A's編
第三十二話 中
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うん、頑張って。僕には応援しかできないけどね」
「………申し訳ありません。少年には別の役割があります」
応援しようと決めたところで、言いづらそうにリインフォースが口を挟んでくる。せっかく覚悟を決めたのに、とは思うが、それでもやることがないよりもましである。
「えっと……なにかやるべきことがあるなら、そちらもありがたいのですが」
「少年を追って、闇に飛び込んできた少女がいます。彼女と一緒にこちらが制御を取り戻した瞬間に内側から脱出してください」
――――僕を追ってきた?
ふと、脳裏に浮かんだのは、こちらに来る直前に耳に残っている「お兄ちゃん!」という叫び声。つまり、僕を追ってきた少女というのは―――
「もしかして、アリシアちゃん?」
「名まではわかりませんが、この場にとどまれば、防御プログラムと一緒につぶされてしまいます」
たとえ、アリシアちゃんじゃなかったとしてもどうやら助けに行かなければならない状況らしい。もっとも、ここで漫然と応援しているよりもいいのかもしれないが。
「わかりました。その子の元へ向かいます」
「お願いします」
そう言うリインフォースさんは、掌を闇へと向けて、また別の闇を作り出した。おそらく、この向こう側にアリシアちゃんかもしれない少女がいるのだろう。僕は、リインフォースさんに顔を向け、コクリと一回うなずかれた後にこのゲートをくぐることにした。
「ショウくん!」
僕がゲートくぐる直前、横からはやてちゃんの声。なんだろう? と横を見てみれば、そこには先ほどの失うことに怯えていたような表情もどこへやら、満面の笑みを浮かべたはやてちゃんが、びっ、と親指を立てていた。
「また、外でやで!」
「うん、はやてちゃんも、頑張ってね!」
僕もはやてちゃんに倣うようにして、右手の親指を立てて彼女に返した。
はやてちゃんがうまくやるか、なんてのは考えない。彼女はきっとやってくれるだろうし、友人である僕は、彼女を一人にしないと約束した僕は彼女を信じる。
だから、僕は一切の不安を抱くことなく、目の前に開かれた闇のゲートへと足を踏み入れるのだった。
続く
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