今後の為の方針
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正太郎が語り始めると共に正気を取り戻したらしく、今は水を勧めた。吐いたりしたら面倒だ。
自分達を見ていたギャラリーもいつの間にか引いていた。
「きーけーよー! 初めてアイツと剣を合わせた時なぁ! 俺が太刀を持ち上げた時にはぁ、俺の鎧と太刀をバラバラにしちまったんだぜぇ!」
テツはその時の光景を見ては居なかったが他の者から聞いて知っていた。
正太郎の太刀はお世辞にも速いとはいえないが、それでも遅い訳ではないとテツは思っている。
それを数回もの先手必勝を決めたとあれば、その実力は並外れている……では済まない。バラバラにされた太刀と鎧を切った回数分、正太郎はあの時死んでいる事になるのだから。
「まー、そのお陰なんだろなぁ……ちょっとやそっとの事じゃ怖いって思えなくなったのはさぁ……」
だが正太郎はその事を、自嘲気味だが少し嬉しそうに語った。
「どんだけ怖くてもさぁ。アイツに色々教わんのも大変だけどさぁ。それでも今度ばかりは逃げちゃあいけねえんだよなぁ。そうなったら俺はずっとヘタレのまぁまぁ……」
と、最後まで言い終わることなく正太郎は机に突っ伏してしまった。
「……お前はもう、ヘタレじゃねえさ。ま、今回は俺が払っといてやるよ。ヘタレ卒業に乾杯ってな」
テツはだらしなく涎を垂らし始めた正太郎に苦笑しながら、杯を掲げた。
次の日の訓練所。
「ええ!? 神無と二人で偵察!?」
いつも通りの時間に集まった梓と椿に、完全装備のヴォルフは今日から暫く偵察に行く旨を伝えた。
「……私達は?」
「俺達が戻って来るまで訓練だ。内容はこれだ」
ヴォルフが訓練内容を記した紙をテーブルに広げる。
「……字、汚い」
「椿、思っても言わないの」
「……悪かったな」
椿の言葉に少し傷付いたらしいヴォルフが小さく言う。
「大丈夫ですよヴォルちゃん。お姉ちゃんはちゃんと読めますからね〜」
夏空は慰めのつもりなのか背伸びしてヴォルフの頭を撫で始める。
ヴォルフは何となく逃げようとしたが、夏空はどちらに逃げようとしているのか分かっているようで、ヴォルフの頭は彼女の掌から離れられなかった。
しかし、振り払うのもどうかと思ったので大人しく撫でられておく。何処かむず痒さを覚えた。
「……あはは」
「意外な弱点?」
苦笑する梓と首を傾げる椿。
「ん……成る程。一応、アンタがいなくても何とか出来る内容ではある訳ね」
小冬が訓練内容を読み終えたようだ。
「ああ。今回は基本のお浚いと体力向上だ。ところで正太郎はどうした?」
「あの莫迦なら二日酔いで寝てるわよ。さっきテツさんが伝えに着たわ」
ヴォルフの問いに梓が溜息混じりに答えた。
「そう言えば神無は?」
「お弁当作るって張り切ってた。良かった
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