新たな絆は抑止の鎖
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とも試合をしていた。秋斗は勝てず、春蘭は霞と引き分け。その後は日が暮れるまで秋蘭を交えて四人での訓練等々。
その様子を思い出してか、秋蘭が小さく微笑んだ。
「あれだけ綺麗に連携が出来たのは嬉しい限りだ。戦場でも我ら四人で戦えたら……きっと上手く行くだろう」
「うーん、でも同じ場所に立つ事なんてあるのか? お前さん達は部隊の指揮もあるのに」
秋斗の疑問は正しく、戦場に於いて四人もの武将が一丸となって戦う事はまず無い。そこに化け物が居ない限りは。
ただ、秋蘭が言っているのは化け物武将相手では無く、別の意味として。
「普通はそうなのだが……次の戦では風がそういった策を立てている、と耳に挟んでな」
「バカな、あの風が? 部隊を持っていない徐晃はまだしも、指揮者が纏まるのは下策では無いか。敵は有能な将の少ない袁紹軍と言えど、兵数はそのまま力である事に変わりない」
武将が一所に集うような策、と聞いて反論を唱えたのは春蘭。霞も同意だというように頷く。しかし、秋斗は鋭く思考を巡らせていた。
――十面埋伏で追い詰めた後なら出来るな。兵列突破の為に武将四人の連携での最速駆け抜けとか。風は程cだし、思いついても不思議じゃないか。
生前に於いて、程cと言う名で有名なのはその策。やはり何処かしら史実や演義に乗っ取った世界なのだと、秋斗は納得した。
ただ、思わぬ所から不意打ちが仕掛けられる。
「将が集まれる策、かぁ。雛里に聞いた十面埋伏陣やったら出来そうやなぁ。でも袁紹軍も使いよったらしいし……ソレとはちゃうんちゃうか?」
「うむ、秋蘭はまだ雛里と会ってないから知らんだろう。徐晃が……いや、黒麒麟と雛里が追い詰められた策がそれらしいぞ」
「……そうなのか。まだ正式な軍議もしていないし、風だけの案だったのだろう。ならば、その策は使わなさそうだな」
三人が会話を繰り広げて行く中、秋斗は固まっていた。
――なんで……“使われる側”の袁紹軍がそれを先に使ってるんだ。
有名処が女ばかりの世界である。何が起こっても不思議では無いと思っていたが、まさか策までこじれているとは思いもよらなかった。
秋斗はこの世界の危うさを知る。歴史通りにはいかない、自分の知識を信頼し過ぎれば食われるのだと。
これまでも自分が劉備軍に居た話は聞いている。早回しのように戦が繰り広げられているのも理解している。だが、軍師の思いつきまでねじ曲がるとなれば、警戒を強めないはずが無い。
黙々と、秋斗は思考を積み上げていく。曹操軍が勝てるようにはどうすればいいか、次の戦は何処であるのか、自分には何が出来るのか。
止まっている秋斗に対して、秋蘭が訝しげに眉を寄せた。
「……徐晃? どうした?」
はっと我に返った秋斗は
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