アカデミー編
陰陽
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理由にあげようかと思考をはせたイルカに、戸惑った様子のナルトが質問する。
「なんで、おごってくれるんだってば?」
「そうだなー、可愛い生徒にはおごりたいもんじゃないか?」
それは理由じゃない。そう言いかけたカトナを制するように、ナルトが声をだす。
「やったー!! 俺、ラーメン、一楽のラーメンがいいってば!!」
「ちょっ、ナルト」
「おっ、ナルトもあそこのラーメンが好きなのか。俺もな、あそこのラーメンが大好きでな」
「海野先生も、かんがえ」
「よし、いくってばよ!!」
カトナの静止も聞かずに片付けをし、帰りだし始めた二人に、カトナはどうしようと下をむく。
二人の楽しげな声が聞こえるのに、自分がいったら、それを壊してしまいそうで。海野先生にも迷惑をかけそうで。そのラーメン屋さんが、毒を仕込みそうで怖くて。
先にかえるねと、そう告げようとしたカトナの手を、ナルトが掴んで笑う。
「早くいくってばよ、カトナ!」
「ほら、二人とも。はやくしないと、店が閉まるぞー」
その笑顔を壊したくなくて、小さくカトナは頷いた。
・・・
一楽でのラーメンは、毒なんて仕込まれていなかった。
おいしい、おいしいと、ナルトが喜んで食べて、おかわりも要求していた。
良い食いっぷりだと、チャーシューをおまけしてもらったようだが、カトナはそんなに脂っこいものが好きではないので、子供用の塩ラーメンをもらった。
ナルトのお椀の二分の一。幼児が食べるような、そんな少量サイズ。
注文したカトナを見たイルカが心配になって、更に自分の分まで食べさせようとしていたが(そしてそれを見ていたナルトが、代わりに俺が食べるってばよと言って、イルカのを食べようとしていた。そしてイルカに見つかって叱られていた)、カトナは元来少食だ。
というか食欲が薄いのである。睡眠欲も薄い方だ。欲求に制限がかかっているので、基本は一日二食。酷い時には朝食しか食べないほどだ。
今日だって、いつもと比べればよく食べた方である。
しかしながら、どうして毒を仕込まれなかったのだろうと、カトナは首をかしげた。
イルカがいたからだろうか。ナルトがいたからだろうか。
聞けばよかったとも思ったけれど、聞くのは失礼だから、聞かなかった。
美味しいものを作りたいという思いを侮辱することは失礼だ。彼らにも彼らなりのプライドがあるだろう。…憎しみとプライド、どっちが上まわるかは本人次第だろうけど。
あの人は、カトナが九尾の人柱力と言われていることを、知っていたのだろうか。知っていたのに、知らないふりをしていたのかもしれない。それとも、本当に知らないのかもしれない。
どっちでもいいやと、カトナはイルカに手渡された野菜を見る。
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