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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第10話『告白』
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─」
「私は。ただ人前ではいい顔をしようとしてるだけだから。『本当の』優しさとかじゃないんだ……」

寂しそうな顔をして言う雪姫に、なんと言っていいかわからない。
この旅行中も、みんなに色々と気を遣いながら取り仕切っていた雪姫。
そんな人が、なんでそんな風に思うのか不思議だったが、
彼女の深い内面の話なのかと思うと、軽く口を挟む事が出来なかった。

「……それにしてもさっ」

気をとり直したように、雪姫が笑顔を浮かべて話しかけてきた。

「計佑くんが優しいのは知ってたつもりだけど、あんなに強いのにもびっくりしたよ」
「ええ!? どっどこが!? 」

今度こそ納得できず、声を大きくしてしまう。
男たちに一撃すら入れることが出来ず、サンドバッグになるだけだったのに。
つい、またからかいモードに入ったんだろうかと疑ってしまう。

「あんな恐い人たちに、正面から向かっていって……勝てないだろうって事はわかってても、
……私……のために立ち向かってくれたんだよね?」

途中、一瞬ためらいながらも、雪姫が質問してきて。

「いや……あれはカッとなっちゃっただけで。別に勇気とかそういう話でもないんですけど……」

勿論、雪姫を助けるために駆けつけたのだけど、計佑は今まで殴り合いのケンカなんて一度もやった事がない。
だから勝てないだろう事は分かっていた。それで道中に、雑だが一応プランは考えたりもしたのだ。
警察は呼んであるのだから、その事を連中に伝えて。
お前らの顔と車のナンバーは覚えたと煽って、逃げまわり時間を稼ぐとか──
でもあの時、縛られた雪姫とその傍にいる男を見た瞬間、もう我を忘れてしまったのだ。

──ただ実際、そんな手をとらなくて良かったわけだけれど。
連中は想像以上にタチが悪かった訳で、もしそんな手をとっていたら、
警察が来る前に口封じだと雪姫たちを殺しにきていたかもしれない。

そういう訳で、雪姫は自分の勇気を讃えてくれているらしいが、素直に受け止める事ができなかった。
それでもやはり、雪姫は微笑のままで見つめるくる。なんだか尊敬の眼差しのような──

「やっぱり計佑くんはすごいよね……きっと本気でそう思ってるんだもんね」

──いや、本気も何も事実だし。

そう思うのだけど、これ以上反論するのも堂々めぐりになる気もして、それは口にせず、代わりに雪姫のことを話題にした。

「先輩の方がすごいですよ……あいつが俺に刃物向けた時、体当たりしようとしてたでしょ? 正直、焦りましたよ」
「……それも計佑くんだったからだよ」

また小声で言われて、やっぱりよく聞き取れなかった。

「……本当に、すごく嬉しかったんだよ……計佑くんが助けに来てくれた時。
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