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リリカルってなんですか?
A's編
第三十二話 後
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よ。君はアリシアちゃんじゃなくて、フェイトちゃんだ。それでも、やっぱり君は僕の妹だよ」

 それは揺るぎようのない事実だ。だから、僕は彼女がその場所が欲しいと望むのであれば、喜んで手を差し出そう。

「君が笑えることがあれば一緒に笑うし、悲しいことがあれば一緒に悲しむし、寂しいのであれば一緒にいるよ。そんなどこにでもいる兄妹だよ」

 一番近い他人―――それが家族を称するときに使われる比喩だ。その絆―――つながりははたして血筋によるものだけではないことはすでに知っての通りだ。大事なのはお互いの認識であろう。一方通行の想いでは関係は成り立たない。お互いの認識があって、初めてその関係は成り立つのだ。

 だから、僕はフェイトちゃんを妹と認めた。そして、フェイトちゃんは――――

「わたしは………」

 何かを悩みながら葛藤するフェイトちゃん。彼女が何を悩んでいるのか僕には理解できない。僕はすでに手を差し出したのだ。僕にできることはあとは、フェイトちゃんが差し出した手を握ってくれるかどうかである。

「ねえ、フェイト。ここから始めてみない?」

 その言葉は、僕の後ろにずっと立っていたアリシアちゃんから発せられた。気が付けば、少し離れて立っていたはずなのに、僕のすぐ後ろまで来ていた。

「今まで母さんの言うことを守ることしか考えていなかったフェイトが自分を始めるのは難しいかもしれないけど、でも、お兄ちゃんの隣ならきっと大丈夫だから」

 そう言いながら、僕の横を通り抜け、フェイトちゃんの隣に立った。アリシアちゃんが浮かべる表情は、やはり優しい笑みだ。先ほどまでとは違う。どこか年上めいた―――姉のようなそんな笑みだった。

「ほかの誰が言っても信じられないかもしれないけど、それでも―――自分自身の言葉なら信じられるでしょう。それに―――」

 そう言いながら、アリシアちゃんは、首からぶら下げていたアクセサリーを取り外してフェイトちゃんの前に掲げた。それは、アルフさんが紐を通して、アリシアちゃんに持っておくようにお願いしたアクセサリーだ。三角形の金色のアクセサリー。

 僕は、それを単なるアクセサリーだと思っていたのだが、違うのだろうか?

「フェイトは一人じゃない。ずっと一緒だった人がいるでしょう?」

 その言葉にピンと来たのか、フェイトちゃんは今まで半開きだった目を驚いたように見開いた。そして、その小さな口から零れる名前。

「あるふ……ばるでぃっしゅ……」

 ゆっくりと、まるで壊れ物でも触れるのかようにゆっくりとフェイトちゃんの手が動き、やがてアリシアちゃんが掲げている金色のアクセサリーを手に取った。それを愛おしそうに頬へともっていくフェイトちゃん。その瞳からはいつからか、雫となった涙が流れ
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