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その魂に祝福を
魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇2
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もの発端を考えれば、そもそも他の可能性は考え辛い訳だが。
 ともかく、この数日でその確信を得ていた。切っ掛けは、フェイトの部屋にある写真だった。母親と、今より少し幼いフェイト自身が写っているというその写真。だが――
(あの子は、本当にフェイトか?)
 あの少女とフェイトは、確かによく似ている。だが、別人のように思えた。どこをどうとは言えないが――雰囲気が違う。それも、成長による変化ではないように思えた。
(だが、この子に姉妹はいない)
 フェイト本人が言うには――いや、アルフにも確認したが、フェイトに妹はいない。もちろん、姉もいないらしい。そもそも、フェイト自身が写真に写るのは自分だと言い張っている。嫌な感じだった。酷く嫌な予感がする。
(早めに解決した方がいいだろうが……)
 結局のところ、初めて彼女達の部屋に立ち入った時から気になっている物の一つが、あの写真であり――未だに解決の糸口を見つけられずにいる訳だが。
「ごちそうさまでした」
 サンドウィッチを全て平らげ、礼儀正しくフェイトが言った。
「それじゃあ、少し休憩したら捜索を再開しよう」
「そうだね。日が沈むまで、もう少し時間があるし」
 日が沈んでからは、旅館の周辺を捜索する予定だった。日没後なら、周辺を出歩く宿泊客もある程度は減る。まして、今日は宿泊客も多くない。
(他の客は、確か敬老会のご老人達だったな……)
 他にも宿泊客がいないわけではないが……一番人数が多いのはそれだろう。となると、わざわざ外で逢瀬を交わすような連中は――まぁ、恭也と忍くらいなものだろう。老いらくの恋と言うのもあるかもしれないし、この半月で美由紀に相手が出来ている可能性も……さすがに皆無だとは言わないが。
(いずれにせよ、問題となるのは夜だ。特に今夜。そこだけ切り抜けれれば――後は何とかなるだろう)
 それに関しては、楽観を極め込む事にした――のがやはりまずかったのだろう。フェイトがこんな事を言いだした。
「あ……。光の妹さん、本当に来たみたい」
「アルフからの連絡か?」
 思念通話と呼ばれる魔法だろう。かつての自分も体得していたはずだ。今は使えないが――今後の事を思えば、もう一度フェイトにでも教わっておいた方がいいかもしれない。
(相棒もいない事だしな……)
 あいつとは近いうちに合流しなければならない――が、そのためには、まず魔導師にこの世界から……せめてあの家からお引き取り願う必要がある。つまり、この一件に決着をつけてからという事だ。できる事を、できる範囲からやっていくしかない。
「それで、アルフは何だって?」
「え? ちゃんと挨拶しておいたって」
 それはまた……何とも不吉な予感がする返事だった。アイツは妙なところで妙な悪乗り
を見せる事がある。今回もそうだろう。

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