魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇2
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その挨拶とやらの内容次第では――しばらく肉抜きにしてやろう。そう心に決めた。
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「せめて! せめて家に帰るまで御慈悲を!」
床に平伏したアルフを見やり、ため息をつく。問い詰めたところ、風呂上りに偶然見かけ、つい調子に乗って喧嘩を売ったらしい。しっかりくつろいで気分が大きくなっていたということなのだろうが――やれやれ、困った奴だ。
(しかし、面倒な事になったな……)
なのはとユーノ経由――いや、話を聞いた限り傍にはすずかとアリサもいたようだから、彼女達からも恭也やら忍やら美由紀やらノエルやらに話がいくだろう。今頃俺達を探していたとしても全く驚くに値しない。……残念だが、風呂に行くのはやめておいた方がいいだろう。風呂場で遭遇なんて色々と間抜けすぎる。
「まぁいい。わざわざ厨房まで行って、肉抜きにしてくれと頼むのも面倒だ」
というより、今は可能な限り部屋から出たくない。
「え? 肉抜き……?」
「何だ。不服か?」
「いや、アタシはてっきり湯けむり殺人事件にでもなるかと……」
「待て。そこまで派手に喧嘩を売ったのか?」
「いやいやいやいや! そんな訳ないだろ!?」
目を細めると、心底慌てた様子でアルフが手やら首やらを振りまわす。もっとも、そんな事は問い詰めるまでもなかったが。もしも取引に反するほど派手に喧嘩を売っていたなら、もっと騒ぎになっているだろう。ついでに言えば、俺がどうこうする以前に恭也達が黙っていない。それこそ俺が手出しするまでもなく、湯けむり殺人事件が発生しかねない。
「というか、それなら何で家に帰るまでとか半端な事を言うんだ?」
「え? いや、ほら最後の晩餐的な……」
潔いというべきなのかどうなのか。ともあれ――殺戮衝動がなくとも、すでに彼女達を殺す気など失せていた。簡単に殺す事が出来るほどには、俺達はもう『他人』ではない。たった数日とはいえ、共に生活した日々を消す事は出来そうになかった。とはいえ、釘だけは刺しておくべきだろう。のちに起こりえるかもしれない惨劇を回避するためにも。
「その潔さに免じて、今回は大目に見るが――命が惜しいならあまりやりすぎるなよ」
「ももももちろんだよ!」
こくこくと頷くアルフの後ろで、固唾を飲んで見守っていたフェイトがホッとした表情を見せた。この二人を見ていると、時々どちらが主か分からなくなる。今日も、妹達の到着を確認するという名目で、アルフだけが温泉を堪能していた。
(いや……。アイツらもこんな調子だったか?)
痛みと共に、優しい記憶を思い出す。あの光景を取り戻す事は、二度とできないが。
「まぁいい。そろそろ食事が運ばれてくる頃だ。食事を済ませ、軽く仮眠を取ったら周辺の捜索に行くぞ。……妹に嗅ぎつけられる前にな」
そんな事を言っていると、ちょ
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