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その魂に祝福を
魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇2
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とはいえ……それでも、時間のあるうちに済ませておくべきだった。いくら呻いても、時間は戻らないが。
「仕方がない。いったん戻ろう」
「そうだね。それに、そろそろお昼の時間だし」
 何気なくフェイトがそんな事を言った。彼女がちゃんと食事の習慣を身につけてくれたのは幸いだ。アルフと二人、ホッとしたような気分で笑いあった。
(女ってのは大したもんだ……)
 部屋に戻り、昼食を済ませてから。変装したフェイトとアルフを見やり、思わず呟く。いや、変装と言うのは正しくないのかもしれない。
「どうかな? これならあの子に見られても大丈夫?」
「ああ。見違えたよ」
 浴衣に着替え、髪の結い方を替える。さらに、売店で買ってきた安物の伊達メガネをかける。それだけで、二人とも随分と印象が変わった。俺が浴衣に着替え、髪型を変えて眼鏡をかけた程度ではここまでの変化は望めまい。アルフに関しては、その上でさらに、同じく売店で買ってきた化粧をうっすらと施していている。化粧そのものにあまり慣れてい
ないようだが……それでも、浴衣姿で平然とあぐらがかける彼女が、お淑やかな大人の女性に見えた。全く、見事に化けたものだ。
 これなら、多分なのはにも気付かれない――と、思うのだが。
(同じ女から見れば、ひょっとして分かるものなのか?)
 仲良く散策――を装った捜索に向かう二人を見送りながら、そこはかとない不安にから
れなくもなかった。……まぁ、かくいう俺自身も、変装を見破るコツには覚えがある。あれくらいなら、見抜けない事はないだろう。
(まぁ、恭也や士郎とは面識がないから大丈夫か)
 それに、積極的になのは達に会いに行く訳ではないのだから問題あるまい。とりあえず、自分を納得させておく。
「夜遊の衣よ」
 俺もいつまでも呆けている場合ではない。練り上げた魔力が七色に輝く衣となって、身体にまとわりつく。鏡で確認すれば、自分の姿は消えていた。
「これでいい」
 不死の怪物からゴーストへと転身を遂げた我が身を見やり、にやりとする。これでよほどの事がない限り、誰かに発見される事はない。もっとも、魔力を知覚できるなのは、心眼を教えた恭也と士朗など、見つかりたくない連中に限って見つかる可能性があるが。
「きゃ?!」
「どうしたの、アリサちゃん?」
「え? 今何か通らなかった?」
「あれ? 今一瞬魔力を感じたような……」
「なのはちゃん?」
「え? ううん、何でもないよ!」
(余計な事を教えるんじゃなかったか……)
 廊下の曲がり角でついうっかりアリサとぶつかりそうになり――近くの売店で何やら物色中の妹に気付かれる前に慌てて走り去りながら、そんな事を思った。




『おい、起きろ……。起きろっつってんだろこのチビ!』
 旅館で過ごす最後の夜。こつこつ
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