新たな絆は抑止の鎖
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っ手に掛けた手もそのまま。
「……苦しい事あったら言いや。もうウチら、友達やから。それとな、あんたも霞って呼んでくれてかまへんで」
静かに、数瞬の間を置いて……小さく、楽しげな笑い声が上がる。
「じゃあ、秋斗……って呼んでくれ。そんでさ、『俺』がバカしそうになったら、元譲と妙才と一緒に、ぶちのめしてくれよ」
言われんでも、との声は鋭く、されども優しい響きを持っていた。
きぃ……と扉を開け、外に出た秋斗は部屋の中に目を向け、柔らかく微笑んだ。
「おやすみ、霞。また飲もうな」
「ん、おやすみ秋斗。次はもっと飲ませるから覚悟しときや」
にししと猫っぽい笑いを上げたのを見て、秋斗はそっと扉を閉めた。
寂しい静寂が部屋を包む。その静かさに耐えきれなくなったかのように、霞はグビリと酒を喉に通した。
熱い液体は何時でも変わらず身体を暖める。しかし……喧騒の中で飲んでいた先程までとは違い、ほんの少しだけ薄味に感じた。
ほう……と熱っぽい息を吐き、物憂げに宙に視線を彷徨わせた。
「……あんたを殺した奴と友達になりたいて、自分から思うてしもた。人生思うがままに楽しんで、楽しみ抜いてから死ぬのがウチ、そうさせてもらうわ。……文句あるんやったら死んでから聞いたるで、華雄」
彼女の言葉に答えるモノは、もう居ない。
けれども……しょうがない奴だ、と女にしては男っぽい呆れ声が聴こえた気がして、緩く口の端を綻ばせた。
蝋燭の火がゆらゆらと揺れる部屋の中で、またグビリと、酒を嚥下する音だけが部屋に響いた。
蛇足 〜その女、猫につき〜
悪い癖だ、と自分でも感じている。
酔うと気が大きくなる。そして何より、姉者の可愛さがたまらなくなる。
「なあ、妙才。元譲がヘヤノスミスに行っちまったんだがどうすりゃいい?」
また聞きなれない言葉を使った徐晃だったが、何となく意味は分かった。
霞との酒飲み勝負に負け、さすがに酔いが回ったのか頭がぼーっとする。
一応、はっきりと意識はある。だからそんな聞く相手を間違えたと言うような目で見るな。
ゆっくりと姉者の方へと目を向けると……拗ねた時のいつも通りに、膝を抱えて寝台の端でいじけていた。
私と霞が呑んでいる間に何があった。こんな……こんな可愛くいじけ始める姉者の様子を見逃していたなんてっ! 怨むぞ徐晃。
じとっと睨みつけると、徐晃は目を逸らして霞に話しかけようとした……が、既に霞は姉者をいじりに行っていた。
「しゅーんらーん、なにいじけてんのー?」
「フシャーッ!」
「おわっ! なんやぁ!
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