アカデミー編
黄昏
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向かって飛んでくるのを目にして、キバと赤丸は咄嗟に、その俊敏さを生かし、横に避ける。
しかし、意思疎通までは完ぺきではないらしく、キバと赤丸は別々の方向に避ける。
キバは左に、赤丸は右に。
次の瞬間、迷いなく、カトナは苦無をキバの方に放つ。
キバは一瞬、苦無を取り出すか迷ったようだが、自分の苦無の技術がそこまで高くないのを思い出したのであろう。後ろに避ける。
カトナはその間に、近くにあった木を蹴り飛ばし、赤丸のところまで一気に距離を詰める。
忍犬とはいえ忍法を使う前なら、子犬は子犬でしかない。彼女はむんずと赤丸の首根っこを掴む。
きゃんきゃんと吠え、赤丸はカトナの腕に噛みつこうとしたが、それよりも先に、カトナは大太刀を投げた時のように、勢いよく上に放り投げた。
赤丸が、宙に浮かぶ。
きゃいんっという声が、耳を劈く。
「赤丸!?」
キバがそう叫んだのを聞きながら、カトナは地面に転がっていた大太刀を取る。
と、赤丸のことをちらちらと窺いながら、後ろに下がるキバに向けて、大太刀を振りかぶる。
先程と全く同じ予備動作。思考を、記憶がかき回していく。思い出す。
――投げられる!!
脳裏にくるくると回る大太刀がよぎり、キバはさらに後退する。
カトナはその姿を見つつも、勢いよく大太刀を振り下ろし。
「…残念、外れ」
手を離さないまま、地面にたたきつけた。
カトナの体が、衝撃で宙に浮く。
凄まじい音が、びりびりと、空気を震わせた。
音が耳に届き、キバは思わず耳を抑えた。
だが、大太刀が生み出したのは音だけではない。衝撃もだ。
ぐしゃああああと、大太刀が刺さった地面の砂が抉れた。
砂煙が、キバのもとに一直線に向かう。
耳を塞いでいた手が目にいくよりもはやく、キバの目に砂が入った。
視覚がつぶされ、聴覚も一時的に機能しなくなる。
咄嗟に嗅覚に意識を集中させたとき、キバは匂いを感じた。
甘い、お菓子の匂い。
カトナの匂いだ。
それが風に乗って運ばれてくる。爪が甘いぜとキバは笑った。
匂いからして横から攻撃してくると、キバは己の感覚に従って身を翻す。
ぎりぎりのところを拳が通過した。風切音が耳の横でびゅうっと鳴る。
カトナの匂いはそれでも絶えず動く。
キバに追撃を仕掛け続け、キバはそれを何とか避ける。
ふと、カトナの攻撃が止まり、キバは何も考えないまま、反撃しようとした時、
カトナが懐から、あるものを投げる。
見事にそれは、キバの鼻頭に命中した。
一体、何を投げたのかと周りが首を傾げた瞬間、キバが悲鳴を上げた。
「ぎゃああああああああ!?!??」
目をむいた彼が鼻を押
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