新たな絆は抑止の鎖
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と絡み続ける霞に対し……二人は目を細めて冷たい視線を投げかけた。
「張遼、これだけの酒を前にしてゆえゆえに正座させられて待てを喰らうのと、大人しく席に着くのとどっちがいい?」
「姉者、あまりうるさくするなら勝利報酬になった華琳様の閨番には私が代わりに行っていいと言われているのだが?」
二人で同時に、それぞれに最も効果的な一言を零す。
耳に入り、二人の顔を見た途端、霞は秋斗の隣に、春蘭は秋蘭の隣へと座った。
「う、嘘だろう?」
「そ、そんなん月がするわけないやん、な?」
確認の為に聞き返しても二人はニコリと微笑むだけで何も言わなかった。
さーっと顔を蒼褪めさせて、息の合った動作で俯く霞と春蘭。
「せっかく私が勝ったのに……」
「正座て……膝枕する側は嫌や……」
その様子に微笑みながら……そっと、秋蘭は瞼を降ろした。
――徐晃とは中々に合わせやすい。姉者や霞の補佐を任せても大丈夫だろう。
黄巾の時にも幾度か会話をしていたのだが、一歩引いて回りを扱うそのやり方に、秋蘭は自分と似たようなモノを感じていた。
華琳の所での軍に於けるそういった役目を一手に担っていたのは秋蘭。華琳もその能力に大きな信頼を寄せている。
突っ走る癖が目立ち、放っておく事など出来ない姉を支えていた秋蘭と、この世界に溶け込む為に、常に誰かしらに合わせるべきだと判断している秋斗。
どちらも周りの状況把握に念頭を置いて居るので補佐役としての能力が磨かれていくのは当然といえば当然。
些細な違いがあるとすれば、秋蘭は諌める側として多大な機能を果たすが、秋斗は諌めるよりも違う方向に誘導して捻じ曲げる方が得意であるくらい。
ストッパーとしては秋蘭が、火付け役としては秋斗が適していると言えよう。
――私達四人が揃えば……華琳様のご助力をするには申し分ない。客分だとしても徐晃の参入はやはり大きい。
これからの自軍を想像して期待に胸が膨らむ。
秋蘭は華琳と同じくその能力を認めている。人との協調性は何よりも必要なモノである。
曹操軍の重鎮達には一癖も二癖もある者が多い為に、繋ぎ役、聞き役、相談役等を自分と同じくらい率なくこなせる人が欲しいと思っていた所。
秋斗は事務仕事にも精通している為に、その負担が減る事も含めて素直に嬉しかった。
――まあ、欲を言えばもう一人くらい私達と並ぶ程の武を持って華琳様を支える人材が欲しいのだが……凪達の成長に期待するか、次の戦で“あいつ”を――――
思考に潜っている最中に、部屋の扉が来客を示した。
短く乾いた音が二回。秋蘭は首を傾げたが、霞と春蘭、そして秋斗は合わせて声を上げた。
「入りぃや」
「開いているぞ」
「どうぞー」
きぃ……と小
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