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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
22.Jury・Night:『Howler in the Dark』U
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出したように誰かの悲鳴。群衆の阿鼻叫喚、尻目に。

「後始末は完了、と〜。あ〜あ、やっぱり、ちゃんと選ばないとこんなゴミしか出来ないか〜」

 携えた、魔導書を。『ドール讃歌(ドール・カンツ)』を、能面の笑顔で見詰めて。

「では、次はワタシの出番ね」

 傍らのベンチに腰掛けていた、青地に波の模様のチャイナドレスの妖艶なる娘が語り掛ける。
 エキゾチックな黒髪をシニョンで纏め、黒い扇で口許を隠して。流し目、涼やかに。

「ちぇ〜、まぁ、私は失敗したからね〜。大人しく、次の出番は譲るのさ〜」
「ええ、待ち侘びたもの。最初は時計人間、次に貴女。本当、待ったわ」

 赤い占い師(イフリート)の間延びした軽口にも、怜悧に真面目に。狂気の笑顔を前に、青い舞姫(ルサルカ)――――水死体の如く潮の香りを纏う彼女、事も無げに。

死者的大邪神祭司(フングルイ・ムグルウナフ・■■■■■)……」

 口遊む。その、冒涜の詩。捧ぐように、虚空へと。
 見えはしないが、その『唇』は恐らく、歓喜に歪んでいる事であろう。

?不能等待離開的夢想在螺湮城寶座(ル・リェー・ウガフ・ナグル・フタグン)――――」

 太平洋の遥か海底に沈んだ都で、今も星辰が揃う日を死の微睡みに夢見る『旧支配者の大司祭』と共に。


………………
…………
……


 漸く、終わった。後始末も、全て。飾利を寮に帰し、部屋まで誰にも見付からないように、『隠蔽』の神刻文字(ルーン)を自らに刻んで運んだり。出入管理の記録を改竄したり。
 後は、放棄区画の崩落を匿名として『警備員(アンチスキル)』に通報したり。したらしたで逆探知された挙げ句に犯人扱い、上層部に掛け合って揉み消したり。本当に、忙しく暗躍して。

「――――イヤッホォォォウ! 御同僚の皆々様、おはようございー!」
「……また、この男は朝から」
「やあ、みーちゃん、今日も朝から、眉を寄せた憂える表情がクールビューティーだね!」
「あ・な・た・の・せ・い・よ!」

 貫徹のハイ状態で風紀委員の支部に行き、朝礼中に乱入してやはり美偉にこっぴどく叱られて。

「――――では、今日も別行動をさせていただきますの」
「あ、うん……その、気を付けてね?」

 ハイテンションが切れた頃、完全に軽蔑した瞳でそう言い残して空間移動(テレポート)していった黒子を為す術無く見送って。

「……こりゃあ、完全に無理ゲーって奴だな。詰んだわ」

 ちょっと昨今、他に無いレベルで見下されていた事に、膝が笑っていた。ちょっとだけ、癖になりそうな視線だったのは内緒。

「はぁ……眠い」

 ぬべーっ、と、テーブルに突っ伏す。冷やっこい天板は、実に心地よい眠気を運んで
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