その一
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す」
身長は……百七十センチくらいかな。
捉えどころのないような雰囲気を持つ織斑くんを見た私の第一印象は『ちょっと、かっこいいかも』だ。
あたりを見渡せば、このクラスにいる唯一の男子に興味があるのか、他の娘たちの視線は織斑くんに釘づけだ。
私もその一人だけど。
クラスの娘たちは織斑くんがどんなことを話すのだろうと期待している。
が、自己紹介の続きを一向に話す気配がない。
待たされた挙句、織斑くんの口から出た言葉は……、
「以上です!」
その言葉を聞いた私は、座っていたイスからズリ落ちそうになっていた。
スパンッという何かを叩く音が聞こえたかと思うと、織斑くんが「いっ――!?」と呻いた。
織斑くんが頭を擦っていることから、どうやら頭を何かで叩かれたらしい。
それにしてもいい音がしていたな。
織斑くんはかなり痛そうにしてるけど、大丈夫かなと心配になる。
織斑くんを叩いた人物の手には、黒くて、薄く、長方形をした物体、たぶん出席簿らしきモノが持たれている。
それが今、私の目の前で起きた織斑一夏殴打事件の犯行で使われた凶器だろう。
黒いスーツにタイトスカート、ヒールが高い靴を履いていることから背が織斑くんと同じくらいに見える。
靴なしでもすらりとした身長を持つだろう女性。
入学式で私たち一年一組の担任だと紹介された織斑千冬先生だ。
私は最初、二人は同姓なだけかと思っていたけど、織斑先生を見た織斑くんが「千冬姉」と言ったことことから二人が姉弟の関係であることがクラス中に知れ渡る。
織斑先生の弟だからISを動かせるのかな? 何て会話が洩れ聞こえてくるけど、それだとIS適性の高い女子の血縁関係にある男子は全員ISを動かせることになってしまう。
ISを動かせる男子が織斑くんだけということは、私たちには解らない何か特別な理由があるんだろう。
一時限のIS基礎理論講習が終わっての休み時間。 自分の席に座ったままじっとしている織斑くんに誰も声をかけるでもなく遠巻きに眺めるだけのクラスメイトの女子たち。
私は勇気を出して織斑くんに声をかけてみようとイスから腰を持ち上げた時、織斑くんに近づく人間がいた。
長く艶やかな黒髪をポニーテールにしているあの娘の名前は……私の席とは反対側の最前列窓際に座っている篠ノ之箒さん、だよね。
周囲からは「篠ノ之さん、抜け駆けはズルいよ」なんて言っている声が聞こえてくる。
篠ノ之さんは織斑くんの席の前に立つとぶっきらぼうに声をかけた。
「……ちょっといいか?」
「……箒?」
篠ノ之さんは話があると言って織斑を教室から連れ出した。
私は二人で連れ立って教
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