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ハイスクールD×D 〜聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝〜
第2章 滅殺姫の憂鬱と焼き鳥の末路
第35話 調教
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に。

「なんだ、火織くんがいなくて寂しいのか?」

「……冗談はよして下さい、兄上」

 冗談じゃない。こちらはあの女がそばにいなくてせいせいしていますよ兄上。今あいつを探しているのだってあいつこそ職務怠慢をしているという証拠を見つけてこの家から早々に追い出すためだ! それ以外なんて無い!

「あらライザー、今朝は早いのね」

「お、お兄様がこんな時間に起きているなんて……」

「おいレイヴェル、どういう意味だそれは?」

「はっはっはっ! 日頃の行いが悪いからだライザー。で、火織くんはどこにいるのだ? 今朝も共に食事をしながら昨日お前にどんな教育をしたのか聞きたかったのだが」

「兄上にも言いましたがね、今日は一度も見ていませんよ父上。さぼってるんじゃないですかね? それに昨日したことといえばずっと俺のそばに居て俺を斬り続けてただけですよ」

 ったくイライラする。どうしていないアイツのことをずっと考えなければならないんだ。

「ふむ、途中で仕事を投げ出すようなことはしない真面目そうな娘だったがな。まあこちらも無理して頼んでいたから強くは言えんが……」

「はっ! どうでしょうかね? 所詮は下賎な元人間の転生悪魔だ。約束なんて平然と破るでしょう」

 ったく、これでようやく羽が伸ばせるってもんだ。なんで家の中まで肩肘張らねばならんのだ。昨日はこうして机に足を載せるだけで斬りつけてくるし。

「おいライザー、火織くんがいなくなった途端それか」

「いいではないですか。俺も外ではこんなことしまs『ズバンッ!』……」

 ……あの女。

「おい、朝の挨拶もなしに急に斬りかかるとはどういう了見……」

 ん? ちょっと待て。

「お、お兄さま、あの人どこにいますの?」

 ど、どういうことだ? 今この部屋には俺達しかいないぞ? あの女はどこにいるんだ?

「……なるほど」

「ん? ルヴァルよ、何か分かったのか?」

「父上、昨日火織くんはずっとライザーのそばで監視をしつつマナーを直していました。そして今日は自分の姿が見えなくてもマナーを守れるのかを見ているのかと」

「ふむ、つまり今日はずっと姿を隠しつつ教育するということか」

「おそらく」

 じょ、冗談じゃないぞ。今日1日どこにいるのかも分からないあの女にずっと監視されるってのか?

「まあなんだ、お前が問題を起こさなければ火織くんも手を出してはこないんだろう? ならば問題あるまい。せっかく火織くんが時間を割いてくれるのだ。しっかりマナーを直してもらえ」

「……チッ」

 ってしまった、舌打ちは! いや、口を閉じてれば舌を切り落とされることも『ズバンッ!』……ヤロウ、顎ごと斬り落としやがった。
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