魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇2
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笑ったのか。……まぁ、復讐に没頭し生き急ぐ相棒に、僅かでも安らぎを与えられたのなら、それに越したことはない。
かつて、不老不死の怪物に料理を教え込むなんて酔狂な真似をした彼女も、あるいはそう思ったのかもしれない。……今となっては、もう確かめる術もないが。
「光、今日はわかめと豆腐の味噌汁がいいな」
ともあれ、それからというものほぼ毎日のように相棒の食事の世話をする羽目になったのは言うまでも無い事だろう。そのおかげで、この世界の――彼女の故郷の料理についても随分と詳しくなった。まぁ、それはそれで悪いことではない。
ちなみに。それからしばらくの後、相棒の料理の才能がその娘には一欠片たりとも受け継がれていない……いや、それどころか欠損している事を知る羽目になり、頭を抱える事になるわけだが――それはまた別の話である。
2
「光、温泉に行くよ!」
朝っぱらから、アルフが唐突にそんな事を言いだした。珍しく俺より早く起きたと思ったら、いきなり何を言い出すのか。
「あのね。この場所で、ジュエルシードの反応があったの」
困惑が表情に表れていたのだろう。アルフの傍らにいたフェイトが、例によって地図を投射しながら言った。
「なるほど……」
その場所は、海鳴温泉の近くだった。士郎達に何度か連れて行かれた事がある。
「この反応だと、あと二、三日くらいで臨界に達すると思うから……。早く封印しに行かないと」
「そうそう。ささっと封印して、ゆっくり温泉に入って、山の幸でも食べて帰ってこようじゃないか!」
「いや、それは別に構わないが……」
この場所はそれなりに馴染みがある。ジュエルシードに荒らされるのは、あまり良い気分ではない。封印ついでに温泉に浸かってくるというのも悪くないだろう。山の幸……は立地的に難しいかも知れないが。どちらかと言えば、出てくるのは海の幸だろう。海鳴市は、その名の通り海岸沿いの街だ。確かに山の中にはあるが、あの旅館も例外ではない。
「よしよし。それじゃ、さっそく予約を入れてくるよ。どうせただの週末だし、そう混む事もないだろ?」
それはそうだ。上機嫌に電話に向かうアルフを見送り――ふと何かが引っ掛かった。
「どうせなら、週末はそっちで過ごせばいいよね。二泊三日の温泉旅行。いいねぇ。わくわくしてきた」
そんな事をしなくても、俺達の生活に週末も平日もないと思うが。しかし……。
二泊三日?――その言葉が、妙に記憶を刺激する。だが、カレンダーを見たところで、その日はごく平凡な週末に過ぎない。連休と言えば連休だが――普通なら、一泊二日が限界だろう。土日しか休みではないのだから。……そのはずだ。
「予約取れたよ〜!」
カレンダーを見やり、記憶を探っているとアルフの上機嫌な声がした。
「さ、やる事はやった
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