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乱世の確率事象改変
新たな絆は抑止の鎖
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か。
 道筋を確かめ、思想を聞き、率いていた隊の想いを想像し、黒麒麟の全てを読み解こうとしてきた。
 何故、曹操では無く劉備に仕えたのか。何故、劉備軍に所属し続けたのか。
 単純明快な理由が頭に浮かび、それが答えだと直ぐに理解した。煮詰めれば煮詰める程に、それしか答えが見つからなかった。

 初めに出会った王が劉備であったから……ただそれだけ。

 例えば、華琳に初めに出会っていたなら、秋斗は間違いなくそのまま仕えた。月に初めに出会っていたなら、この世界の董卓である月を見捨てる事などするはずも無いだろう。
 彼女達が必死になって誰かを救おうとしている姿を知ってしまえば、それを助けたくなるは秋斗にとって必至。後はズブズブと、これが自分の使命だと妄信して視野が狭まっていくのも、一度しかない機会では当然。
 それだけが理由だったのだと、冷静に分析した結果、秋斗は判断した。
 そしてそれが間違いであったとも、今の秋斗は気付いている。

 何故、気付くことが出来たか……
 今“此処”に“自分”が居るからだ。

――ただ一人の強大な王が大陸の頂点に立つ事を望んでいる今の俺が消えずに存在していて、そしてこの世界が壊れていないから。

 世界を変える意思を持てば、この世界は壊れない……そう、あの腹黒少女は言った。好きに動け、とも言った。
 つまり秋斗が持つべき世界改変の意思とは――――乱世を終わらせる事。そこに結論が行き着くは必然であろう。
 ならば……もはやわざわざ劉備の元へ戻る必要は無い。少しでも長き治世を齎せる王の元へ行くだけ。
 秋斗を知る誰もが勘違いしていた。否、そうなるように仕向けられていた。他ならぬ黒麒麟自体が勘違いしていたのだからそれも詮無きこと。
 掲げる王は誰でも良いはずであったのだ。全ての王の目指す未来が……平穏な世である事だけは、間違い無いのだから。
 誰しも先の事など分からない。誰でもソレに責任は持てない。出来るのは子や孫に繋げる事のみ。

 黒麒麟は、自分の知識という劇薬を最大限に生かし繋げる為に、この時代の天才達が一人でも多く欲しいと願った。いつか来る外敵からそれらを守り通す為に、誇りと強さを併せ持つ有力な将を一人でも多く生き残らせて、力という最も単純な守る為の強さを持つ血統も残したいと願った。
 幾多の歴史や道筋、そして現代の倫理観や数多の人が思い描いた物語と価値観を知っているから、歴史上有り得ない程に長く続く平穏を作ろうとした。
 理の外から指示を受けた傀儡としてでは無く、自分だけの世界改変の意思がそれだった。

 黒麒麟は劉備の元でソレをしようとしていただけ。対して、今の秋斗は誰を掲げるかを決められる。

 今の秋斗は明確に、黒麒麟の思考を理解していた。特に華琳と出会ってからはよ
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