。
「ヘンケン艦長……よろしいですか?」
「あ、あぁ……」
 バツの悪そうな表情を引き締めて、真剣な眼差しでシャアに相対する。すれ違う女性士官などに愛想のいい笑みを返しながら、シャアに続く。レコアはガンルームに残った。
「後方支援でかまわないんだが、ジオン共和国軍に動いてはもらえないだろうか?」
 ヘンケンが切り出す。シャアもそれを考えないではなかったが、連邦との条約によって戦争協力は可能ではあるが、万が一のことを考えると、それは国際問題に発展しかねかった。
 そもそも、共和国政府は全地球圏連合防衛宇宙軍への参加はしたものの、ブレックスの唱える自治権拡大運動への参加にあまり積極的ではない。ブレックスの目的が、スペースノイドの自治独立ではなく、地球連邦政府内における自治権拡大と政治機構の是正にあるとの見方からである。逆に言えば、だからこそブレックスはクワトロに協力を仰いでいるのかもしれない。
「准将が?」
「あぁ、あくまで後詰めとして、L3宙域のセンサーレンジ外ギリギリのところまででいいということなんだが……」
「直通回線開けますか?」
「いや、ここからでは難しいだろう」
「では、准将に暗号通信を送ってください」
 シャアはエゥーゴとしてであっても、ジオン共和国軍を出動させてしまえば、共和国政府とて、エゥーゴへの参加を否定しないであろうと考えていた。状況の趨勢的にはもっと先に考えていたことではある。それと、政府が自分を見捨てようとしても、ダルシアがダイクンの息子を見捨てられないと確信していた。
「内容は?」
「グラナダ司令として、エルンスト・ミューラ先任大佐に協力要請を出していただきたい」
「ブレックス准将の名で?」
 怪訝な表情を浮かべる。確かにブレックスは形式上エルンストの上官ということにはなっているが、ジオン共和国軍派遣艦隊の指揮権は持っていない。だが、ここは実質よりも形式が大事だった。
「そうか…正規の命令ではないということにするのか」
「えぇ。それと、最後に自分の署名を添えていただきたい」
 実際にはブレックスの協力要請は名目だけのことであり、実際にはクワトロ・バジーナの名が添えられていることに意味がある。エルンスト大佐はクワトロがシャアであることを知っている数少ない分艦隊首脳部の一人である。そして、シャアこそが、派遣艦隊が所属するジオン共和国軍第一宇宙艦隊の第一分艦隊司令官なのである。形式が必要ならば、クワトロ・バジーナの署名は不要だ。だからこそ、そこが二重の暗号となるのだ。
「解った。ブレックス准将にはその様に伝える」
 慌ただしくヘンケンが会議室を出て行った。シャアは無重力に漂いながら、ガンルー
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