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機動戦士ガンダム0087/ティターンズロア
第一部 刻の鼓動
第二章 クワトロ・バジーナ
第三節 過去 第一話 (通算第31話)
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えるだろうが」
「グラナダ基地は私が説得してみよう。だが、問題はアナハイムからの注文だな」
 シャアとヘンケンの懸念をブレックスが払いながら、腕を組んで考えあぐねる。ヘンケンも良疇が浮かばない。短い沈黙の後、シャアが口火を切った。
「パイロットの選出は私に任せていただけませんか?」
「そりゃかまわんが……」
 ヘンケンはシャア――いやクワトロにアーガマのモビルスーツ隊を任せたいと思っている。しかし、多国籍軍であるエゥーゴはそうやすやすと所属を動かすことはできない。どういうことかの説明をブレックスが無言で促した。
「私の麾下であるアポリー・ベイ中尉とロベルト・フォス中尉、そして私の三人で潜入するのです。幸いなことに、ジオン共和国の人間もアナハイムの人間もサイド7には数多く働いている筈です」
「諒解した。アナハイムには私から便宜を図らせよう」
 ブレックスが様相を崩す。そこには笑顔が浮かんでいた。最も障害となっていた懸案がシャアの申し出によってクリアされたからだ。
「では、奇襲部隊は誰に任せる?」
「奇襲といっても、目的は新型モビルスーツの奪取にあるのでしょう、それならば、攻撃を仕掛ける必要はないかと。我々だけで十分です。」
 ヘンケンと顔を見合わせたブレックスは不意に笑い声を挙げた。ヘンケンも大声で笑っている。シャアは二人に困った様な顔を浮かべた。冗談を言ったつもりも、笑わせるつもりもなかったからだ。
「大尉、単身乗り込む気かね?それならば、赤い彗星の再来だよ」
「准将、私はそれほどうぬぼれていないつもりですが……」
「いや、私も准将に同感だ。だが、これほど頼もしいのは愉快だな」
 シャアを残して二人は笑って、立ち去った。ブレックスは残りの艦の受領をせねばならず、一足先にグラナダに戻る予定であった。シャアはグラナダに向かう《アーガマ》に同乗し、グラナダに帰還する予定になっていからだ。
「それにしても、《ガンダム》とはな……」
〈グリーンオアシス〉でティターンズが新型モビルスーツの開発を行っているという情報は、技術屋たちから回って来ていた。アナハイムと競合している地球のモビルスーツメーカーであるコロラドサーボが極秘裏に開発しているとの噂だった。
「そして、サイド7か……」
 七年前、シャアが潰滅に追い込んだスペースコロニーが、再建されてそこにあった。そして、再建されたスペースコロニーは〈グリーンノア〉と名付けられていた。隣接コロニーである〈グリーンオアシス〉は軍事基地化が進められているという話もある。
(どちらにせよ、私に出来ぬことではない。アムロ・レイはあそこにはいないのだ)
 シャアにとって最大のライバルであった一年戦争のエースは、地球連邦軍首脳部から疎んぜられて閑職にまわされているという。シャアに不安はまったくなか
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