A's編
第三十二話 中
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僕の困惑するような表情に気付かないように、はやてちゃんは言葉を次々に紡ぐ。
「次はファンタジーっぽい世界やなくて、もっと現代風にしてみよか? 能力系の世界なんてどや?」
「はやてちゃん?」
僕の問いかけを無視してはやてちゃんは、言葉を紡ぐ。まるで、聞きたくないように。聞くことを無視しているようにも思える。その様子がおかしいはやてちゃんの態度を放っておくわけにもいかず、僕はもう一度、はやてちゃんに声をかけた。
「はやてちゃん」
「ん? なんや? ショウくん。もしかして、最強キャラにでもあこがれてるんか? あかんで、それは―――」
「はやてちゃん」
一回目の呼びかけは普通だったが、二回目の呼びかけは少しだけ強めに声をかけた。そうしなければ、彼女がこちらを向いてくれるとは思わなかったからである。事実、少しだけ強めに声をかけた時、はやてちゃんはようやく壊れたテープレコーダーのように言葉を紡いでいた口を閉じて、ばつの悪そうな顔をしていた。
「どうしてそんなこと言うの?」
僕たちがこれから話し合わなければならないのは、ここからどうやって脱出するか、あるいは、この状況を打破できる方法である。次の夢の世界を話し合うべきではない。それは、共通認識だとは思っていたが、どうやら違ったようだ。
僕は、彼女がこの状況の打破を望まないのは、あの時のクロノさんの言葉が引き金だと思っている。つまり、すべてに裏切られて、絶望したからだと。その中の一つの要因でも取り除けば希望を持ってくれると思っていたのだが………。そうではないのだろうか。
「ねえ、はやてちゃん、この状況を何とかしようよ」
僕は初めて彼女に提案してみた。
「い、いやや!」
だが、はやてちゃんから返ってきたのは、僕が望んだような賛同ではなく、拒絶だった。
彼女の中の何がそうさせるのかわからない。何か原因があるはずだった。僕が考えた以上の原因が。しかし、僕が一人で考えたところで答えはわからないだろう。彼女の気持ちは彼女しかわからないのだから。だから、僕は彼女の気持ちを知るためにさらに問いを重ねるしかなかった。
「どうして?」
僕の問いにはやてちゃんは、やや無言を重ねると、やがて言いづらそうな表情をして、その重たい口を開いた。
「だって………もう、嫌なんや。寂しいのも、一人になるのも、ただいまを言う相手がおらんのも、話す相手が誰もおらんのも、全部、全部嫌なんや! だから―――」
それは………孤独を初めて知った少女の叫びだったのだろう。
「でも、僕がいるよ」
今度は、彼女との約束は守るつもりだ。彼女を一人にするようなつもりは決してない。その言葉が本当であることは先ほどリインフォースが保証してく
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