A's編
第三十二話 後
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から発されるのは金色の雷である。それは、アリシアちゃんが使えず、フェイトちゃんだけが使えるある種、彼女を象徴する存在であるはずだ。それを彼女は使う。
「サンダー――――」
僕たちの目の前には彼女の魔力で編まれた大きな魔法陣。その中心部に向けて彼女は黒き戦斧を振り下ろす。
その先にあるのは、彼女を閉じ込めるかのように存在した黒い檻。それが彼女自身の手で壊される。フェイトちゃんだけが手にした魔法の力で。彼女自身の力で彼女は自分自身の檻を打ち破る。
「レイジ―――」
金色の魔法陣で編まれた魔法陣から飛び出したのは、力を持った魔法の力であり、彼女特有の力で増幅された金色の雷。それらは狙い澄ましたかのようにひび割れた黒い檻に直撃し―――窓ガラスが割れたようなパリンという薄い音を立てて、派手に砕け散った。
僕たちは崩れ去り、大きく穴が開いたそこから手をつないだまま飛び出していく。そして、いよいよ、そこから脱出できる直前に声が聞こえたような気がした。
―――妹をお願いね。お兄ちゃん。
◇ ◇ ◇
最初に感じたのは光だった。脱出するときの衝撃で、目をつむったままだったが、それでも外に出たことを証明するように肌に風を感じたので、恐る恐る目を開けてみると、そこは大海の海原だった。陸地ははるか向こう側で、なぜか海から岩が飛び出しており、僕とフェイトちゃんは手をつないだまま、その岩の上に立っていた。
「えっと………外に出られたのかな?」
「そう……みたいだね」
僕が隣にいるフェイトちゃんに確認するように問いかけると、彼女ははにかみながら返答してくれた。
しかしながら、この状況はどういうことだろうか?
ずっと闇の書の中にいた僕には状況がわからない。大海のど真ん中にいる意味も、この海から飛び出した岩肌の意味も。それに闇の書はどうなったのだろうか。また、彼女と戦っていたなのはちゃんも。それからクロノさんたち時空管理局の人たちは?
気になることはたくさんあるのだが、この状況で応えてくれる人は――――
「ショウくんっ!」
その声には隠しようのない喜びに満ち溢れていた。しかも、その声は僕も聞き覚えがある声だ。ああ、ようやく事情を知っている人が来てくれた。しかも、僕が不安に思っていた人だから、声が聞けて一安心―――そう思いながら振り返ると、目に飛び込んできたのは、黒とその中を走る赤い線だった。
え? と思う暇もなく、次の瞬間には僕の後頭部には二本の腕が巻きつけられ、僕の顔は何か柔らかいものに包まれていた。簡単に言ってしまえば、僕は誰か―――声から判断するになのはちゃんに抱きしめられているような状況だった。
「な、なのはちゃん?」
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