魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇2
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後に封印作業に入れる。その為にも、積極的に場所を絞り込んでおく必要があった。とはいえ……。
(なのは達が来るとなるとな。あまりのんびりはしていられないか)
なのは……少なくともユーノがジュエルシードの反応に気付かないとは思えない。争奪戦になれば、妹が向こうにつくのは想像に難くなかった。間違っても、なのはと殺し合いなどしたくない。それが偽らざる本音だ。仲間殺しの業と、妹殺しの業。どちらの方が重いかなど確かめたくもなかった。
(まぁ、なのはが来ていると決った訳ではないが……)
自分でも全く信じていない可能性を呟く。あの一家が、末の娘だけを置いて遊びに出かける訳がない。必ず、なのははこの場所に来る。それまでに回収できればいいのだが。
(それも難しいか……)
今の自分の感覚では、それもできない。この一件が始まってからの半月で、嫌と言うほど思い知っていた。忌々しく認める。かつての自分なら、とっくに見つけられているはずだった。
(結局、俺は自分で自覚している以上に弱くなっているんだ……)
焦りや苛立ちより先に、恐怖を覚えた。こんな無様な有様で、本当に『本来の目的』を達成できるのか。……かつての自分ですら、今一歩力及ばなかったというのに。
「光、どうかしたの?」
知らぬ間に立ち止まっていたらしい。不思議そうな顔で、フェイトが言った。まずはこの一件に集中するべきだろう。首を振って焦燥を追い払う。
「何でもない。それより、そろそろ昼食にしよう」
木々の隙間から太陽を透かし見て、告げた。簡単なものだが、食事は携帯している。もっとも、この一食分だけだが。
「そうだね」
わざわざ旅館まで来て、俺の手料理というのも何だとは思うが――これは、フェイトの要望だった。確かにこの場所からわざわざ旅館まで戻るのも二度手間だとは思うが。
「近くに川があったはずだ。そこで食べようか」
「うん」
フェイトを連れて、少し移動する。間もなく、森が途切れ、清流が姿を現した。せせらぎが発する冷気は、春の陽気には肌寒いくらいだったが、山中を歩きまわり火照った体にはむしろ心地よい。見晴らしのいい岩の上に荷物を広げて、食事を始める。
「いい天気だね」
「そうだな」
少し緊張を緩め、のんびりとした声でフェイトが言った。そのまま、大きく伸びをする。ここ数日で、随分と子どもらしい――年相応の姿を見せてくれるようになった。
(俺に対する緊張が緩んだからか?)
可能性としては、決して低くない。だが、何かがおかしい。
(一体、この子の何が原因なんだ?)
彼女の控えめな笑顔を見る度に、右腕が疼く。右腕の殺戮衝動は日増しにその存在感を増していた。それが何に由来するものなのか。まだ結論にまでは至っていないが――
(鍵となるのは『母親』だ)
この衝動のそもそ
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