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無欠の刃
アカデミー編
黄昏
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んだ。

 「大太刀、黄昏」

 相手を混乱させるにはちょうどいいかもしれないと、カトナとサスケで考えてつけた名前だ。
 いきなり、短刀が大太刀に変化してパニックを起こしたときに、刀の名前を呼びかえたら、動揺を誘えないだろうか。
 そんな思いからつけた、短刀の名前は夕焼けで、大太刀の名前は黄昏であったが、これが思わぬ事態を引き起こした。
 名前が呼ばれた瞬間、ぐじゅりと小さな音が鞘を伝い、カトナの体内に響く。
 よく仕組みはわからないのだが、この刀、カトナがつけた名前を呼ぶと、特殊な音を放つのである。
 人間には聞こえない音。形態によって、放たれる音は違う。
 短刀は「ぺしゃっ」という人間にも聞こえる音だが、大太刀は「ぐじゅり」という人間には聞こえない音を放つ。
 今は刀にカトナが触れているので聞こえるが、触れていないと聞こえない。
 その音をとらえたらしい、人間では決して聞こえない音を感知した赤丸がびくりと震え、あたりをきょろきょろと見回した。
 それを見てカトナは不敵に笑う。
 余裕なカトナに対して歯ぎしりをし、絶対今日こそ此奴を負かすと、キバが闘志を燃やす。
 二人の間には2メートルほどの距離があり、どちらも先手を決めた方が勝つだろう。

「うずまきカトナ、推してまいる」
「犬塚キバ、受けて立つぜ!!」

 その言葉と共に、二人の間にいた審判が旗を上にあげた。

 「はじめ!!」

 次の瞬間、カトナは大太刀を両手で持ち振りかぶってから、勢いよくキバの方に投げた。
 もしもカトナが大太刀を投げる時に頭を下げず、キバを見つめていたのなら、その顔を目にしただろう。
 口を大きく開き、目もこぼれるのではないかと思うほどに開き、呆気にとられているキバの顔を。

 は?

 言葉にするなら、そんな顔をしていた。
 キバも、赤丸も、観衆も、審判の教師さえも、全員の思考が停止した。 

 しかし、擬人忍法を使おうとした赤丸、擬獣忍法を使おうとしたキバ、その他全員を置いて投げられた大太刀は、空気抵抗を忘れたかのように、一直線にくるくると回転しながらも、凄まじいスピードで二人に向かう。
 遠距離で攻撃する。それ自体は考えないわけではなかったが、しかし、もしも投げるのならば苦無だとキバは想定していた。
 ゆえに自分たちの俊敏さなら、術を発動した後でも苦無を避けることくらいわけないと、彼はそう考えたのだ。

 だが、大太刀という予想外の物が投げられたことで思考を停止が停止した。そのうえ、大太刀はカトナの身長を超えるほどの長さなのである。当然、刃もそれなりに表面積があるわけで。
 いくら俊敏な二人でも、術を発動した後で、の大太刀を避けきれるわけがなかった。

 約2sもの重さがある大太刀がこちらに
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