暁 〜小説投稿サイト〜
その魂に祝福を
魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇2
[11/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
と、何かが乱暴に頭にぶつかってくる。ぼんやりと目を開くと、何やらごとごととリュックサックが飛び跳ねていた。いや、違う。
「リブロム君、どうしたの?」
 寝ぼけた目をこすりながら、鞄を開け――それから、慌てて周りを見回す。幸い、すずかもアリサも寝ているようだった。それを確認してから、改めてリブロムを取り出す。
『どうしたもこうしたもねえよ。さっさと『流れ星』探しに行くぞ』
 リブロムがいつになく可愛らしい事を言う――訳ではない。実際、私達はその『流れ星』を探しに来たのだ。
 事の発端は、数日前。お母さんが、常連のお客さんから噂話を聞きつけた事に始まる。
『海鳴温泉の近くに、流れ星が落ちたらしい』
 もちろん、実際のところはそれくらい間近に見えたというのが正しいのだが――詳しく話を聞いてみると、どうやらそれは、この世界にジュエルシードがばら撒かれた日と一致するようだった。
 海鳴温泉は、毎年この時期には家族で出かける場所だったが――今年は、光もいないし、ジュエルシードの事もあるので、見合わせようかという話になっていた。だが、その噂話は無視できない。お父さんや、恭也、リブロムやユーノと話し合った結果、私達はい
つも通り、この旅館へと行く事に決めた。その時、いつもは一緒に行くすずかやアリサをどうしようかという事でも少しもめたのだが――
『街中のどこにいたって危険性は変わらねえよ。それなら、オレ達の傍にいた方がいくらか安全だろ。相棒だってあの金髪小娘どもまで巻き込む気はねえだろうしな』
 というリブロムの言葉で、今まで通り一緒に行く事に決まった。
 みんなを守らなければならない。恭也やリブロム、ユーノはそんなに気負わなくていいと言ってくれたけれど、それでもやはり緊張するのは仕方がない。もっとも――
「でも、恭也お兄ちゃんもお父さんもユーノ君も見つけられなかったって……」
 もちろん、私も。みんなで交代しながら、二日間探し続けても空ぶりだった。
『暴走が始まるまでは、安定していて見つけにくいってのは知ってんだろうが。それに、
相棒がいる。つーことは、あの金髪の嬢ちゃん達もいるって事だ。アイツらがいるなら、単なる噂話じゃねえよ』
 それはそうだろうけど――って、ちょっと待って。
「光お兄ちゃんいたの?!」
 それは一体いつの話なのか。光がいなくなってから、リブロムはずっと肌身離さず持ち歩いているし――今日だって、お風呂に入る以外はずっと一緒だったはずなのに。
『アリサが幽霊を見たって騒いでただろ。あれが相棒だ』
「そうなの!?」
『魔法使いが姿を消せるくらいでいちいち驚くんじゃねえよ』
「そうじゃなくて、何で早く言ってくれなかったの?!」
『ほう? あの二人の前で口をきいて良かったのか?』
 ククク、とリブロムが意地悪く笑
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ