暁 〜小説投稿サイト〜
問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
王と女王 D
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
イロンが樹にぶつかって止まったところで拳を下ろす。

「・・・さて、音央が本心話してくれたんだ。俺も少しは、本気を出さねえとな。・・・我、第六十三代鬼道の名のもとに、汝の封印を解く。・・・出てこいよ、歪み。話がある。」
「ワシをそのような十把ひとがけらの呼び方で呼ぶでない。』
「なら、名前があるってのか?」
「無いのう。どれ、何か付けてはくれんか?』

そう言いながら現れたのは、一輝に無形物を統べるものを与えた歪みだ。
自ら契約によって一輝に封印されただけあって、とても友好的だ。

「なら、俺はお前をスィミと呼ぶことにする。」
「うむ、何でもよい。で、何ようじゃ?』
「力をよこせ。・・・中途半端に封印されてたせいで崩れた契約を、今ここでやり直す。」

無形物を統べるものは、星夜によって封印されていた。その封印は二人の間に交わされていた契約を崩し、その力を部分的に封じるもの。だからこそ、その封印が解けた瞬間にギフトは一輝の制御から少し外れたのだ。

「よかろう。ワシは一輝に何も望まん。先ほどの覚悟、それに敬意をしょうする。おんしは何を望む?』
「俺は力を望む。『無形物を統べるもの』。これを完全な状態で、俺によこせ。」
「傲慢なやつだ!よかろう!ワシの力、望みのために使うがよい!』

歪み・・・スィミはそう言いながら再び一輝に封印され、新たな契約をもって一輝にギフトを与える。
そうしてより強力なギフトを手に入れ、上がった霊格を隠すこともしないでオベイロンに一歩近づくと、オベイロンは同じだけ後ろに下がろうとし・・・背に樹があることからそれができず、さらに焦り出す。

「い、いやだ!私はまだ、死にたくないんだ!」
「知るかよ、そんなこと。」
「私はオベイロンだぞ!?北欧の神話体系に名を連ねる、生粋の!」
「どうでもいいね、そんなこと。魔王を殺して誰かに目をつけられるなら、そいつらも全員殺すだけだ。」

実を言えばこのオベイロン、北欧の神話体系に多少関わりがあるだけで、これが殺されたからと言って大本が動くほどの立場ではない。
タイターニアを求めたことからも分かるように、北欧神話側のオベイロンではなくシェイクスピアの作品、夏の夜の夢のオベイロンなのだ。

「俺はお前が死にたく無かろうが、何であろうが、そんなことは関係ないんだよ。俺はお前がむかつくから殺す。お前に反吐が出るから殺す。お前が生きているということが不快だから殺す。お前がお前だから殺す。そこに変更の余地は、存在しない。」

そして、一輝はそう言いながら手を横に伸ばし、

「疑似創星図、起動。」

そこに翠色の鎌・・・スィミを完全に自らの力として所有権の移行したそれを、過去とは比べ物にならないレベルで発動する。

「何だそれは!そんなの
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ