番外編
番外編5:ある執務官の恋愛事情
第1話
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言葉に笑みを返すとゲオルグは通信を切った。
「厳しいですね、この状況」
通信画面が閉じると同時にシンクレアが眉間に深いしわを寄せて言う。
その声は低く抑えられたものであったが、その中に焦燥の色が混じっていた。
「確かにね。 でも焦っても仕方ないよ、シンクレア」
対してフェイトは落ち着きはらっていた。
「何言ってんですか。 2時間半しかないんですよ? 判ってます!?」
「判ってるよ。 でも、焦るのと急ぐのとは全然違うんじゃないかな?
焦ったって作戦の成功率が下がるだけだよ」
目を吊り上げて大声をあげるシンクレアに向かって、
フェイトは落ち着いた口調で、諭すように言葉を掛ける。
気勢を削がれたシンクレアは少しすると落ち着きを取り戻した。
「すいません・・・」
「いいよ。 それより、早く行かなきゃ」
「はい、行きましょう」
そして2人は洞窟の中へと入っていく。
照明のない洞窟の中は薄暗く、2人は慎重に目を凝らして前を見ながら
奥へ奥へと走っていく。
《マスター》
洞窟に入ってほんの100mほど進んだ時、シンクレアのデバイスである
インヴィンシブルが声をあげた。
「どうしたんだい、インヴィンシブル」
《AMFです。 入り口から検知はしていたのですが、進めば進むほど
強度が上がっています》
「やっぱりか・・・。 シスターシャッハたちとの通信ができないのも
このせいですかね?」
「たぶんね」
フェイトは小さくそう答えると足を止めた。
並んで走っていたシンクレアも合わせてフェイトの側に立ち止まる。
「ちなみに、シンクレアは携帯用AMFCは持ってきてる?」
「ええ、もちろん」
シンクレアは大きく頷くと携帯用AMFCの筐体を取り出して
手のひらの上にのせる。
「じゃあカートリッジの数は?」
「ええと・・・」
答えあぐねたシンクレアは手持ちのカートリッジの数を確認すると、
再びフェイトの方に目を向けた。
「20ですね」
「そっか・・・私も同じくらいかな。 あんまり余裕ないね。
AMFCはここぞと言う時にだけ使うようにしなきゃだめかな」
「そうですね」
2人は状況の厳しさを再認識し、お互いに厳しい表情で頷き合うと、
再び洞窟の奥へと進み始める。
だが、いくらも進まないうちに再び2人の足は止まった。
「これは・・・・・」
「困りましたね・・・・・」
2人の目の前で洞窟は三つに道別れしていた。
そのうち一つの道には足跡がくっきりと残っていた。
「シスターシャッハたちはこの道を行ったんだね。 残るは2つか・・・」
フェイトはそう言って腕を組み、しばし
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